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クリプトエコノミクスで設計の前提が崩れた時の話

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  • ton
  • 2018/10/28 09:05
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クリプトエコノミクスの話について、ある方に返信しました。

その方も興味深いと言ってくださったので、関心がある人もいるのかなぁ?と思い記事にしたいと思います。

クリプトエコノミクスの話です。その中でも設計が崩れた時の話を今回はします。

かんがえる、かがんでいる人」の方で書いた方が一連の流れとして見やすいかもしれませんが、ま、いいか、と。


当初、興味深かったのが、設計した部分と既存の部分の接点です。

それは法律・税制・GAAPだったり、CEX・DEXであり、安定通貨であったり、クロスチェーンであったりします。
(クロスチェーンは設計された分野と設計された分野をつなぐ接点・接面です)

それらへの興味は継続していますが、それ以上に、設計の前提が崩れたらどうなるのかなぁという所に興味が湧いてきています。


簡単な具体例を出すと、PoW等は設計当初と事情が違っていると思います。CPUでBTCを掘れていた時代と違い、現在は電力供給量のみならず騒音まで問題視されています。

私はPoWをイケてる設計だとは思いますが、クリプトエコノミクスを

あるシステムに対して、暗号学によって裏づけられた経済的合理性に従った選択をプレイヤーが重ねた場合に、そのシステムが自律的に所望の性質を具備・維持できるようなプロトコルをデザインすること。

と定義するのであれば、あ、やっぱりちょっと言い換えます。
上記は「m0t0k1ch1さん」の定義です。
下記は私がわかりやすいように言い換えました。

各プレイヤーが暗号学による情報保護を前提として、経済合理的な行動を試行する場合、誰かがメンテナンスしなくても、仕組みそれ自体が目的を達成し続けるデザインをする事
上記が気に喰わない場合は、m0t0k1ch1さんの定義を参照してください。

その場合、PoWは現状を上手く取り入れて、PoWという仕組みの内部でバランスを取ったり内部変革を行える仕組みではないと思うのです。


勝手に動いてくれて全幅の信頼を置ける仕組みがあれば大変良いのですが、なかなかそう上手くはいかないようです。
m0t0k1ch1さんの定義でいうところの「維持」私が言うところの「目的を達成し続ける」ここが難しい。
仕組みに影響を与える、仕組み以外の部分の変化に適応しなくてはいけないからです。


もっと強く、「人間が自律的な仕組みを作るなんておこがましい」と考えるのであれば道は二つに分かれます。
・前提条件を意識したうえで、そこが崩れれば仕組み自体を放棄する
・前提条件を意識し、それらが崩れた時の対処をしたうえで、想定外の事が起これば仕組みを自己変革できる仕組みにする

前者は簡単ですね。現状と少し先の未来を元に、機能する仕組みを作ります。前提が崩れても適応させることはしません。使い捨てです。

後者は問題点が二つあります。
1)想定外の部分はプログラム化が難しい事
2)人が介在する事

プログラム化が難しいので人が介在するのですが、説明の利便性から、分けます。

1)想定できることであれば、クリプトエコノミクスに則ってプロトコルにしてしまえばいいと思います。ここで問題にしているのが想定外の事なので、プログラミングに落とし込めません。当然です。
なので、人間の判断が必要になってきます。

2)人が介在すると価値観や個性の差によって意見の食い違いが生じます。論理的に考えればこうなるよね、という結論はあなたと私では同じかもしれないし違うかもしれません。その結果分裂が生じます。お気づきのようにTheDAO事件の話につながります。

分裂すると純粋に資源が分散するので私は好ましく思っていません。

分裂しても時がたつにつれて、どちらが世の中にあっているかという答えは出ると思うのでその時にまた合併するような離合集散が行われてもいいのかと思います。


設計の前提が崩れた時の対応をするには
・まずは前提を自覚する
・前提条件に対する外部環境において、できる事とできない事を峻別するのはもちろん「できそうになりつつあること」に目を配る

というのがMUSTだと思います。後は仕組みの設計が上記でいう「使い捨て」か「人が介在しても仕組みの修正・適応をする」かによって対応が変わってくるように思います。

インセンティブシステムというと、すっぱり言い切った感じになります。
少しだけ、そのあたりの話を書きます。
私は金額換算できない、もしくは人によって価値の捉え方が大きく違う部分が非常に重要だと思っていて、それは「社会の空気」固く言えば「時代や風潮」によって違ってくるのかなぁ?と。
だから昔流行した仕組みを今使っているとダサいと思われるから使わない、なんてこともあり得る話で、それは経済合理性に反した行動ではないと私は思うのです。その人にとって恥をかいたりする損失は、その仕組みを使って得られる便益寄りも大きいものだと想像できるからです。
(その辺りを自分たちに有利にする手段の一つがマーケティングの役割の一つだと思っています。)


 ----------------(‘ω’ っ )3


資料としてクリプトエコノミクスを自習していくのに必要そうなリンクを貼っておきます。

VDF reading list

Awesome Cryptoeconomics

coursera

Crypto Canon

Crypto Canonは2017年の年末辺りに知った(と記憶している)のですがまだ読み切れていません。

Google Scholar
割とコミットしている方はアラート設定しておくと、二日に一回くらいスマホが鳴ります。


こちらは参考になるのかわかりませんが、

読んだ記事の大事っぽいところはハイライトしているつもりです。
「Highlighted by ton」のところをご覧ください


 ----------------(‘ω’ っ )3


最後に、人事経済学ってご存知ですか?personnel economicsなんて言われたりもします。ちょっと毛色は違いますが、

私はクリプトエコノミクスに似たものを感じます。

皆さんが今、「あー、personnel economicsね!」と言えるかどうかが、将来「あー、Cryptoeconomicsね!」と言えるかどうかに関わるんじゃないのかなぁ?と少し思います。

母集団が違う?そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。
Googleスカラーだと「personnel economics」で158万件
Crypto economics」で16800件です。


ではでは

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公開日:2018/10/28
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