MALISさんがベルベル人について書いていました。
ベルベル人もそうですが、私は自分の国を持たない民族について興味があります。今日はその中からいくつか紹介してみようと思います。
人口:3000万人
居住地域:中東
自国を持たない世界最大の民族集団。3000万人というと、オーストラリアや台湾よりも人口が多い。しかし彼らは自分の国を持っていない。
第一次世界大戦後、悪名高いサイクス・ピコ協定によって彼らの居住地域は中東各国に分割されてしまった。中東で紛争があるたびに、何らかの文脈で折りに触れて聞くことがあるので、クルド人という名前を知っている人も多いだろう。彼らは今も分離独立を求めて戦っているが、それを支持する国は無い。
人口:800万人
居住地域:スペイン・カタルーニャ地方
現在はスペインの一地方だが、近年分離独立の機運が高まっている。スペイン中央政府がカタルーニャを軽視するような言動を行ったことと、カタルーニャ州が収める税金と国家からの還元が釣り合わないことが主要な要因だ。サグラダファミリアのあるバルセロナもカタルーニャに位置する。
2017年にはカタルーニャ独立を問う住民投票が行われ賛成多数で独立宣言が成されたが、中央政府によって抑圧された。
もしカタルーニャが独立したら、他にもスペインからの分離独立を指向するバスク地方などを刺激する恐れがある。今なおカタルーニャ独立問題はスペインにとって最大の国内問題の一つである。
人口:1000万人
居住地域:中国
かつて100倍の人口を誇る漢民族を支配した征服王朝・清を興した民族。日清戦争では大日本帝国と大規模な戦争を行った。
清の没落後は日本による満州国設立など、時代に翻弄されつつ現在は中国の少数民族という立場である。かつて支配階層であったため、満州民族の識字率は中国の平均よりも遥かに高い。
人口:16000人(日本のみ・2013年)
居住地域:日本、樺太、カムチャッカ地方
最後は今までのように分離独立を指向するほどの規模の民族ではありませんが、日本国内で唯一、国際人権規約に基づく国際連合への報告書に少数民族と記載されているアイヌ民族です。
かつて北海道を主な居住地域としていました。最近はゴールデンカムイで有名ですね。
今回は浅く触れましたが、ひとつひとつの民族が、1記事では収まらないくらい深い歴史を持っています。
国を持たない民族には、その歴史に複雑な背景が含まれています。私は歴史が好きなのですが、特にこの自国を持たない民族のように、あまり陽の当たらない歴史の部分に興味を惹かれたりします。そこには歴史の表舞台で語られる逸話と同じか、時にはそれ以上の深みや面白みがあったりするのですね。