2021年1月から放送されてるアニメ「無職転生~異世界行ったら本気だす~」
34歳ニートのゲス主人公が異世界に転生するというストーリーですが、中国の有力インエンサ―がを猛批判したことで中国の動画配信サイト「bilibili動画」から削除されてしまいました。
なぜこのアニメが削除の対象になったかと言うと、主人公の父親の生々しい不倫描写があったり、主人公が使用済みの女性の下着を盗んだりしていたからです。
これに対して「女性を軽蔑している」という苦情が相次ぎ、生理用品ブランド「ソフィ」を扱うユニ・チャームなどの複数の企業が「女性に対する侮辱的な行為や発言は見逃せない」と、広告出稿の取り止めを発表しました。これが引き金。
(YAHOOニュース「NEWSポストセブン」)
つまりこれは、「ポリコレ」の対象になってしまったわけですね!
ポリコレとは、ポリティカルコネクトネスの略で政治的正しさという意味です。
これは人権侵害や差別的な表現に反対する運動で、東京五輪組織委員会で森喜朗元会長が女性蔑視とされる発言をした際マスコミに叩かれていましたが、まさにこれがポリコレですね。
このように、今はポリコレによってアニメの規制が厳しくなっています。
これは今に始まったことではなく、もう十年以上年前から行われてきました。
「クレヨンしんちゃん」ではちんちんをぶらぶらさす「ぞうさん」が消えたし、児童虐待だという理由でみさえによる「げんこつ」や「グリグリ攻撃」が消えてしまいました。
また、ワンピースでは、白ひげ海賊団の旗のマークがポリコレによって変更されています。
漫画では、白ひげのロゴには「卍」のような図形が使われていました。
しかし、ナチスの鍵十字に似ているということで、十字架のマークに変更されています。
もし、これに深い意味があったとしたら、もう誰も知ることはできないので、とても残念です。
さらにポリコレの威力は絶大で、なんとキャラクターの性格まで変えてしまうことがあります!
国民的アニメである「サザエさん」。
タラちゃんやマスオさんはとっても「いい人」という印象ですが、長谷川町子先生が描いた原作では、かなり印象が違います。
タラちゃんはけっこういたずらっ子だし、わがままを言ってサザエさんを困らせたりします。
アニメ初期の頃なんかは、物置に閉じ込められて「「開けろ!子どもをいじめんな!」と暴言を吐いたりもしました。
さらに、マスオさんに至っては、タバコをバンバン吸って吸い殻をポイ捨てするし、パチンコに行ったり、サザエさんに対して怒鳴りつけたりと、今では考えられないキャラでした。
あげくの果てには、猟銃で鳥を打ち落とすなんてシーンもあるんですよね。
ただ、ポリコレのせいか、今では丸くなったというか不自然なくらい「いい人」になっちゃいましたね。
僕は、こういした規制に対してとっても残念に思っています。
なぜなら、臭いものに蓋をしていると、人間の本質が掴めなくなるからです。
人間には、汚くて下品な部分もいっぱいあります。
タバコも吸うし、ギャンブルもする、スケベだし、犯罪だってする。
いい人ばかりの世界だと、そういった負の部分から何も学べません。
しかも、つまらないし!
汚いところやゲスなところも、人間の魅力の一つなんですよね。
そういったものを削除するのは、キャラクターの魅力をどんどんそぎ落とす行為で、それは作品に対する侮辱でもあります。
作者からしたら、自分が生みだしたキャラクターが正反対の性格に変えられるなんて、いたたまれないと思います。
また、ポリコレというのは、ときに視聴者を侮辱する行為でもあります。
アニメを規制するときに、よく「教育上よくない」という理由が付けられてますが、それはつまり「こんなもの見せると子供がまともに育たない」ということですね。
でも、実際はどうでしょう?
今の大人はすでに「教育上よくないアニメ」を見て育っています。
規制を進める人にとって、そういったアニメを見て育った今の大人は、「まともに育っていない大人」ということになるんですが、僕たちはそんな風にはなりませんでした。
今まで下品だったり不道徳だったり暴力的なアニメを見て来たにも関わらず、ほとんどがまともに育っています。
つまりアニメのせいで人格が歪むなんてことは、ほとんどないんですよね。
だとしたら、「教育上」といった理由は僕たちにとっても失礼だし、見る子供までバカにしてると言っても過言ではありません。
確かにアニメにはそれなりの影響力はあります。
でもワンピースを見たからってみんなが冒険的になるわけじゃないし、しんちゃんを見たからと言ってみんな下品に育つわけじゃない。
だからこそ、こうした変な規制はやめて、なるべく原作に忠実な、魅力あふれるアニメにしてほしいです。
受け取る側もしっかりと受け取るので!
参考
YAHOOニュース「NEWSポストセブン」