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小もくじ(このページ内のもくじ)
● NFT(ノン・ファンジブル・トークン)ってなに?
・ ノン・ファンジブル・トークン(Non-Fungible Token)って、どういう意味?
「token」(トークン)って、どういう意味?
「fungible」(ファンジブル)って、どういう意味?
「non-fungible」(ノン・ファンジブル)って、どういう意味?
・ NFTの「資産価値」って、なに?
・ 自分なりに、NFTを一言で表現すると・・・
NFTs can be the backbone of a new Blockchain-powered economy.
NFTは、ブロックチェーンを活用した新しい経済を支える、中心的な主柱になり得るものです。
(出典: Antony Welfare "Tokens Take Us Beyond Money", "Tokenization", "8 First Use Cases", Commercializing Blockchain.)
(注記: 日本語翻訳(意訳): 引用者.)
「値打ちのあるもので、ファンと、たのしく!」
(Neuchi no aru mono de Fan to Tanoshiku!)
略して、NFT!(笑)
d(≧∀≦)b
―― 倉田幸暢
NFT(ノン・ファンジブル・トークン)というのは、おおまかに言うと、いろいろなもの(データや、モノや、権利など)の「所有権」を、受け渡したり、売り買いできるかたち(トークン)にしたものだとおもっていただくと、わかりやすいのではないかとおもいます。(※ ここで言う「所有権」というのは、法律的な狭い意味での所有権というよりは、比喩的な広い意味での「所有権」だとおもっていただければとおもいます。)
たとえば、画像ファイルの「所有権」や、ゲームのなかのアイテムの「所有権」などの、デジタルデータの「所有権」を、トークン化(NFT化)して、マーケットプレイス(デジタル市場)などで、売り買いしたり、直接、受け渡したりすることができます。
NFT(「所有権」)が、売り買いされたり、受け渡しされることで、「所有権」が移動すると、その「所有権」が移動したことが、ブロックチェーンと呼ばれるデータベースに記録されます。そのため、ブロックチェーン(データベース)に記録されている情報を見ることで、だれが「所有権」(NFT)をもっているのか、ということがわかります。
また、デジタルデータの「所有権」のほかにも、下記のような、「アクセス権限」(の「所有権」)や、「モノの所有権」などをトークン化したNFTもあります。こうした種類のNFTも、だんだん一般化していくだろうとおもいます。
● 会員制サービスの会員権(会員制サイトや、会員限定コンテンツへのアクセス権限)
● 絵画などの芸術作品の所有権
● 不動産の所有権
いろいろな可能性を秘めている、ブロックチェーンと呼ばれるデータベースのしくみを、いろいろな分野でつかえるようにするための基礎となる、「デジタル技術の土台」(プラットフォーム)のひとつに、Ethereum(イーサリアム)というものがあります。
NFT(ノン・ファンジブル・トークン)は、Ethereum(イーサリアム)のたくさんある標準規格のなかの、ERC-721という名前の標準規格にもとづいてつくられます。そのことから、NFTは、「ERC721トークン」と呼ばれることもあります。
ちなみに、『Commercializing Blockchain: Strategic Applications in the Real World』(日本語仮題『ブロックチェーン技術を商業化する: 物理世界への戦略的応用』)という本のなかに、下記のような、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)のいくつかの使用用途についての記述があります。ご参考までに。
NFTs go beyond digital collectibles. NFTs give the opportunity to tokenize real-world goods, which can be much more fruitful from an investment perspective. There are many projects happening in art (Artory with Christie's), Real Estate (BlockSquare), ticketing (Upgraded), and high-end fashion (MonoChain). NFTs can be the backbone of a new Blockchain-powered economy. We will explore below more potential use cases.
〔意訳: NFTが秘めている可能性は、「単なる、収集価値のあるデジタルグッズ」というだけではなく、それをはるかに超えるものです。NFTの仕組みを利用すると、物理的なモノをトークン化(NFT化)することができます。物理的なモノは、トークン化(NFT化)されることによって、それまでよりも、はるかにすぐれた投資対象になります。すでに、下記のような、いろいろな分野で、「物理的なモノをトークン化(NFT化)する」という仕組みを活用したプロジェクトが動き出しています。
● アートの分野: Artory (artory.com) (パートナー企業: オークションハウス(競売会社)の Christie's)
● 不動産の分野: BlockSquare (blocksquare.io)
● チケットの発券業務の分野: Upgraded (upgraded-inc.com)
● 高級ファッションブランドの分野: MonoChain (monochain.org)
このように、NFTは、ブロックチェーンを活用した新しい経済を支える、中心的な主柱になり得るものです。ここからは、具体的なNFTの活用事例を紹介しながら、NFTが秘めている可能性を、さらに探っていきたいとおもいます。〕
(出典: Antony Welfare "Tokens Take Us Beyond Money", "Tokenization", "8 First Use Cases", Commercializing Blockchain.)
(注記: 日本語翻訳(意訳): 引用者.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
ちなみに、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)にまつわる言葉として、つぎの3つの言葉があります。
● ERC721の標準規格
● NFT(ノン・ファンジブル・トークン)
● 「証書」(ディード, deed)
これらの3つの言葉の関係を、おおまかにまとめると、つぎのようなかんじです。
● ERC721という名前の標準規格にもとづいてつくられるトークンが、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)です。
● NFT(ノン・ファンジブル・トークン)は、「所有権をもっていることを証明するもの」であることから、「証書」(ディード, deed)と呼ばれることもあります。
この下のいくつかの引用文は、どれも、『マスタリング・イーサリアム : スマートコントラクトとDAppの構築』という本のなかで語られている、上記の3つの言葉についての説明です。
NFT(Non Fungible Token)
「代替不可能なトークン」のこと。「証書」(deed)とも呼ばれる。ERC721 による提案で導入されたトークンの標準である。NFTは追跡および取引することができるが、各トークンは一意で別のものとして扱われる。ERC20トークンのようには交換できない。NFTは、デジタルアセットまたは物理的なアセットの所有権を表すことができる。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド 「用語集」, 『マスタリング・イーサリアム』, xxxviiページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
証書(deed)
ERC721提案で導入されたノンファンジブルトークン(Non Fungible Token : NFT)標準。ERC20トークンとは異なり、証書は所有権を証明し、代替不可能。もっとも、少なくとも現在のところ、どの法域でも法的文書として認識されていない。→「NFT」 も参照
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド 「用語集」, 『マスタリング・イーサリアム』, xxxiページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
ERC721提案(http://bit.ly/2Ogs7Im)は、「ディード(deed)」という通称で知られるノンファンジブルトークンのための標準です。英語の「deed」は、オックスフォード辞典によると次のような意味です。
deed : 署名され配布される法的文書、特に財産の所有権または法的権利に関する文書。
つまり「ディード」は、たとえこれらがいかなる法域においても「法的文書」として認識されなくても、「財産の所有権」という意味を反映させることを意図して用いられています。将来的には、ブロックチェーンプラットフォーム上のデジタル署名に基づく法的所有権が認められるようになるでしょう。
ノンファンジブルトークンは、ユニークなものの所有権を追跡します。所有物とはゲーム内アイテムやデジタルグッズなどのデジタルアイテム、あるいは家、車、さらには芸術作品など、所有権がトークンによって追跡される物理的なアイテムの場合もあります。ディードは負の価値を持つもの、たとえばローン(借金)、抵当権、地役権などを表すこともできます。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド 『マスタリング・イーサリアム』, 260~261ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
NFTという言葉は、「Non-Fungible Token」(ノン・ファンジブル・トークン)という言葉のなかの、それぞれの単語の頭文字をとった略称です。
ここからは、この「Non-Fungible Token」(ノン・ファンジブル・トークン)という言葉をかたちづくっている、「token」(トークン)と、「fungible」(ファンジブル)と、「non-fungible」(ノン・ファンジブル)の、それぞれの言葉の意味について、くわしくお話していきたいとおもいます。
トークン(token)は古英語「tācen」に由来し、記号やシンボルを意味します。この用語は、交通機関トークン、洗濯用トークン、アーケードゲームトークンなど、それほど高額ではない、私的に発行された特定目的のコイン(代用貨幣)のようなものを意味しています。
現在、ブロックチェーンで管理される「トークン」は、トークンの意味を再定義しつつあり、所有することができて、資産や通貨やアクセス権を表象するような、ブロックチェーンベースの概念を意味するようになっています。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド『マスタリング・イーサリアム』, 233ページ.)
ここでは、「token」(トークン)という言葉の意味について、お話したいとおもいます。
NFT(ノン・ファンジブル・トークン)や、仮想通貨(暗号通貨)や、トークンエコノミーなどの、ブロックチェーンにまつわる話のなかに出てくる「トークン」という言葉の意味は、かんたんに言うと、「(人が欲しがるような)価値があるもの」というような意味だとおもっていただけると、いいかとおもいます。
ちなみに、この場合の「トークン」という言葉は、「ブロックチェーンと呼ばれるデータベースで管理されるトークン」というような意味で、「ブロックチェーントークン」と呼ばれることもあります。
NFT(ノン・ファンジブル・トークン)という言葉のなかでつかわれている「トークン」という言葉の意味は、「資産価値があるもの」というような意味だとおもっていただけると、いいかとおもいます。(ここで言う「資産価値」の意味については、あとのところでお話します。)
また、ビットコインや、EthereumイーサリアムのEtherイーサ(ETH)などの、仮想通貨(暗号通貨)も、「トークン」と呼ばれます。仮想通貨(暗号通貨)のことを指す「トークン」という言葉の意味は、「(通貨としての)価値があるもの」というような意味だとおもっていただけると、いいかとおもいます。
この下の引用文は、『マスタリング・イーサリアム : スマートコントラクトとDAppの構築』という本のなかで語られている、ブロックチェーントークン(ブロックチェーンと呼ばれるデータベースで管理されるトークン)についての話です。
トークン(token)は古英語「tācen」に由来し、記号やシンボルを意味します。 この用語は、交通機関トークン、洗濯用トークン、アーケードゲームトークンなど、それほど高額ではない、私的に発行された特定目的のコイン(代用貨幣)のようなものを意味しています。
現在、ブロックチェーンで管理される「トークン」は、トークンの意味を再定義しつつあり、所有することができて、資産や通貨やアクセス権を表象するような、ブロックチェーンベースの概念を意味するようになっています。
これまでの「トークン」がわずかな価値しか持たないことは、物理的なトークンの使用が限られていることと深く関係しています。 特定のビジネス、組織、場所に制限されることが多い物理的トークンは、簡単に交換できず、通常は1つの機能しか持ちません。ブロックチェーントークンを使用するとこれらの制限が取り払われ、より正確に言うと、完全に定義し直すことができます。 多くのブロックチェーントークンは、世界中で複数の目的を果たしており、相互に交換したり、グローバルな流動性のある市場で他の通貨と交換できます。使用や所有権の制限がなくなったことで、「ほとんど価値がない」という評価も過去のものになりました。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド『マスタリング・イーサリアム』, 233ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
この下の引用文は、『マスタリング・イーサリアム : スマートコントラクトとDAppの構築』という本のなかで紹介されている、トークン(ブロックチェーントークン)の使用用途の事例集です。
この事例集のなかの、下記のものは、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)です。
● アセット
● アクセス
● 収集品
● アイデンティティ
● 証明
トークンの用途として最初に思いつくのは、プライベートなデジタル通貨です。ただし、これは可能な用途の1つにすぎません。トークンは、重複する多くの異なる機能を果たすようにプログラミングできます。たとえばトークンは、投票権やアクセス権、リソースの所有権を同時に意味することができます。次のリストに示すように、通貨はトークンの最初の「アプリ」にすぎません。
通貨
トークンは、私的な売買によって決定される価値を伴い、通貨として機能します。
リソース
トークンは、シェアリングエコノミーまたはリソースシェアリング環境で獲得または生産されたリソースを表します。たとえば、ストレージまたはCPUトークンが、ネットワーク上で共有できるリソースを表すといった事例があります。
アセット
トークンは、内在的または外在的、有形または無形の資産の所有権を表します。たとえば、金、不動産、自動車、石油、エネルギー、MMOGアイテムなどです。
アクセス
トークンはアクセス権を表し、ディスカッションフォーラム、専用Webサイト、ホテルの部屋、レンタカーなどのデジタルまたは物理的財産へのアクセスを許可します。
エクイティ
トークンは、デジタルな組織(たとえばDAO〔非中央集権型自律組織〕)や法人(たとえば企業)の持分を表します。
投票
トークンは、デジタルシステムまたは法的システムにおける投票権を表します。
収集品
トークンは、デジタルな収集品(たとえばCryptoPunks)または物理的な収集品(たとえば絵画)を表します。
アイデンティティ
トークンは、デジタルアイデンティティ(たとえばアバター)または法的アイデンティティ(たとえば国民ID)を表します。
証明
トークンは、行政当局、または非中央集権型の評価システムによる証明書または事実(たとえば結婚記録、出生証明書、大学の学位)を証明します。
ユーティリティ
トークンを使用して、サービスにアクセスしたり、サービスの料金を支払うことができます。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド『マスタリング・イーサリアム』, 233~235ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
この下の引用文は、『マスタリング・イーサリアム : スマートコントラクトとDAppの構築』という本のなかで語られている、ブロックチェーントークン(ブロックチェーンと呼ばれるデータベースで管理されるトークン)についての話です。
イーサリアムが登場する以前にも、ブロックチェーントークンは存在していました。ある意味で、最初のブロックチェーン通貨のビットコインはトークンそのものです。イーサリアムが登場する以前にも、ビットコインやその他の暗号通貨で、多くのトークンプラットフォームが開発されました。しかし、イーサリアムに最初のトークンの標準が導入されたことで、トークンが爆発的に増加しました。
ヴィタリック・ブテリンは、イーサリアムのような汎用化されたプログラム可能なブロックチェーンの、最も明白で有用な応用の1つとして、トークンを挙げていました。実際、イーサリアムの初年度には、ヴィタリックたちがイーサリアムのロゴとスマートコントラクトのサンプルを背中に貼ったTシャツを着ているのをよく見かけました。 このTシャツにはいくつかのバリエーションがありましたが、最もよく目にしたのはトークンの実装です。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド『マスタリング・イーサリアム』, 239ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
余談ですが、約5000年前の、古代メソポタミアでは、粘土製の代用貨幣(トークン)が、商取引につかわれていました。下記の引用文は、『マネーの進化史』という本のなかで語られている、粘土製の代用貨幣(トークン)についての話です。
古代メソポタミアでは、五〇〇〇年も前から粘土製の代用貨幣トークンを使って、大麦などの農産物、羊毛、銀などの金属の取引記録を残してきた。銀をリング状にしたり、塊にしたり、板状にのしたりしたものも、穀物と並んで貨幣として使われていたが、粘土製のトークンもそれなりに重要で、あるいは銀以上の価値さえあった。いまでも数多くのトークンが残っていて、人類がはじめて記録を残すようになったとき、歴史や詩、哲学を記すことではなく、商取引を目的としていた史実を伝えている。このような古代の経済活動のツールを見ると、思わず感嘆の声を上げてしまう。土くれで作られたものであるにもかかわらず、ポトシの造幣所で作られた銀の通貨より長持ちしている。とくに保存状態のいいトークンで、ユーフラテス河畔のシッパル(現イラクのアブバッハ)で出土したものは、アンミ・ディタナ王(紀元前一六八三~紀元前一六四七)の時代に作られたもので、収穫したばかりのしかるべき量の大麦と交換できる、と記されている。前王の後継者アンミ・サドゥカが作ったトークンには、「これを所持する者は、旅の終わりに一定量の銀が与えられる」と記されている。
このような制度の基本概念になじみがあるように感じるとすれば、現在の紙幣にも似たような性格があるためだ。イングランド銀行が発行するすべての紙幣に、「この紙幣を持参する者には、要求に従って以下に表示する金額の対価を支払うことを保証する」という魔法のような文言が記されている。紙幣(最初に導入されたのは七世紀の中国)は、紙でできているのだから、本来的には価値はない。ただ、支払いに使えるという約束ごとに基づいているに過ぎない(したがって、西洋にはじめて紙幣が導入された当初は、「約束手形」と呼ばれていた)。機能的には、四〇〇〇年前に古代バビロニアで使われていた粘上製のトークンと同じだ。
〔中略〕
現在、カネはほとんど目に見えない形で動いているが、それがカネというものの本質なのかもしれない。スペインの征服者たちは、カネとは信仰に近い信頼であることを理解できなかった。私たちにカネを支払ってくれる人を信じ、通貨を発行し小切手の換金や振り込みをおこなってくれる機関をも信じる心である。金属がカネなのではない。信用を刻印されたものがカネなのだ。しかも、素材が銀であっても、粘上板でも紙でも液晶画面でも、それほど重要ではないようだ。カネの素材は、なんでも構わない。インド洋のモルディブではタカラガイが通貨として使われたし、太平洋のヤップ島(ミクロネシア連邦)では大きな石貨が用いられた。現代の電子マネーの時代になると、カネは姿さえなくなってしまった。
(出典: 出典: ニーアル・ファーガソン 「カネの山」, 「第1章 一攫千金の夢」, 『マネーの進化史』, 58~61ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
トークンは、任意の1単位を、価値または機能を変化させることなく別の1単位に置き換えることができる場合、ファンジブルです。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド『マスタリング・イーサリアム』, 235ページ.)
ここでは、「fungible」(ファンジブル)という言葉の意味について、お話したいとおもいます。
「fungible」(ファンジブル)という言葉の意味は、「代替可能」というような意味です。ここで言う、「代替可能」という言葉の意味は、意訳すると、「おたがいにおなじ数量のものであれば、取り替えても問題が起こらない」(「おたがいにおなじ数量のものであれば、取り替えることができる」)、というような意味だとおもっていただくといいかもしれません。
この下でお話しているように、日本円は、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。
たとえば、AさんとBさんが、二人とも100円をもっているとします。このとき、Aさんがもっている100円と、Bさんがもっている100円は、どちらもおなじものとしてあつかわれます。このように、おなじ数量のものは、おなじものとしてあつかわれるものが、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。
また、この下でお話しているように、ビットコインや、Ethereum(イーサリアム)のEther(イーサ)(ETH)などの、仮想通貨(暗号通貨)としてあつかわれるトークンは、「代替可能なトークン」、つまり、ファンジブル・トークン(Fungible Token (FT))です。
ビットコイン(略称は「BTC」)も、さきほどの、「AさんとBさんの100円」のたとえ話とおなじように、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。ですので、たとえば、AさんとBさんが、二人とも1BTC(ビットコイン)をもっている場合、Aさんがもっている1BTC(ビットコイン)と、Bさんがもっている1BTC(ビットコイン)は、どちらもおなじもの(代替可能なもの)としてあつかわれます。
また、Ethereum(イーサリアム)のスマートコントラクトを実行するための、手数料の支払いなどにつかわれる仮想通貨(暗号通貨)として、Ether(イーサ)という仮想通貨(暗号通貨)があります(略称は「ETH」)。さきほどの、「AさんとBさんの100円」のたとえ話とおなじように、Ether(ETH)(イーサ)も、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。ですので、たとえば、AさんとBさんが、二人とも1ETH(イーサ)をもっている場合、Aさんがもっている1ETH(イーサ)と、Bさんがもっている1ETH(イーサ)は、どちらもおなじもの(代替可能なもの)としてあつかわれます。
また、Ethereum(イーサリアム)のたくさんある標準規格のなかのひとつに、ERC-20という名前の標準規格があります。このERC-20の標準規格にもとづいてつくられたトークンが、いわゆる、仮想通貨(暗号通貨)です。このERC-20の標準規格にもとづいてつくられたトークン(仮想通貨、暗号通貨)も、日本円や、ビットコインや、Ether(ETH)(イーサ)とおなじように、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。(ERC-20の標準規格にもとづいてつくられたトークン(仮想通貨、暗号通貨)は、「ERC20トークン」と呼ばれます。)
たとえば、たくさんあるERC20トークン(仮想通貨、暗号通貨)のなかのひとつに、ベーシック・アテンション・トークン(Basic Attention Token)(略称: BAT)という名前のトークン(仮想通貨、暗号通貨)があります。このトークン(BAT)も、日本円や、Ether(ETH)(イーサ)とおなじように、「代替可能なもの」、つまり、ファンジブルなもの(fungibleなもの)です。ですので、たとえば、AさんとBさんが、二人とも1BATをもっている場合、Aさんがもっている1BATと、Bさんがもっている1BATは、どちらもおなじもの(代替可能なもの)としてあつかわれます。
ちなみに、ERC-20の標準規格にもとづいてつくられたERC20トークンの実例としては、たとえば、下記のようなERC20トークンがあります。(ちなみに、下記の「略称」というのは、正確には、「ティッカーシンボル」と呼ばれるコードです。)
● Tether USD (テザーUSD) (略称: USDT)
● Binance Coin (バイナンスコイン) (略称: BNB)
● USD Coin (USDコイン) (略称: USDC)
● Basic Attention Token (ベーシック・アテンション・トークン) (略称: BAT)
● OmiseGO (オミセゴー) (略称: OMG)
● Dai Stablecoin (DAIステーブルコイン) (略称: DAI)
● Binance USD (バイナンスUSD) (略称: BUSD)
● ALIS (アリス) (略称: ALIS)
ここでは、ノン・ファンジブル・トークン(Non-Fungible Token)という言葉のなかの、「non-fungible」(ノン・ファンジブル)という言葉の意味について、お話したいとおもいます。
「non-fungible」(ノン・ファンジブル)という言葉は、「代替可能」(「fungible」(ファンジブル))の否定形ですので、「代替可能ではない」というような意味の言葉です。日本語では、「代替不可能」や、「非代替」などと翻訳されています。
ここで言う、「代替不可能」や「非代替」といった言葉の意味は、「それぞれのトークン(NFT)が、それぞれ個別の唯一性をもつものとしてあつかわれる」というような意味だとおもっていただけると、いいかとおもいます。
たとえば、ひとつのデジタルデータをNFT化して、複数のNFTをつくった場合は、もとになったデジタルデータがまったくおなじものであったとしても、それぞれのNFTは、それぞれが個別の唯一性をもつものになります。
ちなみに、さきほど、上のほうでもお話したことなのですが、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)にまつわる言葉として、つぎの3つの言葉があります。
● ERC721の標準規格
● NFT(ノン・ファンジブル・トークン)
● 「証書」(ディード, deed)
これらの3つの言葉の関係を、おおまかにまとめると、つぎのようなかんじです。
● ERC721という名前の標準規格にもとづいてつくられるトークンが、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)です。
● NFT(ノン・ファンジブル・トークン)は、「所有権をもっていることを証明するもの」であることから、「証書」(ディード, deed)と呼ばれることもあります。
この下のいくつかの引用文は、どれも、『マスタリング・イーサリアム : スマートコントラクトとDAppの構築』という本のなかで語られている、上記の3つの言葉についての説明です。
NFT(Non Fungible Token)
「代替不可能なトークン」のこと。「証書」(deed)とも呼ばれる。ERC721 による提案で導入されたトークンの標準である。NFTは追跡および取引することができるが、各トークンは一意で別のものとして扱われる。ERC20トークンのようには交換できない。NFTは、デジタルアセットまたは物理的なアセットの所有権を表すことができる。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド「用語集」, 『マスタリング・イーサリアム』, xxxviiページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
証書(deed)
ERC721提案で導入されたノンファンジブルトークン(Non Fungible Token : NFT)標準。ERC20トークンとは異なり、証書は所有権を証明し、代替不可能。もっとも、少なくとも現在のところ、どの法域でも法的文書として認識されていない。→「NFT」 も参照
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド「用語集」, 『マスタリング・イーサリアム』, xxxiページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
ERC721提案(http://bit.ly/2Ogs7Im)は、「ディード(deed)」という通称で知られるノンファンジブルトークンのための標準です。英語の「deed」は、オックスフォード辞典によると次のような意味です。
deed : 署名され配布される法的文書、特に財産の所有権または法的権利に関する文書。
つまり「ディード」は、たとえこれらがいかなる法域においても「法的文書」として認識されなくても、「財産の所有権」という意味を反映させることを意図して用いられています。将来的には、ブロックチェーンプラットフォーム上のデジタル署名に基づく法的所有権が認められるようになるでしょう。
ノンファンジブルトークンは、ユニークなものの所有権を追跡します。所有物とはゲーム内アイテムやデジタルグッズなどのデジタルアイテム、あるいは家、車、さらには芸術作品など、所有権がトークンによって追跡される物理的なアイテムの場合もあります。ディードは負の価値を持つもの、たとえばローン(借金)、抵当権、地役権などを表すこともできます。
(出典: アンドレアス・アントノプロス, ギャヴィン・ウッド 『マスタリング・イーサリアム』, 260~261ページ.)
(注記: 引用文のなかの太文字などの文字装飾は、引用者によるものです。)
さきほど、上のほうでもお話したように、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)というのは、おおまかに言うと、いろいろなもの(データや、モノや、権利など)の「所有権」を、受け渡したり、売り買いできるかたち(トークン)にしたものだとおもっていただくと、わかりやすいのではないかとおもいます。(※ ここで言う「所有権」というのは、法律的な狭い意味での所有権というよりは、比喩的な広い意味での「所有権」だとおもっていただければとおもいます。)
NFT(ノン・ファンジブル・トークン)(「所有権」をトークン化したもの)には、希少性や、流動性(換金性)や、交換価値性などの性質があります。下記の箇条書きは、それらのNFTの性質についての説明です。これらの性質があるので、NFTには資産価値があります。
● NFTは、複製することができない(※下記の注記もご参照ください)。そのため、NFTには希少性がある。
● NFTは、供給量を制限することができる(NFTの発行者が、発行数を決めることができる。また、NFTは複製することができない)。そのため、NFTには希少性がある。
● NFTは、ほかの人たちとのあいだで、売り買いしたり、受け渡すことができる。そのため、NFTに、流動性(換金性)や、交換価値をもたせることができる。
※注記: 上記の説明のなかの、「NFTは、複製することができない」という説明のしかたは、場合によっては、誤解をまねく説明のしかたかもしれません。
(なぜなら、ここで言う「複製」という言葉の定義のしかた(言葉のとらえかた)は、人によって異なる可能性があり、その定義のしかた(とらえかた)によっては、「NFTは、(場合によっては、)複製することができる」というとらえかたをする人がいる可能性もあるのではないかとおもうからです)。
ですので、この「NFTは、複製することができない」ということを、より誤解されにくい表現にするとすれば、つぎのような説明のしかたもできるのではないかとおもいます。「NFTの情報が、ブロックチェーンに記録されていることによって生じる、NFTの資産価値は、複製することができない」。
このように、NFTには、希少性や、流動性(換金性)や、交換価値性、などの性質があります。NFTに、資産価値がある理由は、こうした性質があるからです。
「E・M・T ………
『エミリアたん・マジ・天使』の略」
(出典: ナツキ・スバルの言葉 「4話 ロズワール邸の団欒」(21:37~), 『Re:ゼロから始める異世界生活』(アニメ).)
・・・というのは、冗談です(笑)。
Σ(ノ≧ڡ≦)てへぺろ こつーん☆
これは、あくまでも、NFTにたいする、ぼくの個人的な印象なのですが、「NFT(ノン・ファンジブル・トークン)ってなに?」という疑問にたいする、自分なりの答えを、一言で表現するとしたら、
「値打ちのあるもので、ファンと、たのしく!」
(Neuchi no aru mono de Fan to Tanoshiku!)略して、NFT!(笑)
d(≧∀≦)b
・・・というかんじに表現することもできるのではないかな、とおもいます。
もちろん、このような説明は、厳密で正確な説明ではありません。ただ、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)のいろいろな側面のなかの、ある側面については、この上のような表現で、言いあらわせているのではないかとおもいます。
そして、個人的には、「値打ちのあるもので、ファンと、たのしく!」ということを実現するための道具としてのNFT(ノン・ファンジブル・トークン)に、とても興味があります。
「いや実際、こうしてられる原動力って全部エミリアたんから始まってっからね。そういう意味でも、これは本気でE・M・T(エミリアたん・マジ・天使)だよ!」
(出典: ナツキ・スバルの言葉, 長月達平 (2014年) 「3」, 『Re:ゼロから始める異世界生活 2』, MF文庫J, KADOKAWA.)
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「これ好奇のかけらなり、となむ語り伝へたるとや。」