君が一人で韓国に行くといったとき
微かにイヤな予感がした
素敵な韓国の男性とでも仲良くなり
会いに行くのか
僕は日本の男に負ける気がしたことなんかない
日本の男は気が利かず
自慢が多く
そのくせ自信がなく
ガツガツしているばかりだから
でも韓国の男性が
世界でも人気があるのは知っている
イケメンで
優しくて
国際感覚があり
愛の囁きを欠かさない
韓国から帰った君は
体調不良を理由に
長い間
自宅から出てこなかった
君とデートできなかった二ヶ月間
世界には君よりもかわいい人がいて
僕は君のことを忘れることができるはずと
何度も自分に言い聞かせ
電車の中でも
道の上でも
カフェの内にも
僕は探した
君よりもかわいい
君を忘れさせてくれる
僕が夢中になれる女の子
そんな女の子は
この星の上にいない
そう思い知った僕は
最後の賭けに出るしかなかった
会いたい
会いたい
会いたいよ
会ってくれないなら
もう君と別れる
ラインの文字に既読がついてから
丸一日
僕は返事を待たされた
やはり男ができたのか
ラインの音がなる度
すがるように開くと
宣伝ばかり
イライラしてブロックしまくり
僕は君と一緒に行った店の
すべてのポイントを喪い
君の返事だけを待った
あと一週間待ってほしいの
君の返事にはそう書いてあった
どうして?
どうして一週間?
顔が腫れているのよ
何があったの?
殴られたの?
そうじゃない
いいことだから安心して
生命の歴史より長い一週間
二十億光年先の星から光が届くまでの一週間
銀河の果てに現れた君は
僕の知っている君ではなかった
平べったい笑顔で
花のように笑う
あのかわいい君ではなかった
生意気なほど高い鼻が
Kpopスターのよう
パッチリ開いた瞳で僕を見て
瞼をしばたたく
顔が・・・・・
僕は喉が詰まった
顔が・・・・・
前と違うね
わかった?
素敵でしょ
韓国で整形したの
やっと顔の腫れが引いてきて
ホントはあと一ヶ月
腫れが引くまで待って
完璧な姿であなたに会って
驚かせたかった
でも、私もあなたに会いたくて
もういいかなと思って。
でもまだ少し腫れているでしょ
僕はしげしげとその見知らぬ女を眺めた
腫れはすっかり引いていると思う
でも鼻が・・・・・
僕は言葉を呑み込んだ
君じゃない
前の君がよかった
ありのままの君を愛していた
私、あなたのように
外国人のような濃い顔立ちになりたかったの
歩いているとき
似合いのカップルだなと
思われたかったの
あなたにふさわしい美人になりたかったの
僕は唖然とした口を閉じて君にキスした
舌をからませたまま
バレないように涙をこぼした
僕の恋した人は死んだ
君はホントに君なの?
僕の愛した君はどこなの?
溢れる涙と言葉を飲み込み
僕は生まれて初めて
君にウソを告げた
綺麗になったね
愛してるよ
張り裂けそうな胸を押さえ
これからも君をずっと大事にしよう
君は確かに君なのだからと
心に決めるしりから
崩壊していく自信と闘っていた