私を抱きしめながら
あなたが遠い目をしているとき
あなたが見ているものはなに?
私の瞳を通り越して
部屋の壁さえ突き抜けて
もっと遠くの何かをあなたは見ている
それは甘酸っぱい思い出の中の
初恋の人?
それともまだ出会わないあなたの理想の女?
でも
あなたは
愛する女は君だけだという
もしもそれが嘘でないなら
あなたが見ているものは何?
私では埋めることのできない空虚
果てしなく光を奪い続ける暗黒
銀河の中心のブラックホール
生きてそして死んでいくことのやるかたない虚しさ
私はあなたさえいれば
それらのすべてを忘れることができる
鳥も花も雲も波も愛することができる
私の目はあなたにしっかりと焦点を合わせて
今ここにない何かを求めてさまよいはしない
でもあなたは何かを探している
あなたの目はどこか遠くを見ている
私には言えない秘密
私が一緒に行けない彼方の世界
このもどかしさを私は
だれに告げればいいの
そんな詩を書いても
あなたは笑って
大丈夫だよ
愛してるよという
でも私にはわかる
そう囁いているときでさえ
あなたの瞳はどこか
とてつもない遠いところに
いつもフォーカスしていることを