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番外編2、日本の国を知る「植民地回避と戦後」 ~人文学(とちょっとだけ仮想通貨&NFT)で、これからの生き方を学ぶ~

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  • 2022/09/19 19:24

電子書籍『人文学(とちょっとだけ仮想通貨&NFT)で、これからの生き方を学ぶ』の「番外編2、日本の国を知る「植民地回避と戦後」」です。

目次はこちらです。

よろしくお願い致します。

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番外編1では、太古の昔から日本にあった災害の話を致しました。

ここでは幕末から明治維新辺りの話になりまして、この明治維新からの政策も現在の日本人に多大なる影響を与えていると私は考えています。

ただしその素地は江戸時代にあり、石高制がその背景として存在します。

石高制を言い換えますと一部米本位制であり、その当時の人口のおよそ八割以上を占めていた武士と農民が、その石高制の影響下にありました。

何故、一部米本位制なのかと言いますと、支配者層である武士を評価をするものが石高であり、重要なところの「価値の尺度機能」を担っているからです。

その大切な米を生産しているのが農民ですが、どうやって生産するのかと言えば当然ながら、額に汗して働かなければなりません。

お米を年貢として納めた後は武士がお金に換えているわけですが(ここでたくさんのお金に換えられるかどうかでも異なる)、この部分は農民にとっては関係のない話です。

それ故に「お米をたくさん持って裕福な状態になるためには、たくさん働けば良い」という結論に至るのは自然な流れではないでしょうか。

徳川吉宗と言えば、中興の祖と言われる名君ですが、一方で米将軍というあだ名もあります。

紀州藩を質素倹約や開墾等で立て直した手腕を買われて将軍になりましたが、地方の藩で功を成した政策をそのまま幕府に持ってきても上手くいくとは限りません。

例えば現在を生きる我々には当たり前の話ですが、開墾して米の生産量を引き上げるという政策を幕府がやってしまうと、お米の供給量が増えて米価が下がるということが起こりますので、結果として思ったほどの(紀州藩で成功した時のような)増収にはなりません。

そこで吉宗は大坂に設置されていた堂島米市場を公認し、その市場に介入して米価を引き上げようとする政策などを打ち出しますが、それがなかなか難しかったようで後世の評価は賛否両論となっています(本編の第七章で「アロフト大阪堂島」の米俵を載せた自動車のオブジェのことをお話ししていましたが、それがこの「堂島米市場」の話です)。

その後の時代である明治維新以降に、農業国から工業国へ転換しようとするわけですが、この最も大きな動機は「日本を欧米の植民地にさせない」ことでした。

そしてさらに「資源のない日本は、逆に植民地を持たなければならない」ということで、そのためには「とにかく早く富国強兵しなければならない」という結論に達しました。

(ここでも「とにかく早く」という、時間的に直近を求める価値観が重視されています)

そこでまずは国民の大半を占める勤勉で優秀な農民を、勤勉で優秀な工員へと転身させようとしました

それと同時に「富国強兵の中でもより優先順位が高いのは後者、つまり強力な兵器を製造できる工業力であり、人材で言えば(日本の分類で言う)理系だ」ということに気付きます。

さらにその学習速度をより速くするため、日本人がより学習しやすい状況で優れた学問を持って帰る必要もありました。

すると欧米の「人」と「神(=人以外、自然)」という分類は、多神教の日本には合っていないと当時の教育者らが考えたという可能性もあります。

これらのことを踏まえて「文系と理系という分類にして、まずは理系の適性のある人材を選抜し特に優秀な学生と、そのような学生を集めた学校にたくさんのお金をかける(多額の投資をする)」という教育システムにしたのではないかと私は考えています。

その後我が国は敗戦で焼け野原になったわけですが、そこから奇跡の復興を果たし、東京でオリンピックを開催できるところまで発展することができました。

その東京オリンピックのあった一九六四年に辺りで、オリンピック景気(または五輪景気)と呼ばれる好景気が訪れました。

そして今、私がお話ししているこの二〇二一年にも東京オリンピックが開催されましたが、今回の東京オリンピックでは「これまでの日本が潜在的に持っていた欠点が露わになる」ということもありました。

その欠点とは「仕事のできる人材に対して、甘すぎる」というものです。

今回の東京オリンピックでは、まず「森喜朗オリンピック・パラリンピック組織委員会会長が女性蔑視発言によって辞任する」ということがありました。

その時の私の率直な感想は「政治家として日本の危機に鈍感すぎる」というものでした。

というのも既に何度か触れましたが、日本はかつてのように「良質な工業製品をたくさん製造し販売するだけで豊かになる」という状態ではなく、そのような時代はもう過ぎ去ってしまっているからです。

(『FACTFULNESS(ファクトフルネス』という世界的なベストセラーの書籍にも「従来の発展途上国に入る国は6%ぐらい」というような記載があり、世界中で生活に必要なものはほぼ満たされつつあるという状況です)

そこで日本はコロナ禍の前まで観光立国というものを掲げて、インバウンド需要を取り込もうとがんばってきていました。

そのような中、今回の東京オリンピック・パラリンピックがあったわけです。

森前会長が今回の東京オリンピック・パラリンピック(以降、東京五輪と記載)の誘致に誰よりもご尽力されていたということは、もちろん私も存じています。

この発言も女性を傷つける意図は一切なく、むしろその発言したその場を盛り上げようとしてのものだった、ということも存じています。

それ故に「だから許してあげるべきではないか」「女性は気にし過ぎではないか」という、主に男性からの声もあったのも理解はできます。

ですがここで私が言いたいのは、この「そういう意図ではなかったのだから、もう良いではないか」という価値観が、外国人女性の観光客にも通用するのかということです。

外国人女性の「意図とか状況とかは関係なく、表現そのものが許せない」という価値観に対して、我々は「それは貴女が気にし過ぎているだけです」と言えるでしょうか。

もしもこのような外国人女性の観光客に「これまでアジア旅行と言えば日本だったけどもうやめる。シンガポール辺りにしようかな」と思われて行先を変更された場合、当然ながら我が国には一円も落ちなくなります。

これが生活に必要なものではない嗜好品の、最も恐ろしいところなのです。

例えばロシアに住む女性が「真冬でも道中で止まらない新車の自動車が欲しい」と考えてトヨタの自動車を選んだ場合に、もしもトヨタの偉い人が女性蔑視的な発言をしたら「やっぱり、トヨタの自動車を買うのはやめよう」という決断をするでしょうか?

トヨタの偉い人の発言は不快でも他社の自動車では命にかかわるとなれば、やはりトヨタの自動車を選ぶはずです。

この状態はつまり「より良い製品を製造販売することができれば、女性蔑視の発言は許してもらえる」という状態です(未だにこのような商品があるのは喜ばしいことです)。

また、オリンピックの開会式では楽曲制作を担当した小山田圭吾氏が、過去の凄惨ないじめ報道によって直前に辞任されました。

中には「昔の話であり、あの時はそういう時代だったから」と言って擁護する人もいましたが、あの当時に許されたのは小山田氏のミュージシャンとしての名声が非常に高かったからであり、一般人であれば普通に厳しく処罰されて当たり前のものでした。

今回の東京五輪で「仕事のできる人材に対して、甘すぎる」という欠点が露呈し、これまで許されていた人が許されなくなったのは何故でしょうか?

それは「仕事のできる人が持つ高い能力によって普通の人より多く得られる利益よりも、その人の欠点をお客さんに知られることで発生する損失の方が、遥かに大きくなった」からです。

もちろんこの背後には「インターネットがインフラ化し、客側の得られる情報が爆発的に増えた」という要因が潜んでいます。

植民地を回避するのも戦後に復興するのもお金は必要であり、それ故に仕事のできる人を非常に大事にしていました。

しかし今はテクノロジーが進んだことでお客さんの力が強くなっており、お客さんを本当の意味で大事にしなければならない時代になりました。

その時その場だけの神様扱いではなく、もっと長く広い意味で大事にする必要があるのです。

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