日本が貧しくなったということは、以前から書いていた話ですけれども。
きちんとまとめたものはなかったなー、とか思いましたもので。
その前に一口で「貧しくなった」と言うが、具体的にはどんな感じなのか?
東洋経済オンライン様の以下の記事より、グラフを引用させて頂きましょう。
そのグラフが以下です(リンク先の記事では他のグラフもあり、読みやすくておすすめです)。
引用は以上ですが、日本は他国に比べて経済成長していないことがわかります。
では行きます。
一言でムリヤリまとめますと、以下のようになります。
◎日本人の気質が今、これからの時代に合っていない
以上です。
気質が合っていないことで、価値観とそこから由来する教育も合わないものになっています。
その日本人の気質とは「保守的で慎重(=決断も遅い)、目の前のことを真面目でコツコツと、集団で一致団結して戦うのが得意」であり、それ故に「営利目的で集まってできた大きな会社組織で経済活動を行うのが得意」でもあります。
これはインターネットがインフラ化し、あらゆるものが分散化する前の、大量生産大量消費時代に最も適した組織でした。
今、これからの時代は「革新的で素早く決断、目の前よりも先のことを捉え(客先も含む)、機敏に行動する(一致団結する時間を持たず)」ことが求められています。
しかし同時に、以前とは違って生活に必要なものは概ね存在するという時代ですから、思考を重ねるということも要求されているのです。
というのも「この商品をひたすら生産して売れば良い」などという答えがないため、どういうものを今の客は求めているのかを考える必要があるからです。
この点についても、日本人には不向きと言えるでしょう。
上記、別の言い方をしますと以下です。
◎日本人は「プレイヤー至上主義」であり、それが時代に合っていない
以上です。
プレイヤーをもうちょっと具体的に言いますと「供給側かつ労働者」とも言えます。
つまり「目の前の作業をコツコツがんばるだけでは足りない時代になって、お客さん(需要側)のことも考えなければならない時代になった、だからデフォルトの自分=お客さんという立場で物事を考えられるようにならなきゃダメだよ」て話です。
これをもうちょっと具体的に言い換えてみましょう。
他の先進国と比較して、以下のようなことが言えます。
1,投資している国民が少ない(投資する客側の立場の人が少ない)
2,時代の進歩とテクノロジーの進歩に対する危機感が足りなかった
3,国民が妬んで足を引っ張る(供給側の立場で物事を考えるから)
以上です。
1番は以下の記事に書いた話です。
(「投資する客側の立場」というのは、投資すると資本家になりますけれども、稼いだお金をどう使うかという面で「株などの金融商品を買うことを選んだお客さん」という立場をより重視したものです)
上記リンク先の記事より、画像を再度掲載します。
上記右側の画像は金融庁の資料より頂いたものですが、そこで日本の家計(消費者)は、英国と米国(の消費者)に比べて株を持っていないことがわかります。
すると当然ながら株からのリターンも英国と米国に比べて少ない状態になり、このことで日本の家計で増えるお金は、英国や米国よりも少ないということがわかります。
となりますと「日本のご家庭では、物を買う時に使えるお金が(英国や米国の消費者よりも)少ない」状態になりますから、売り手である業者さんはその分の価格を引き下げて売らざるを得ないのです。
その引き下げられた価格の中には当然ながら労働者への人件費も含まれており、その労働者が消費者となって生活する時、使えるお金がさらに少なくなるということが起こります(所謂デフレスパイラル言うヤツやね)。
2番は以下の記事での関連する話です(ALIS外の記事ですけど)。
上記の記事で使用した図を再掲します。
この図は静岡産業大学学術機関リポジトリの岩本勇先生の論文「チャネル・リーダー移動と社会環境要因の関係に関する研究 ― 業界別PB比率とハーフィンダール指数 ―」を元にして描いたものです。
時代とテクノロジーの進歩によって、生活に必要なものがほぼ満たされた上に中抜きも発生、今や新たな生産や販売をせずに消費者同士での中古売買で調達するという選択肢も生まれました。
中抜きで卸売業と小売業者が要らなくなり、中古売買では製造業も要らなくなるわけで、そこで働いている人も要らないということになります。
もちろん中古売買でも供給側の人は必要であり、それが運送屋さんと仲介業者さんですけども、逆に言えば必要とされるのはここだけですから、供給側全体として見ると「テクノロジーの進歩によって、以前よりも供給側の人は必要とされなくなっている(人材が供給過剰な状態へ)」と言えます。
この状態になりますと、需要側であるお客さんはますます貴重な存在となり、それ故に主導権を持つ強い立場になるわけですが、先ほど1番で述べた理由で「日本のお客さんは欧米と比較してお金を持っていない(=欧米の人よりもお金を出せない)状態」にもなっているのです。
そのお客さんには言うまでもなく、先ほどの「以前よりも必要とされない労働者」も含まれているわけですから、お金を出せるお客さんはさらに少ない状態になります。
3番については、以下の二つの記事で書いた話です。
上記リンク先の記事を一行でまとめますと「日本人は妬んで足を引っ張る人が米国や中国に比べて多く、そのことが低迷の一因になっている」が、その最も大きな理由を私は「プレイヤー至上主義にあると考えた」という話です。
(「ニューズウィーク日本版」の元記事より、該当部分を引用致します。
大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が得られた。
引用は以上です)
日本人の価値観は、能動的か受動的かと言えば圧倒的に能動的なことを高く評価するものであり、それ故に能動的である労働者を含めたプレイヤーを非常に高く評価する傾向があると。
これが行き過ぎているあまり、受動的な側である客側の能力(特に評価する能力)を高めることが疎かになり、結果的に貧しくなっていると。
そしてもう一つ、国民が自らの立場を需要側である客ではなく供給側の労働者(=プレイヤー)の立場のみで考えていることが、他の供給側の成功者を妬んで足を引っ張る行為に繋がっていると。
ちなみに、上記リンク先の記事で加谷珪一氏は「日本人の金融や経済の知識不足」を理由として挙げておられますが、こちらも当てはまると私も思います。
従来までの金融や経済の知識不足も解消しなければなりませんが、さらにこれからの学びも追加しなければならない、とも思いました。
そのことを書いたのが以下の記事でした。
以上です。