何年か前、レオス・キャピタルワークス株式会社の藤野英人氏が「女性を女の子呼ばわりする会社には投資しない。何故なら女性を戦力とみなしていないから」という旨のことを仰っていたことがありましたが。
昔、私がお世話になった会社の中にも、そんな会社がありました。
この会社は従業員が五十名に満たない中小企業で、そこで働く正社員の女性は全員、地元の商業高校を出てすぐに入社されていました。
そこで私の上司は、定年退職した後にパート勤務になったおばちゃんだったわけですが、そのおばちゃんが以下のように言うのです。
「ここの会社の女の子は皆、学生の延長気分で働いているから」
「私だけじゃない、常務もそう言っているから」
(と、まずここで、後者の「常務もそう言っている」がおばちゃんの嘘だった可能性もあるわけですが、何回も言うてたので多分本当のことでしょう。
ここでは本当のことだったとして、話を進めます)
これを聞いた時にまず思ったのは「おいおい常務、そりゃないやろー」でした。
ならば何で全員高卒女子を雇うのか?
若い。
お給料が安い。
……だからでしょ?
学生の延長気分で働かれたくなければ、研修をちゃんとすれば良いのではないかと。
あるいは、もうちょっとお金を出して何人か大卒女子を雇うとか。
全員が全員、地元の同じ商業高校から採用しているから、そんな雰囲気になってまうんちゃうんかいと。
当時はそのように思ったわけです。
で、それから何度も転職をして。
もう、数えきれないほどの会社を経験して(端から有期雇用もあり)。
さらに思ったことは、以下。
「何で、誰も教えてくれなかったのですかっ!」
何だと思います?
思いつくものは二つあります。
1,会社が、営利目的で存在していること
2,会社は、生産活動をしていること
以上です。
もしかしたら、今の若い人は皆、学校でちゃんと教えてもらっているのでしょうか?
だとしたら良いのですが。
そうですよね?!
まさか、まさか、まさか。
私と同じ状態では、ないですよね?!
違うと信じて、昔の話として、続けます。
これは、酷くないですか?
二つとも、当たり前の話じゃないですか。
後者はまだまだ知らない人も多いですし、仕方がないとしましょう。
でも、前者は酷いと思います。
こんな当たり前の、でもこんなに大事なことを。
誰も、誰も、誰も。
何で、教えてくれなかったんですか?!
まぁ、このことは上記の会社だけの話ではなく、昔の日本では当たり前でしたけど。
夫に聞いたら「自分も学校では教えてもらっていなかったし、それは当たり前だったと思う。自分も働き出してから自分で気付いたし」と言われました。
で、話を上記の会社に戻しまして。
上で書いたような「学生の延長気分で働いている」人が多いのもまた、事実でした。
例えば上司など会社の他の人のいないところで「何とか先輩」と呼んでいるとか。
理由を聞くと「それを見た人に、学生気分が抜けないと怒られたから」だそうで。
あとは昔の学校がらみの行事に関連する個人的な話で、何か刺々しい雰囲気だったことがあったりするとか。
いや、営利目的で皆が集まっているんだから、そんな全然関係ない話で職場の雰囲気悪くすることもないやろーとか、そんなことを思ったもんです。
それでね、彼女らが卒業したのがまた、商業高校だったわけですよ。
つまりですね。
普通科なら、概ね大学行くでしょ?
大学行くなら、大学で就職する時に「会社は営利目的で」って教えてもらえるでしょ?
……という理屈で、うっかり教えるのを忘れていました……というのがあり得ない状況じゃないですかと。
学校を出たらすぐに就職するのがわかっているのに何故、そのことをちゃんと教えていないのだろうかと。
いや、本当は、こんなに簡単だけど大事なことは、中学校ぐらいでちゃんと教えておいて欲しいもんですけども。
くどいようですが、これはこの会社だけでなく日本全国津々浦々で当てはまることだと、私は確信しています。
(ちなみにこの会社は私が退社した後、倒産していたことがわかりました。
冒頭の藤野氏の仰ることはごもっとも、であるとも思っております)