前回「自費出版の闇?!」のお話をしましたが、この自費出版と似た「共同出版」というものもあります。
そこで詐欺っぽい共同出版の大手だった新風舎が倒産していたことに触れましたが、若い頃の私は、この詐欺に引っかかりそうになったことがありました。
以下のような流れです。
①短歌だか俳句だかのコンテストに応募する
②最終選考まで残ったが、惜しくも佳作以上はならず
③そのような作品をまとめて本にして売るので、共同出版して欲しい
その費用は三万円だか五万円だか、だったような気がします。
金額も比較的少ないし一句でも本に載るのは嬉しいからで、喜んで払う人もいるだろうなーとは思いつつ、私は該当しなかったのでそのままスルーしました。
新風舎と言えば、以下のようなことがあったようです(引用します)。
2007年7月4日、元大学教授ら3人が、全国約800の書店で販売すると勧誘されて新風舎と出版契約を結んだが、実際は一部の書店(原告のひとりの場合にはわずか3店)でしか販売されなかったとして、約736万円の損害賠償を請求する民事訴訟を東京地方裁判所に提起した。
ウィキペディア様からの引用は以上です。
明らかに勧誘時とは書店の数が大きく違いますので、これは詐欺でしょう。
しかし出版費用はその会社が決めることですので「自費出版よりも共同出版の方が安いです(だから嘘ではない)」と反論されると、詐欺とまで言えないかも。
というわけで、前回もお話ししましたが。
ここまでの話をわかった上で、応募したわけです。
通常の自費出版よりも、中身が良かったら少しは割引してくれるのではないかと。
もちろん投稿した作品はまともに読むことなく、一律に割り引いている可能性もありますが、それを疑い出したらキリがないからそこら辺のことは割り切って。
で、通常の紙の出版なら400~500万円になるところを、電子だったら安くなるだろう(でも他社よりは高いだろうけど)と考えた上で、そこそこがんばって書いて応募したわけです。
→(0)落ちました、が、素晴らしい作品で……以下略……。
→(1)「残すのが目的なので、電子でお願いしたい」と返信しました。
→(2)そしたら、つるっつるの自費出版の金額を出してきました。
→(3)その金額は、税込みで約250万円でした。えーまじでー?
→(4)お断りすると「稟議をかけたら150万円になります」(゚⊿゚)イラネ
上記2番で、共同出版のポーズすらありませんでした。
……もしかして、それがあったらやばかったかも?!
ここで冷静になることができたので、今はこの対応に感謝しています。
というわけで、もう一つ思い出したことがあります。
それは、以下の記事で、かつて書いていたことです。
該当部分を引用します。
「売る時には金のロレックスを身に着けると良い。何故ならお客さんから“この人は(客である)私のために、一所懸命におすすめしてくれているのだ”と思わせることができるから」という話です。
そして逆に「みすぼらしい状態で物を売ろうとすると、お客さんから“この人はお金に困っているから、お金が欲しくて必死で売りつけようとしているのだ”と思われる(だから売れない)」ということもお話しされています。
~中略~
◎お客さんから「この人は自分の利益のために売っている」と思われたら売れない
引用は以上です。
というわけで、この担当者はものっすごーく、私の書いた原稿を読み込んでいました。
「ここを褒めたら、この人は喜んでお金を出すだろうな」
というツボを見事に突いていたわけで、かなり時間をかけて丁寧に読み込んで頂いたことが伺えます。
そこまでお読み頂けるとは、書いた私にとっては感謝すべきことでしょう。
が、本来は、その読み込みは作品自体の評価という目的に向かうはずです。
今回の向かっている先は、私に多額のお金を出させるためという目的です。
(しかも割合で後者が多いとかいうレベルではなく、前者が0だからなー)
つまりこの人の「自分の利益のために売っている」ということが伝わっていますので、どんなに良いことを言われても、依頼する気持ちにはなれません。
……もちろん、高すぎて痛い(>_<)っていうのが一番ですけどねー。
そういえば、この会社の創業者様はですね、本が売れる大作家様を口説き落とすために、その作家様の短編の作品を全部暗唱していったり、別の大作家様に長文の感想文を本が出るたびに何通も出したり、そういうものすごい努力をされていたと。
……あー、そうかぁー。
それが一般人に向けられると、こうなるってことやね。
ある意味では、美しい企業努力と言えなくもないよね。
出版業界は非常に厳しい、今はそんな時代ですもんね。
この創業者様のものすごい努力は正直、私が一切持ち合わせていない能力だったので、その点を本当に尊敬していました。
それがこんな形で自分に向けられるとは……残念です。
大作家様が素晴らしい作品を残すのは、その時代の読者様の利益になります。
そしてその時代は、今よりも情報や娯楽の選択肢は遥かに少ない時代でした。
ところで先日、私はXのプロフィールを編集しました。
変更した最大の理由は「目指せ! 令和の安藤昌益」を入れたいなーと。
この安藤昌益と狩野亨吉は、挫けそうになった時に必ず思い出す偉人です。
詳しい話にご興味ある方は、以下の記事もどうぞ。
何故この話をするのかと言いますと、この偉人を知ったのはAmazonのレコメンドからだったんですね。
浮世絵を調べていた時、楽天の方ではレコメンドとして浮世絵師の本を挙げられていました(閲覧数など、他の要因でそうなったのかもしれません)。
浮世絵のコレクターとして狩野亨吉→安藤昌益の順におすすめされたと思います。
恥ずかしながら私は文系なのに、この偉人を知らなかったので、嬉しかったです。
冒頭に挙げた、共同出版の闇に私が初めて触れたのは、もう三十年以上前のこと。
あの時と同じようなことを、今の時代でも未だにやっているというのは驚きです。
今回の残念な気持ちに挫けることなく、Amazonで教えてもらった偉人に励ましてもらうことにして、もうちょっとがんばってみることにしました。
(それとあと、以前にALISで皆さんから頂いたコメントやいいねでも、励まして頂いております。ありがとうございます。もうちょいじわじわ、ちびちびがんばります)
というわけで、Amazonありがとうー、従来の出版業界は何やねん……て、力強く思ってしまった今日この頃。
この記事が、自費出版や共同出版を考えている方の参考になれば、幸いです。