書かれたのは昨年ですが、以下の記事を拝読しました。
(元ネタは「ニューズウィーク日本版」のこの記事ですが、上手く貼れず)
一部、引用させて頂きます。
大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が得られた。
日本人は、他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔しているわけだが、この実験結果は身近な感覚としてよく理解できるのではないだろうか。
日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できないことが多い。その間に他国が一気にノウハウを蓄積し、結局は他国にお金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる。
成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、これでは消費経済が活発化するわけがない。
以上です。
日本人が「他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔している」のは、一言で言えば「心の底でライバル視しているから」ではないでしょうか。
では、何のライバルのなのかと言いますと、同じ供給側に立つ者としてのライバルであり、つまりは「広い意味での商売敵」だと思っているのです。
「日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ」るのは、何故かと言えば「成功者は基本的に妬まれる」からであり、それ故に「自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくい」ということが起こりがちなわけです。
(客の立場であれば、新しい技術やビジネスを上手く使ってより幸せになったりお金持ちになったりできるかもしれないのですから、それは良いことですよね)
今回の最もわかりやすい職業の例が、寿司職人です。
以前、堀江氏が「寿司屋の修業はムダ」的な発言をして叩かれていたことがありましたが、あれは言い方がちと悪いだけで正しいことを仰っていたと思います。
お寿司屋さんの修業は非常に過酷で、技を盗めと言われ何も教えてもらえず、長い間安いお給料で下働きをさせられ、あるいはそこで虐められる場合もあります。
何でそんなことになるのかと言えば「弟子が一人前の寿司職人なるということは、その親方の商売敵が一人増えることになる」から、なわけですよ。
そしてもう一つ、この状況をお客さんの立場に立って考えてみましょう。
この状況は「安くて美味しいお寿司がなかなか食べられない(寿司職人がなかなか育たないから)」という状況ですから、お客さんが損をすることになりますよね。
(これは以前に書いた「(物やサービスの溢れた)今は、客側の立場の方が強い」という、時代の流れにも反することにもなります)
そう言えば先日『詳細)日本の生産性が低い真の理由は……日本国民は皆、○○側の立場に立っているから』という記事を書きましたが、あれに今回の話も含まれていましたね。
供給側が「己自身の利益を守ろうとすること」の中には、あの記事にある「客側に有利な情報を与えて、自分の不利な状況にしたくない」ということと、もう一つ「客側の中から、商売敵が生まれたら困る」というのもあります。
客側の立場が強くなり、これからも強くなっていく時代ですから、この考え方は時代に合っていないと言わざるを得ません。
ですが、この「プレイヤー至上主義」の考え方が日本で強くなりがちなのは、仕方がないところもあります。
というのも、災害が多いですから、日本という国は。
……って、この話は『日本人が労働者を含めたプレイヤーをありがたがるのは何故?』という記事で、書いていましたわそう言えば。
ご興味ある方は、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m