皆さん、エジプトにもIBMがあるってご存知でしょうか?
残念ながら会社名ではないですよ。
IBMとは、
I:インシャーアッラー(إن شاء الله)
B:ブクラ(بكرة)
M:マアレーシュ(معلش)
アラビア語の単語なのです。
エジプトをはじめ、アラブ諸国に馴染みのある方ですと「あぁ、それね。」となるくらいよく聞く言葉です。私もエジプトに留学していた時は毎日聞いていました。
では、それぞれどのように使うかを解説していきますね。
エジプト人は誰かと約束すると、「インシャーアッラー(もし神が望みたもうなら)」というセリフを必ずといって良いほど口にします。
私「明日15時にあそこのカフェでね。」
エジプト人(以下:エジ)「インシャーアッラー」
私たち日本人の感覚ですと、10分前には到着していたいですよね。そして少しでも遅れるかもと思ったら連絡をいれますよね。
エジプトでは違うのです。
私がある時エジプト人と待ち合わせをし、約束の時間を15分ほど過ぎたので連絡を入れてみると、「あと10分でつく」とのこと。
でもこれを信じてはいけません。なぜなら、おそらくまだ家にいるからです。
私「今どこにいるの?」
エジ「もう着くよ」
私「で、どこにいるの?」
エジ「〇〇駅(自分の最寄り駅)にむかっている」
エジプトに住んでいた1年で何度このようなやり取りをしたか......。
確かに約束はしました。でも人間は絶対ではないのです。
未来のことは誰にも分かりません。なので、今できることをする。
その結果どうなるかは神様が決めてくれることなのです。
ちなみに、私の待ち時間の最長記録は2時間です。
なにか急ぎの用がある時、「いつまでにできる?」と聞くと「ブクラ(明日)」と返答が。
もちろん本当に翌日を意味しているわけではありません。
私はカイロ大学に留学生としてエジプトに行きました。初めて大学を訪れ大学職員に、いつ留学生向けのオリエンテーションや授業があるのか尋ねたところ、返ってきた言葉が「ブクラ」。
明日という言葉を信じて翌日聞いた言葉は同じ、「ブクラ」。
エジプトに到着したばかりで感覚がまだ日本人だった私は、どうしたら良いか分からず......。
ですが、エジプト生活に慣れてくると非常に使い勝手の良い単語であると分かりました!
例えば、土産物屋の店員と長話で(あぁ、早く帰りたいなぁ。)
エジ「次はいつ遊びにくるんだ?」
私「ブクラ!!」
また、友人との長電話で(あぁ、早く電話切りたいなぁ。)
エジ「次いつ電話できる?」
私「ブクラ!!」
誰かと道でぶつかった時、「マアレーシュ(おっと、ごめん)」
物事がうまくいかなかった時、「マアレーシュ(まぁ、気にすんな)」
日々の中で非常によく聞く単語です。
このような場面でも使えます。
ある日友人の家に遊びに行く際、マイクロバスに乗っていました。
(エジプトの街中には、大きなバスターミナルはありますが、日本のようなバス停は存在しません。ですので、そのバスのルート上であればどこで乗ってどこで降りても大丈夫。便利です。)
街中を走っているマイクロバスは古いものがほとんどで、窓ガラスがなかったり、座席がボロボロだったりします。
その日利用したマイクロバスはスライド式のドアのロックがきちんとかからないものでした。なので、カーブの度にドアが開いたり閉じたり。エジプト人は慣れているのか誰もそのドアを気にしている様子はありません。
そして、スピードを出したまま急カーブしたバスのドアが開き(ここまで想定内)、
『どーーーーーーん』
という音が。
さすがにドライバーもおかしいと感じたのか、急ブレーキ。
バスの外を見てみると、おそらく100kg近くあるであろうおばちゃんが道端に。ドアがスライドして開いた時に遠心力でバスから飛んでしまったようです。
乗客全員驚くほどのスピードでバスを降り、おばちゃんにかけていた言葉は
「マアレーシュ」。
いかがでしょうか、エジプトのIBM。
もしエジプトに行く機会がありましたら、ぜひ使ってみてくださいね!