9月も終わり、すっかり涼しくなりました。
季節はもう秋。
ということで、小さい秋を見つけに行きました。
今回は萩の花を見に行きます。萩は初秋を飾る代表的な花ですよね。
京都には萩の名所があるのです。
それが梨木神社(なしのきじんじゃ)。
ここは別名、萩の宮と呼ばれるほどです。
さて、今年はどんな初秋の表情を見せてくれるのでしょうか。
梨木神社は京都の街のど真ん中にあります。
京の街のど真ん中とは、京都御所です。
この御所を含む京都御苑のすぐ横に梨木神社はあります。
公共交通手段はバスとなります。
京都駅や四条河原町などの繁華街から京都市バスに乗車。「府立医大病院前」バス停下車、徒歩2分です。
バスは頻繁に通っていますので、便利です。
やってきました、梨木神社・一の鳥居。
あれっ?
木で隠して分かりにくくしていますが、鳥居の奥にはマンションがででーんと建っています。
まっすぐ進めないので、参道は左に折れています。
なんでこんな事になっているのでしょう?
梨木神社は運営資金に困っていたため、この一の鳥居から二の鳥居の間の敷地をマンション業者に貸し出してマンションを建てさせたのです。
その土地の賃貸料で神社を運営することになりました。
ここは由緒ある神社であり京都御所の横でもあることから、マンション建設には懸念の声が上がりました。
神社本庁も激おこで反対したのですが、決意の硬い梨木神社は神社本庁を脱退してまでしてマンション建設を進めました。
それほど資金に切羽詰っていたということなのでしょう。
このマンションは、神社やお寺を長く運営する難しさを端的に表しているように思います。
さて、マンションを迂回して二の鳥居に来ました。
京都の街のど真ん中ですが、京都御苑の隣だけあって緑が豊かです。
先に進みましょう。
二の鳥居をくぐると早速萩の花が咲いています。
そして石碑が。
これはノーベル物理学賞受賞者で有名な湯川秀樹博士の歌碑です。
湯川博士は京都大学で活躍され、梨木神社「萩の会」の初代会長ということで、詠まれた短歌が石碑になっているのです。
『千年の 昔の園も かくやありし 木の下かげに 乱れさく萩』
味わい深いですね。
さらに参道を進みます。
参道の脇に可憐な萩の花がたくさん咲いています。
500株以上の萩が植えられているとのこと。
萩の花は小さくて地味ながらも、初秋の落ち着きを感じさせる花のように思います。
参道を進むと、萩の向こうに梨木神社神門が見えてきました。
先に進む前に、左手に折れると…。
手水舎があります。
ここは染井の井戸として有名なんです。
染井の水は京都三名水の一つで、唯一現存している名水です。
この横には蛇口があり、名水をペットボトルに入れに来る地元の人が跡を絶ちません。
飲んでみるとまろやかな味のように思いますが、僕の舌はあてになりません。
染井の井戸の横には、「御神木 愛の木」が。
たしかに立派な木ですが、愛の木って何?
この桂の木は葉っぱがハートの形なので、愛の木と名付けたということです。
その葉っぱってどんなの?
愛の木の葉っぱ。
うーん、ハート型と言えばハートですが、なんだか微妙…。
さて、神門をくぐります。
梨木神社では毎年9月の萩の花が咲く頃に、萩に俳句や短歌の短冊が結ばれます。風流ですね。
写真の短冊は府知事賞作品、
「参道は 萩のしぐれの 遠近法」。
まさに梨木神社の参道はそんな雰囲気です。
拝殿。
ほんとに京都の街のど真ん中なの?と思わせる木々の豊富さ。
そして、拝殿の脇にも萩は植えられ、俳句や短歌の短冊が吊るされています。
まるで七夕のよう。
萩の小さい花をアップで。
ピンクというか少し紫の小ぶりな花たちが可愛いです。
さらに進んで中門。
左右にははち切れんばかりの萩が。
この奥が本殿ですが、入れるのはここまでなので、こちらで手を合わせます。
梨木神社の御祭神は三條實萬(さんじょう さねつむ)公と、息子の三條實美(さんじょう さねとみ)公です。
三條實萬公は江戸時代の公卿です。
どのような方かというと…。
安政5年、日米修好通商条約勅許問題に関して反対の立場に立ち、将軍継承問題では一橋慶喜擁立に動いたことから安政の大獄により弾圧を受け、翌6年落飾して一乗寺に幽棲され10月6日この地で薨ぜられました。
明治2年、明治天皇から「忠成公」のおくり名を賜り、明治18年10月、公の生地である旧梨木町に神社が創建され、別格官幣社の御祭神として奉斎されました。
(梨木神社公式サイト)
安政の大獄が出てくることより、京都の歴史からすると結構最近の出来事に関与された方ですね。
また、息子の三條實美公は、
明治4年、太政官制における最高官職である太政大臣に就任、明治18年の内閣制度発足後は内大臣に転じられ、一時内閣総理大臣を兼任されるなど、明治政府の要職を歴任されました。
とのことです。
明治ですから、京都の中ではつい最近ですw。
萩の花はピンクだけではなく白もあって、白は清楚な感じでこれもまた良いです。
萩の横には藤袴(フジバカマ)もありました。
そしてこの季節、藤袴には蝶が飛来します。
この蝶は褄黒豹紋(ツマグロヒョウモン)。オレンジに黒の豹紋が良い感じです。
藤袴に飛んでくる有名な蝶であるアサギマダラを見かけなかったのは、ちょっと残念。
さて、可愛い御朱印があったので頂きましょう。
って、アマビエw。
なかなか可愛いじゃないですか。
梨木神社とアマビエとの関係はよくわかりませんが…。
咲き乱れるくらいの萩の花を見て、気持ちは夏から秋へと切り替わりました。
暑くもなくお散歩するのに良い気候になり、このような場所を訪ねるのは一層楽しいです。
これから秋が深まり、新型コロナウイルス緊急事態宣言が9月末で解除になったことと合わせて、さらに京都での楽しみが増えるように思います。
楽しんでゆきましょうね。
Camera: LUMIX G8
Lenses: LUMIX 12-60mm F3.5-5.6, 45-150mm F4-5.6, 42.5mm F1.7, LEICA 15mm F1.7, OLYMPUS 9-18mm F4-5.6
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