紅葉の秋!
僕は毎年この時期、京都の紅葉の名所を巡っていますが、今年はちょっと趣向を変えて京都のお隣、滋賀の紅葉の名所を訪ねましょう。
滋賀には素晴らしい紅葉ながらも京都ほど知られていない穴場的な名所がたくさんあるのです。
今回は、その中でもピカイチとの評価が高い、湖東三山と永源寺の紅葉を見に行きます。つまり合計4か所のお寺を一気に拝観します。
この4か所はどこも名刹と言われるお寺で穴場と言うには有名すぎるのですが、一体どんな光景が見られるのでしょうか?
湖東三山と永源寺は地図のように琵琶湖の東にあります。
いずれも山の麓にあるのがわかります。
これらのお寺に行く公共交通機関はかなり不便です。
JR琵琶湖線(東海道線)の彦根駅などからバスが出ていますが、本数は極端に少ないのです。路線バスを使って一日に4か所を回るのはかなり困難。
ほとんどの参拝者はマイカーで来られているようです。京都からだと名神高速道路で行きます。
でも京都から遠く、かつ紅葉シーズンは渋滞しそうなので車を運転して回るのはしんどそう。
このように不便なので僕はなかなか行きそびれていましたが、今回いい交通手段を見つけました!
それがツアーバス!
「秋の近江路~湖東三山と永源寺~」と名付けられたツアーです。
このバスは京都駅発着で、日帰りで4か所のお寺を巡ってくれるのです。
しかも昼食付きらしい。便利そう。
今回は、このバスで湖東の紅葉を巡りましょう。
それでは、スタート!
ツアーバスは京都駅から名神高速道路を進んで、まずは永源寺にやってきました。
永源寺(えいげんじ)。
湖東随一の紅葉の名所と言われています。
行ってみましょうー。
総門。
おお、なかなかの紅葉ですね。
総門の横には手水鉢。落ち紅葉がいい感じです。
この手水鉢は耳の形をしていて、「洗耳水」と名付けられています。
世俗の悪い話を聞いた耳を洗ってからお寺に入りなさい、とのことで耳の形。
さすがに耳を洗っている人はいませんけどね。
さらに進むと見事な山門。
紅葉が鮮やかですね!
永源寺の本堂・方丈。
茅葺き屋根が特徴です。琵琶湖の葦(ヨシ)で葺かれているとのこと。
天気が良くて暖かくていい感じ。
写真のように結構参拝客は多いですが、京都の有名寺院ほどではなくのんびりした雰囲気。
本堂の横にはこのような写真スポットが。
空の青、黄と赤の紅葉、地面の苔緑が全部入るSNS映えスポットです。
水面に反射する永源寺の文字がちゃんと見えるように、逆さまに設置されているプレートがあざと…、いや粋ですねw。
紅葉真っ盛り、眼がチカチカするほどです。
バスの集合時間があるので、そろそろ戻りましょう。
総門の間から見える鮮やかな紅葉を振り返りつつ、バスに戻ります。
ちょっとお腹が空いたので、永源寺名物「みそでんがく」を。
こんにゃくの田楽です。アツアツでピリ辛のこんにゃくと甘辛い味噌がおいしい。
さて、慌ただしくツアーバスに乗って次のお寺に進みます。
なにせ、日帰りで4ヶ所のお寺を巡らないといけませんから。
お次は、百済寺(ひゃくさいじ)。
このお寺は天台宗湖東三山のひとつです。
いずれも紅葉の名所なので、今回は三山すべて巡ります。
百済寺本坊庭園。
よく紅葉してきていますねー。
この本坊庭園は山腹を利用して作られており、高台に上がると遠くまで見渡すことができて素敵です。
天下遠望の名園と称されているとのこと。
さらに、ここからさらに上りましょう。
湖東三山はどれも山腹に建物があるので、拝観するのも高低差がありちょっとしんどいです。
仁王門。立派ですね。
ここの特徴である吊り下げられている草鞋(わらじ)は、仁王様が履く草鞋。
なんで、こんな大きいの?
百済寺公式サイトによると、昔は50cmくらいの大きさでしたが、この草鞋に触れると健康長寿のご利益があり大きい草鞋だとご利益も大きくなるとのことで、どんどん巨大化したらしいですw。
仁王門からさらに上がって本堂へ。
この本堂は1650年に再建されたもの。
かつての本堂は織田信長の比叡山焼き討ちの後(1573年)に信長に焼かれています。
ここは比叡山延暦寺と同じ天台宗で勢力が強かったようですから、信長に焼かれてもしょうがなかったのかな?
この本堂は重要文化財です。
湖東三山の他の2か所の本堂はいずれも国宝ですが、ここだけ重要文化財なので土足で入ることができます。
というか、重要文化財だから土足で入って良いとはどれだけレベル高いんや、この地域…。
落ち紅葉もある参道沿いの紅葉に光が注いで、美しい光景です。
不断桜もありました。秋から春まで咲く桜。
紅葉の赤を背景にピンクの桜が咲く姿はとても面白いですね。
さて、あっという間に集合時間。
バスに戻らないと!
もうお昼すぎ。
ツアーバスに乗って、お次は昼食会場へ移動です。
昼食は千成亭(せんなりてい)にて。次に行く西明寺のすぐ近くです。
千成亭は近江牛の老舗なんですよ。
千成亭では「近江牛すき焼き鍋御膳」が出されました。
近江牛やで、近江牛!
グツグツ煮えたつ近江牛、おいしいよー。
ちょっと量が少なかったかな。
でもツアー料金は昼食込み、4ヶ所の拝観料込み消費税込みで10,000円ポッキリなので、十分かと思います。
お腹が満たされたので、次は昼食会場のすぐ近くの西明寺へ。
湖東三山 西明寺(さいみょうじ)。
奥に見える重要文化財、二天門の周囲は紅葉が進んでいます。
そして、やっぱり多い階段。バス降り場からここまでもすでにだいぶ登ってきています。お年寄りには大変そう。
このバスツアーもご高齢の方が多かったのですが、ちょっと辛そうな方もおられました。
さらに、ちょっと天気も悪くなって曇ってきました。
ここは名勝庭園「蓬莱庭」。
苔と紅葉の対比が美しいです。日差しがあればさらにきれいでしょう。
登って二天門をくぐると本堂が。
この西明寺本堂は国宝です。しかも国宝第一号に指定されました。
国宝第一号といえば京都・広隆寺の弥勒菩薩が有名ですが、この本堂など他も同時に第一号として指定されたとのことです。
このようなお話を本堂でお坊さんがしてくださいました。
お坊さんによるとこの本堂は鎌倉時代の初期の建立で、釘を一本も使わず建てたものとのこと。
織田信長の比叡山の焼き討ち(天台宗延暦寺)に続く湖東三山の天台宗寺院の焼き討ちからもなんとか逃れ、今日まで残っているとても貴重な建物。
そりゃ国宝だわ。
本堂の横には三重塔が。
黄色や朱の紅葉とのコラボが見事ですね。
この三重塔も国宝。
鎌倉時代後期の建立で、本堂と同じく釘を一本も使わず建てているとのこと。
湖東三山、すごいやん!
と、バスツアーの集合時間が迫っているので、美しい紅葉を見つつ慌てて下山します。
時間までに戻ってこれないお年寄りの方もおられたくらい、ちょっとハードなスケジュール。
秋の短い日暮れまでに4か所を回らないといけないので、窮屈なスケジュールなのはしょうがないです。
いよいよ4か所目、最後の訪問地である金剛輪寺(こんごうりんじ)に着きました。
西明寺と同じような二天門(重要文化財)があり、草鞋にが飾ってありますね。
二天門をくぐると本堂。もちろん国宝。
ここも鎌倉時代建立で、織田信長の焼き討ちから難を逃れて今に至る建物です。
信長の軍勢が焼き討ちに金剛輪寺の麓まで来たときに、寺のお坊さんは本堂の下の階段あたりで大きな焚き火をしたそうです。
その焚き火を麓で見た信長の軍勢は、お寺の坊さんが自ら本堂に火をつけたと勘違いをして引き上げたそうな。
なので本堂は今も残っているのです。
この本堂で、お坊さんがそんな話をしてくださいました。
そして本堂の横には三重塔。こちらは重要文化財です。
湖東三山は国宝だらけで、重要文化財くらいなら大したことないように思えてしまう、これが湖東三山の凄さ。
もちろん紅葉もとても美しい。
階段続きの参道の両脇には風車を持ったお地蔵さんがずらりと並んでいます。
これが金剛輪寺名物の千体地蔵。
お地蔵さんが沈みかけた夕日に照らされて、神々しい雰囲気が漂っていました。
こちらは名勝庭園。
夕方暗くなってきたのでライトアップが始まっています。
湖東三山はどのお寺も庭園が素晴らしかったです。特に紅葉の時期は。
さすが名刹と言われるだけのことがあります。
あまり知られていないけど、すごいお寺ばかりですね。
錦秋という言葉がぴったりの、鮮やかな紅葉の光景。
ただただ見とれていました。
あっ、見とれている場合じゃない、バスの集合時間だぁ!
金剛輪寺の入口(出口)の黒門まで山を降りてきました。
ここも素敵なお寺でした。
これで今回の拝観はすべて終了です。
金剛輪寺黒門前の駐車場に止まっているバスに乗って京都駅に帰りましょう。
もう日が落ちています。秋の日はつるべ落とし。
ちなみにバスにはLionsと描かれています。これはもちろん西武ライオンズのこと。
バスの運行会社は近江鉄道で、近江鉄道は西武グループなのです。
西武グループの総帥である堤(つつみ)家は、近江鉄道沿線の滋賀県東部の出身。いわゆる近江商人です。
堤さんは故郷の赤字ローカル鉄道を支援するために、近江鉄道を西武グループに入れているのですよ。地元では名士中の名士のようです。
帰り道、バスの車窓から。良い夕焼けです。
今から名神高速道路に入り、京都へ向かいます。
ちょっと寂しいかな。
4ヶ所のお寺を回って疲れたと言いたいところですが、ツアーバスで回れたので疲れはかなり少ないです。
公共交通機関を使ったり自分で車を運転して行くなら、こうはいかないでしょう。ツアーバスさまさま。
さて、まだ元気なのでバスの中でなにかしようかな?
と思っていたら、グーグー(-_-)zzz
はっ、気づいたら真っ暗やん。もう京都駅に到着!
運転手さんガイドさんにお礼を言ってツアーバスを下車し、今回のお散歩というか小さな旅は終了です。
朝の9時半出発で夜の6時半に帰ってきたので、9時間のツアーでした。
永源寺と湖東三山、いずれも見どころがある名刹の美しい紅葉でした。それぞれに特徴があって甲乙つけがたい素敵なお寺。
国宝や重要文化財だらけの名所で紅葉も一級品なのに、京都じゃなくて隣の滋賀の不便な場所にあるため訪れる人がそれほど多くない。これもまた良いですね。
そしてツアーバス、これマジ便利!
(ツアーバス会社からの利益供与は一切ありません。)
Camera: LUMIX G8
Lens: LEICA 12-60mm F2.8-4 with C-PL filter
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