京都・八坂神社の奥にひっそりとたたずむ長楽寺。
便利な場所にあるわりには知られていないけれど、素敵なお寺。
この長楽寺の御本尊は秘仏で、普段はまったく公開されていません。
しかし、天皇陛下が即位される際にだけ開帳、つまり一般に公開されるのです。
これは長楽寺が創設された805年以来の伝統とのこと。
(今まで天皇が崩御された際にも開帳されたことがあるとのことです。)
秘仏が見られるというだけでワクワクしますね。
今回、天皇陛下御即位にともない30年ぶりに開帳されましたので、見に行ってきました!
京都祇園・八坂神社の奥に円山公園があります。
ここまでは有名で多くの観光客が訪れるのですが、円山公園の奥まではみなさんあまり行きません。
その奥、後ろはもう東山という場所に長楽寺はあります。
山の斜面なので階段だらけです。
長楽寺は桓武天皇の勅命により伝教大師最澄が805年に創建したお寺です。
平清盛の娘、建礼門院が出家された寺としても有名で、平家物語にも記されています。
由緒ありますね。
では、境内に入ってみましょう。
階段を登ると、長楽寺本堂。
この奥に秘仏であり御本尊の「准胝観音(じゅんていかんのん)像」が安置されています。
と、本堂の前になにやら棒が立っています。
これは、角塔婆(かくとうば)で、紐が吊るされていますね。
この五色の紐は、本堂内の御本尊に繋がっているんです。
御本尊を直接触ることはもちろんできませんが、この紐を触ることで間接的に触れることになり、縁を結ぶことになります。
僕はめっちゃ触りましたね。
さて、その御本尊・秘仏はどんなのでしょう?
本堂の中に入ります。
と、本堂内は撮影禁止なんですね、やっぱり。
ということで、上の写真は長楽寺の看板を撮ったもの。
本堂仏壇の写真です。
これは秘仏で御本尊の准胝観音像が安置されているお厨子(入れもの)です。
そして写っている仏像は秘仏ではなく、前立ちの阿弥陀如来像。
いつもはこの光景を見ることができますが、今日はこのお厨子の扉が開くのです。
これがその秘仏!
秘仏 御本尊「准胝観音像」
出典: 長楽寺オフィシャルサイト
オフィシャルサイトから引用しました(引用の条件は満たしていると思います)。
ちっちゃくてわかりにくいですね。
観音様が二頭の龍の上に乗っています。
この像は、ここ長楽寺の開祖である有名な最澄(伝教大師)が中国と日本の間を航海していて、船が難波しそうになった際にこの二頭の龍に乗った観音様が現れて波が静まったといういわれから彫られたとのことです。
ちっちゃいので、持ってきた単眼鏡で拡大してまじまじと眺めました。
細工が見事で、とてもありがたみがあるものでした。
秘仏を一目見ようと訪れる人は多く、階段を上るにも不自由される思われるくらいのご高齢の方もたくさんお見かけしました。
今回で見納めと思って、少し無理をしてでも参拝されたのだと思います。
幾人ものお年寄りが山の斜面の階段を一段づつゆっくりと上り下りされているのを見ていると、人生の残り期間について考えさせられるものがありました。
さて、長楽寺は庭園も美しいのです。
新緑の額縁庭園。
長楽寺庭園は相阿弥が銀閣寺の庭園を作る前に試作として作ったと言われる庭園です。
この庭園は銀閣寺庭園より規模は小さいながら、背後の東山の斜面をうまく利用してそびえ立つように立体的に作られており、山の湧き水を利用した池もあるなど工夫が凝らされている庭園です。
今は新緑と青空がとても鮮やか。
少しだけ朱色が入っているのがまた粋です。ノムラモミジかな。
このお庭は季節によって大きく色を変えて、一年中飽きさせません。
昨年の初秋に訪ねた記事はこちら。
長楽寺は東山の斜面に建っているだけあって、京都市街の眺めも良いです。
もちろん御朱印もいただきました。
「天皇御即位本尊御開帳」の印、そして開帳された秘仏の准胝観音菩薩と筆書き。
この時期だけの特別御朱印です。
秘仏をしっかりと目に焼き付けたので、そろそろ帰りましょう。
八坂神社を通っての帰路。
鳥居に新緑、そして浴衣がよく似合います。
ほんの2ヶ月前とはすっかり色を変えた京都東山。
夏の日差しは強いけれど、素敵な季節がやってきています。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4
よろしければ他の記事もご覧くださいね。