平成元年(2020年)10月22日に行われた、即位の礼(即位礼正殿の儀)。
このときに、天皇陛下がお昇りになった「高御座」。覚えていますでしょうか?
これですよね。
今回、この高御座が期間限定で一般参観に供されました。
しかも、東京の皇居ではなく京都御所にて。
これは必見!
ということで、京都御所まで高御座を見に行ってきました。
それにしても、なんで高御座の公開場所が京都御所なのでしょう?
実物を見ると、とても興味深いことがありました。
では早速行きましょう。
京都御所の場所は言うまでもありません。京都の中心部です。
というか、御所を中心に京の街が作られているのですから。
ここが入口となる、京都御所清所門。
この高御座等の一般参観には予約は要りません。しかも無料です。
結構な人が並んでますが、これは朝9時に参観が始まる前の様子で、僕が帰るときには列はなくなっていました。
整理券をいただきました。
9時前に到着し9時からの入場整理券をもらったので、ほぼ待ち時間はありません。
入場は先着順で1時間に600名、合計1日5000名でした。
この日はそれよりかなり少ない人数しか来られていなかったように思います。コロナの影響でしょう。
さて、門をくぐって入らせていただきます。
おっと、その時に体温チェックとカバンの中身チェックを通過しないといけません。
これはセーフ!
まずは、新御車寄(しんおくるまよせ)。
天皇陛下や外国からの来賓の方々は、ここで車を降りて建物へ入られます。
玄関ですね。
もちろん、今も使われています。
参観は順路があるので、さらに進みましょう。
こちらは承明門。
京都御所内裏の南正面にある朱色が鮮やかな門。
奥に最も格式の高い京都御所の中心たる建物、紫宸殿が見えます。
この門はわれわれ下々の者がくぐることはできませんので、横から入らせていただきます。
承明門のあたりの順路沿いには、即位の礼の模様を撮った写真がいくつも展示されていました。
これは即位の礼の時の写真で、天皇陛下がおられるところが高御座です。
写真の左には安倍元首相が万歳三唱されている姿が写っていますね。
さて、この高御座が今は紫宸殿に置かれているので、見に行きましょう!
いよいよ、御所の中心的な建物で高御座が置かれている紫宸殿(ししんでん)の前へ向かいます。
これが紫宸殿。
ここは京都御所の中心的な建物で、最も重要な行事が行われる場所。
つまり、京都が都であった1000年にわたって日本のまつりごとの中心になった場所なんです。
人の大きさと比べていただくとよいのですが、かなり大きくて堂々とした、風格のある建物です。
そして、手前にある木が「左近の桜」。
「右近の橘、左近の桜」とひな人形で知られていますが、ひな人形の桜はこの紫宸殿前庭の桜の木を模しているのです。
順路に沿って、さらに近寄ってみます。
紫宸殿の正面まで来ました。
階段がありますね。これがひな人形のひな壇のルーツです。ここ紫宸殿のミニチュア版として作られたのです。
男雛と女雛は天皇皇后両陛下のこととされています。
列を進みつつ参観しますが、ご覧のようにあまり参観者は多くありません。
朝一番でありコロナの影響もあると思いますが、このゆったりさは京都だからかなとも思いました。
東京で公開があったとすれば、恐らく長蛇の列で数時間待ちになるでしょう。
では、最前列まで行って、建物の中にある高御座を拝見しましょう!
紫宸殿と書かれた額の奥に高御座が見えますね!
もうちょっとカメラレンズをズームして見てみましょう。
ここで注目していただきたいのは、高御座のサイズです。
紫宸殿の柱の間にピッタリ収まるサイズ。
そして、高さもちょうど台と屋根が隠れるようになっているのが奥ゆかしくて良いです。
なぜこんなにジャストサイズなのかと言うと、この高御座は大正天皇の即位の礼のときに作られたもので、その即位の礼はここ紫宸殿で行われたので、この場所に置くことを前提として作られているからなんですね。
そうやって見ると、高御座は今回の即位の礼が行われた東京の皇居宮殿・松の間のだだっ広い空間よりここ紫宸殿に置かれているほうがしっくりきますし、よりふさわしいようにも思えます。
なのでここだけの話、この紫宸殿で即位の礼をされたらいいのにと京都に代々住む人は思っていたりするのですが、それは決して口に出しません。
公に口に出すと、天皇が京都から東京に移られた時の複雑な事情を蒸し返し、首都論争に発展して政治的に物議をかもすことになりかねませんから…。
この項目で書いたことは、マスコミではなかなか書けないことでしょう。
パネルの写真には奥に皇后陛下がおられる御帳台(みちょうだい)も写っています。この御帳台も紫宸殿に置かれています。
高御座の横に御帳台。
場所がやや狭い感じもしますが、やはりぴったりと収まっていますね。
普段、高御座と御帳台は京都御所に保管されており、今回の即位の礼の際には解体されて東京の皇居に運ばれたのです。
そして、即位の礼が終わったのちに再度解体されて京都御所に戻ってきて組み直され、今回公開となりました。
本来もっと早くに公開される予定でしたが、新型コロナウイルス流行があったので公開が遅れて、令和2年の夏にようやく公開となりました。
つまり高御座の本来の居場所は京都ということで、これは結構大きな意味を持つように思うのですが、それは深堀りすると先に書いたように首都論争になりかねない、政治的に繊細な部分かと思います。
高御座は一列に並んで歩く人の流れに乗って見るため、ゆっくり見ることはできません。あっという間に正面から追い出されましたw
さきほどの左近の桜の反対にある、右近の橘がきれいに養生されていました。
紫宸殿をあとにして、御所内の他の公開されている施設も見学します。
御池庭
池を中心とした回遊式庭園。さすが宮内庁管理だけあって、素晴らしく整っています。
前面は洲浜で、浜辺を模しています。架かっている橋は欅橋(けやきばし)。
きちんとした感じの、完成度の高い美しい庭園です。
こちらは御常御殿。
京都御所の中で最も大きな建物とのこと。
かつては天皇が日常のお住まいとして使用された御殿。
それだけに立派です。
建物の公開だけではなく、即位礼正殿の儀の服装も展示されていました。
昔からあまり変わらない日本の正装。歴史を感じることができます。
御常御殿の前には御内庭。
御池庭より面積は狭いですが、様々な要素がみっちり詰まっているように思います。
曲折した遣り水を流し土橋や石橋を架けた趣向を凝らした庭で,奥に茶室を構えているとのこと。
さて、参観コースを一巡りして終わりです。
京都御所で見る高御座は格別なものがありました。
やはり京都は都なんだなぁ、と感じることひとしおです。
暑い夏の一日、すこしだけ高貴な気持ちになることができました。
高御座は今回期間限定公開でしたが、京都御所は通年公開されており、予約なしで参観できます。
京都御所は長らく日本の中心であった場所で、それを物語る風格を感じます。
機会があればぜひ訪ねてみてくださいませ。
Camera: LUMIX G8
Lens: LUMIX 12-60mm F3.5-5.6
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