現在、日本本土(北海道、本州、四国、九州)には2種類のヘビ蛇を含め8種類のヘビが生息しているとされています。
ヘビは変温動物として有名ですが、気温の変化に敏感で、暑すぎると活動が控えめになり、寒すぎると冬眠を始めます。
今回はそんな気温の変化とヘビによる咬傷率についての研究の紹介です。
どうやら気温が1度上昇することで、ヘビに咬まれる確立が上がるようです。
参考記事)
・Your Chances of Getting Bitten by Venomous Snakes Are Increasing – Here's Why(2023/07/19)
参考研究)
・The Association Between Ambient Temperature and Snakebite in Georgia, USA: A Case-Crossover Study(2023/07/11)
気候変動によって様々な影響が考えられていますが、アメリカのジョージア州行われた研究では、暖かくなるとヘビに噛まれやすくなるとう結果が報告されています。
ジョージア州には17種類の毒ヘビが生息しています。
その中で人に害を及ぼす危険性が高いのは7種類とされています。
調査の分析では、気温が1度上昇するごとに蛇に噛まれる確率は平均して6%近く上昇することが分かりました。
蛇は季節的な天候の変化に反応し、冬には冬眠のような状態になります。
しかし、研究者達はこの関連性や理由を深く掘り下げてはいません。
ヘビの生態以外にも、気候の温暖化や人間の活動が関係している可能性があります。
ジョージア州エモリー大学の健康・環境科学者ノア・スコブロニック氏は、「危険なヘビによる咬傷の多くは、罹患率や死亡率の原因について十分なデータがない場所で発生していることもあり、気象の短期的な変化が人間と縁の相互関係にどのような影響を与えるかについてはあんまりわかっていない」と述べています。
続けて、「かなり控えめなデータであっても、確立された疫学的手法を用いればヘビ咬傷のパターンについて多く学ぶことができる」とも述べています。
スコブロニック氏ら研究チームは、2014年から2020年までの3,908件に及ぶ毒ヘビの咬傷による受診履歴を調べました。
これらによる入院は、基本や降水量などの詳細を含む同日の天気と照合されました。
咬傷の総数は夏が最も多かったことが分かりましたが、気温と蛇に噛まれた件数の関連性が最も強かったのは、実は春であることも分かりました。
研究者によれば、夏の気温が高いと蛇の動きが鈍くなる可能性があると考えられています。
WHOの推計によると、蛇による咬傷は年間500万件を超え、毎年13万8000人が死亡しているとされています。
蛇の毒は、手足の切断など、後遺症を伴う多くの健康問題を引き起こす可能性があります。
江守大学の爬虫・両生類学者ローレンス・ウィルソン氏は、「蛇との遭遇を減らすために重要なのは、教育である」と述べています。
「茂みが地面を覆っている場所など、ヘビが好む生息地を理解することで、噛まれる危険性は大きく減らすことができる」と注意を呼びかけています。
日本本州で気をつけるべきヘビはマムシとヤマカガシですが、夏の気温が高く、彼らの動きが鈍ってるとはいえ間違って踏んで咬まれないように気をつける必要がありますね。
特に外出が多い夏休みなどはより警戒が必要そうです。
この研究は、GeoHealthにて確認することができます。