太陽系の惑星の中で最も大きい木星。
半径は地球のおよそ11倍とされ、体積で比べると地球を約1300分も詰め込むことができます。
また、高温部と低音部が交差する部分に発生する“大赤班”は地球の13倍もの大きさがあり、木星のスケールの大きさがうかがえます。
しかしこの大赤班、その大きさが年々縮小傾向にあると考えられており、その変化に注目が集まっています。
今回はそんな木星についての研究のお話です。
参考記事)
・The Mystery of Jupiter's Ever-Changing Stripes May Finally Be Solved(2023/05/28)
参考研究)
・Jupiter’s cloud-level variability triggered by torsional oscillations in the interior(2023/05/18)
木星のといえばまるで目のようにも見える特徴的な縞模様があります。
この巨大惑星の縞模様を形作っている濃淡の雲は、周期的にその姿を変えます。
しかし、その理由は未だ明らかになっていません。
日本、スペイン、イギリスの科学者チームは、木星探査機“ジュノー”が収集した木星の磁場に関するデータを解析しました。
すると面白いことが分かりました。
木星のガス内部の磁気振動と木星の磁場の様子が一致しているのです。
イギリス リーズ大学の数学者クリス・ジョーンズ氏は、「惑星の磁場は、ねじり振動と呼ばれる波状の運動を得ることができる」と述べ、この現象に迫っています。
このねじり振動の周期と、木星の赤外線で見える範囲の周期が一致していることから、磁場との関係が強く疑われています。
木星の模様の濃い部分はベルトと呼ばれ、淡い部分はゾーンと呼ばれます。
ベルトとゾーンは木星の荒々しい気性システムの一部です。
観測から、ベルトは木星の自転に逆らうように、ゾーンは自転の向きと同じ方向で木星を周回していることが分かりました。
ベルトは上昇流のある地域で、雲の上は下降流のある地帯の雲よりも高くなります。
赤外線(↑の画像)では色調は逆転します。
明るい帯は暗くなり、位帯は明るく輝くことから、ベルトはゾーンよりもはるかに薄い雲で追われていることが分かります。
地球には同じような大気循環の交互帯があり、木星も大気を生み出す方法に類似点があることが示唆されています。
しかし、木星には周期的な雲の変化があり、これは地表から50km下の赤外線データで観測された変化と関連しているため、科学者たちは困惑しています。
ジュノーは2016年から木星を調査しており、木星のさまざまな構造や性質について、多くのデータを収集しています。
そのひとつが木星の磁場(惑星内部で回転する対流動電性の流体が、運動をエネルギーを磁気エネルギーに変換したもの)によって発生する巨大な磁気構造です。
これによって気象に大きな混乱が生じ、木星雲の上昇流と下降流のパターンが変化する可能性があります。
また、赤道付近の“大青班”と呼ばれる、磁場の高濃度領域も追跡しました。
その結果、磁場が減速していることが分かり、新たな振動が始まっていることが示唆されています。
近い将来、木星の雲がどのように変化するのかを確認するため惑星の観察を続けることで、木星に隠された深部内部を探る手掛かりになることが期待されています。