最近、菅総理のご子息を含めた民間企業による高額接待が問題視され、国会答弁、マスコミの報道などに連日対応していた山田真貴子 内閣広報官が、体調不良を理由に退任しました。
総務省出身のキャリアで、総理からの信頼も厚かったとされていますし、男性中心で回りがちな官庁において、女性ながら要職ポストに就いていたという点で、かなり優秀な方なのだろうと推測いたします。
もちろん、公務員として民間企業から高額の接待を受けたこと、しかも総理のご子息がその場にいたとなれば、刑罰はなくとも、倫理的には問題でしょう。そのことは、金額の大小を問わず、許容されるべきではないと思います。
しかし、筆者が気にしているのは、本質から逸脱したところで山田氏を非難する野党とマスコミ、そしてSNSなどを通じた人々の姿勢です。問題とされている「総理のご子息がいる場での高額接待」について追及するならともかく、山田氏がかつて述べた「飲み会を断らない」という姿勢まで持ち出し、日本全体が彼女を悪者に仕立て上げたという構図に眉をひそめています。
この「飲み会を断らない」というのは、是非はともかく山田氏本人のポリシーであり、憲法にも認めらている「個人の信条」です。このポリシーによるパワハラなど、直接影響が及んだ方が言うならまだしも、山田氏のことをよく知らない市井の人々が、これを断じてしまうことに違和感を覚えます。
さらには、ワイドショーなどで女性芸能人が「私は、飲み会を断る女」と皮肉ったことを持ち上げるSNSの風潮、あるいは広報官としての給与の高さ、はたまた「都内の高級億ションのローンを繰り上げ返済」みたいな、真偽のほどがうかがい知れない待遇面での揶揄まで、あらゆることが連日報道されています。
事の発端から離れ、よくは知らぬ人に執拗なまで攻撃を続ける。つい最近までは、森喜朗・前オリンピック組織員会会長の女性蔑視を問題にしていたと思ったら、今度は上り詰めた地位にいる女性の袋叩き。節操もない。
これ、いじめの構図と一緒ですよ。
問題は問題として非難はされても、問題を起こした人間の人権は守られるべきだと筆者は強く思っています。
善も悪も、皆一緒。
悪を犯した人も、善と思って悪を断じる人も、根は一緒です。