出身地である福岡県の郷土料理のひとつに、「がめ煮」があります。
「がめくりこむ」という方言が語源で、「色々な種類の具材を一緒に混ぜ込んで(がめくりこんで)煮たく」という意味なのだそう。
このがめ煮、オードソックスな作り方としては、里芋や椎茸、人参ゴボウ蓮根などと鶏肉を油炒めした後、酒や醤油、砂糖や味醂で味付けして煮込むものです。
かなりパンチのある語感ですが、一般的には「筑前煮」と称されます。「筑前」という名の通り、福岡県の北部では「筑前煮」、いわゆる「筑後」にあたる南部では「がめ煮」というようです。とはいっても、意味はお互いにわかるので、私の地元・北九州では「筑前煮」が主流ですが、「がめ煮」でも通じます。
筑前煮とがめ煮、単に呼び名が違うだけの同じ料理かと思いきや、微妙に違うのだそうです。大差はないのですが、筑前煮では骨なしの鶏肉を使うのに対し、がめ煮では骨付き肉を使うのだとか。
(ちなみに、鶏肉のことを「かしわ」というのは福岡県、どこでも同じようです。)
福岡県のどこまでが「筑前煮圏」で、どこからが「がめ煮圏」なのか。
個人的に知り合いに聞いていった結果、だいたい久留米以南はがめ煮、それより北は筑前煮という傾向がありました。
ちなみに、お節料理のひとつ「お煮しめ」は、具材を油で炒めずにそのまま煮込むものを指すようです。私の母は、筑前煮をお煮しめというのですが、厳密には違うもののようですね。
参考:一番どりHP