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私たちはいつこの技術を使うべきか?国連ブロックチェーンイベント(2)

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  • MALIS
  • 2018/07/13 22:49

昨日からご紹介している国連のイベント、"持続可能で強靭な社会に向けたブロックチェーン"

コインテレグラフでも早速記事になっています↓

でも、私の記事の方が詳しいですよ!!

(前回記事:持続可能な社会に向けて!国連ブロックチェーンイベント(1)


今日はお待ちかね、

国連のブロックチェーンスペシャルアドバイザー山本芳幸さんのプレゼンテーションをご紹介します!



1.解決すべき"問題"は何か?

山本さんがプレゼン冒頭で紹介したのは、
ファッション業界を扱ったドキュメンタリー。


"The True Cost"


この映画、ご存知ですか?

知らない方はトレーラーだけでも見てください。特に、一度でも"ファストファッション"を買ったことがある方は見てほしい。あなたが着ている服がどれだけの犠牲のもとに成り立っているのか。

(この映画は大学院の時に、国際法の授業でバングラデシュ出身のクラスメイトが紹介をしてくれました。工場崩壊事故(事件)の話をじかに聞き、メモを取る手が震えたのを覚えています)


さて、なぜこの映画が紹介されたのでしょうか?


ファッション業界のサプライチェーン(物を作って売り場まで届ける一連のプロセス)は、"スウェットショップ"と呼ばれる低賃金かつ劣悪な労働環境に依存していると言われています。

この問題については、ブロックチェーンにより、原産地の情報を確認できるようにする、偽装できなくする、製造者と購入者をつなげる、、、、等の解決策が出てきており、技術適用が盛んな分野なのです。


ただ、山本さんからは、

"もちろんこれはファッション業界だけではない、裕福な国の強力な購買者と貧しい国の生産者がいれば必ず起きること。全ての産業に当てはまる"


すなわち、グローバルなサプライチェーンがあればどこでも起こりうる問題。
ではどのようにこの問題にアプローチしていけばよいのでしょうか?


強調されていたのは、

"ソリューションから適用できる問題を探すのではない、問題が何かを特定してから最適なソリューションを見つけるべきである。"

という点。そう、映画 "The True Cost"のように問題を直視し分析しないことには始まらないということですね。

確かに、少し周りを見渡しても「ブロックチェーンを使う必然性あるの?」というサービスは多いですよね。


では"問題"から見てみましょう。
例えばこのファッション業界の問題をSDGs(国連の掲げる持続可能な発展のための開発目標)の観点から具体的に見てみると、、、

解決すべきことがあまりに多い!

Content image
(Yamamoto, Y. 2018. UNOPS. available from http://www.unece.org/index.php?id=48877)

多すぎて訳が分からなーいの図↑
ここで一同笑。

そして、問題に対して使えるソリューション(技術)もあまりに多い


では、私たちは何に注目して問題を解決していけばよいのでしょうか?


2. IDとデータを集中管理するリスク

では、何が社会を強靭で持続可能にしているキーなのか?そして何がないことが問題を発生させているのか?


山本さんは、"共通する問題はIDとデータだ" と答えます。


引き合いには、難民、そしてニューヨークで発生した911(ワールドトレードセンターでのテロ)が。

Content image
(Yamamoto, Y. 2018. UNOPS. available from http://www.unece.org/index.php?id=48877)

難民の問題については以前も記事でご紹介しましたが、難民や避難民といった居住地を失った人々はパスポートもなく、元の国家が身分を証明してくれるわけでもなく、何者でもない状態、になってしまう可能性があります。

山本さんからは

"この問題は奇妙なことに思える。私たちはIDを失っても"私"のはずです。でも、実際はIDは私たちに紐づいていない。中央管理された社会でIDが失われれば、"私"は認識してもらえなくなるという問題が発生する。"


さらに

"私たちのIDやデータは、政府または何らかの機関等で保管され集中管理されています。911の際には、金融機関が保管していた証券、債券、そしてデータセンターそのものが被害をうけ、全ての台帳が失われました。"

とも。


しかし、集中管理のリスクは "失われる" だけではありません。

国際送金のような様々な機関を介するシステムの場合、中間にいるプレイヤーがその立場を利用して利用者から搾取する、といった話はよくありますよね。

例えば賄賂を要求されたり。

中間のプレイヤーは "取引の透明性" など歓迎しません。ファッション業界の問題もそうですよね?だからこそ、ブロックチェーンのような技術が活躍する余地があるのでしょう。


3. ブロックチェーンはいつ必要か?

そして最後に一番大事なことを。


では、私たちはブロックチェーンを
いつ使うべきなのか?
いつ使うべきでないのか?


この問いに関しては、様々な団体・企業が意思決定モデルを出しています。Birch-Brown-Parulava model、Suichies Model、IBM Model、Lewis model、、、興味のある方はこちらをどうぞ


しかし、山本さんの提示した意思決定モデルはいたってシンプル。

大事なことは、、、


Content image
(Yamamoto, Y. 2018. UNOPS. available from http://www.unece.org/index.php?id=48877)

よくわかんないなら使うな。


センスに嫉妬です。


国連の取り組みとブロックチェーンは親和性が高い、と以前書いたことがありますが、技術は何もブロックチェーンだけではありません。

Content image


最初から最後まで、問題からソリューションを選択すべきだ、というメッセージを感じる山本さんのプレゼンテーションでした。


※今回ご紹介したプレゼンテーションのフルスライドはこちらのリンクでみることができます。



というわけで今日はここまで。

次回はオランダのブロックチェーン連盟、ConsenSysのプレゼンテーションの様子をお伝えします。


MALIS

関連記事:
持続可能な社会に向けて!国連ブロックチェーンイベント(1)はこちらから↓


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公開日:2018/07/13
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エネルギー政策専門のコンサルタントです。ニューヨークにいることが多いのでこちらの情報発信が多めになる予定。Twitter: @mari_saita

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