
今日は久しぶりのお天気下り坂。
昨日は暑いくらいだったけど、
この先、5月、6月は、
こんな風に暑い寒いを行ったり来たりして夏に向かうんだなあ、
なんて思います。☔
そんな今日は、
公認心理師の勉強のアウトプットシリーズです。
「社会的絆理論」
について書いていこうと思います。
▽
「人はなぜ、犯罪行為に及ぶのか」
というテーマは、長い年月をかけて、
今もなお研究が続けられている分野です。
犯罪の原因に取り組む分野では、
これまで多くの研究者が「なぜ,人は犯罪行為をするのか」という視点から
研究を積み重ねてきたのだそうですが、
それに対して、
「なぜ,私たちの多くは犯罪行為をしないのだろうか?」
という逆の視点から犯罪に向き合ったのが、
ハーシ(Hirschi 1969)というアメリカの社会学者で、
社会的絆理論(ソーシャルボンド理論)と呼ばれるものです。
漢字からもなんとなく連想できますが、
簡単に言うと、人が犯罪をしないのは、
社会とのしっかりとした絆(ボンド)があるからで、
その絆が弱まったときや壊れたときに非行が起きる
と考えた理論です。
この社会的絆についてハーシは、
愛着(attachment)
投資(commitment)
巻き込み(involvement)
規範観念(belief)
という4つの絆を提案しています。
4つの絆を深掘りすると、
●愛着(attachment)
「愛着」とは、家族や学校、仲間など、愛着を感じる相手の期待に沿い、
裏切らないとする感情レベルでの絆のことを指します。
誰も非行行動は望まないので、愛着を感じる相手をみつけることができれば、
個人と相手とを結ぶ絆、つまり感情によって非行が抑制されます。
●投資(commitment)
「コミットメント」とは、行動を選択するに際して損得を計算して行動することや、
社会で承認されている目標の達成に関わっている程度を意識するといった意識レベルの絆を指します。
遵法的(じゅんぽうてき)な世界で成功しようと考えている人にとって、
非行行動はその世界での成功の機会を逃してしまうことを意味するので、
そういった意識に依り非行が抑制されます。
●巻き込み(involvement)
「巻き込み」とは、慣習的な活動に自分をまきこませる包絡の度合により、
社会との紐帯(ちゅうたい)をもち、日常的な事柄に忙殺されている限り、
非行行動に陥らないとされる考え方です。
慣習的活動に従事する時間が多いほど、
非行行動をする時間もなくなるため、非行が抑制されると考えるものです。
ちょっと小難しい感じですが、簡単に言うと、例えば仕事や、部活動など、
日々忙しくするものがあれば、非行をしない、というものです。
●規範観念(belief)
「規範観念」とは、法を正当なものとみて、それに従うべきだという「信念」が強いほど、
非行に走りにくくなるというものです。
法律は守るべき、ルールは守るべき、と強い気持ちがあれば、
犯罪はしないという意味になります。
こうした社会的絆が、
犯罪行為を抑制しうるとされています。
なぜ非行に走るのか、ではなく、
なぜ非行に走らないのか、
に焦点を当てたこの理論は、
教育において注目されるべきものだと感じます。
非行に走る生徒たちは全体から見たら少数派で、
そちらに目を向ければ、
そういった生徒たちには、
特別な何かがあって、、、
という考えに陥りがちですが、
もちろん少年犯罪に限らず、
犯罪行為自体をなぜ起こさないのか、
つまり今のところ、普通に生活を送っている側に視点を向けた理論だからこそ、
そういった犯罪行為が特別なものではなく、
何かが欠ければ誰しもそうなり得る、
という大切な研究だと思わされます。
▽
生徒たちにも、
「なぜ犯罪を起こさないのか」
という授業もしてみたいなと感じています。
社会的に弱い人たちに対して、
無差別に人を殺傷した生徒に対して、
クラスに居る、いつも問題を起こす生徒に対して、
どういった目を向けるのか、
正しさではなくて、
みんながどう考えるのか、
聞いてみたいな、
対話したいな、
と思いながら勉強しました。
ということで、
社会的絆理論について、
もう少し、明日に続きます・・・。

今日も、読んで下さって、ありがとうございました。(*^^*)
≪参考≫
「社会的絆の理論」の再考 -発達段階における社会的絆の機能変容に関する試論-










