9人のスピーカーのうちの一人、
建築家の遠藤幹子さんのお話が興味深かった。
彼女が建築家を目指したのは、
“創る”ことに可能性を感じたから。
自分のイメージしたものが、
形になって世の中に現れる。
これを、
を感じたのだそうだ。
彼女は、様々な活動に取り組んでいる。
NHK Eテレ「いないいないばあっ!」(2011年)
乳児向け人気番組のスタジオセットデザイン。
「せかいのはじまりの太陽」がキラキラとのぼる瞬間をイメージし、たくさんの子どもたちに愛される。
東京都現代美術館「こどものにわ」(2010年)
大人から子どもまで、思い思いの絵を自由に描ける美術館。
創造力が壁いっぱいに広がり、誰もがこの空間の主人公になれる。
ザンビアのマタニティハウス(2011年~)
出産による死亡数が日本の40倍というアフリカの農村部に毎年建てているお産の施設。
コンテナを楽しく彩り、リユースして建てられる。地域の住人が歌って踊りながらノウハウを伝承し合い、
主体的にプロジェクトを継続する文化が育っている。
今回のスピーチでは、
最後のザンビアのお話をして下さった。
出産による死亡率が高いアフリカのザンビアという農村部に、
お産施設を造っている。
凄いのが、
彼女(とその関係者)だけがトンテントンテン建設を行っているわけではなく、
全く専門知識のない現地の人々も巻き込んで造り上げているということ。
そして現地の方々は、
遊びの中で設計を学んでいる。
(Being playful within constraints)
ここにはもちろん彼女の様々な仕掛けがあって、
この活動を通して、
冒頭にも書いた“未来を自分の手で描ける実感”を、
現地の方と共有することや、
また、“創る”という行為を通して、
建築の専門家である幹子さんの視点と、
一人の人間としての幹子さんの視点の、
両方を織り交ぜて、
子どもにも大人にも、“褒める”ということを意識的にされている。
2つの視点を織り交ぜている点がとても有効的で、
現地の方々の、
“未来への希望”
と、
“自信”
を育む活動をされている。
しかも出来上がるのが、お産施設。
新しい命が誕生するところを、
みんなで創り上げる喜びは相当なものだろうと感じる。
幹子さんは、
ただ、お産施設を造る活動をしているのではなく、
そこに、“成功体験の物語”を生んでいる。
この活動に携わった方々は、
施設を見るたびに、
思い出すことがたくさんあるだろう。
そして、
そんな場所であるこの施設は、
“お産する”という本来の意味を越えて、
現地の人々の心の拠り所になっているに違いないと感じた。
お産施設が、
ただ役に立つ施設というだけではなく、
それ以上の物語という意味を込める活動をしているのが、
遠藤幹子さんという方だった。
感動が散りばめられた10分間ほどのスピーチだった。
*********************
2019.9.20.
大手町TEDxに参加した。
その中で一番印象深かった方。
未来を自分で創れる実感。
すごく、大切なことだと感じる。