青空文庫新着分。
短編。
原題は「THE LOTUS EATERS」
前作で結ばれた貿易商ハムと生物学者パットが遭遇した、驚異的知性を持つ植物のまるで〈座禅に満足し、存在を夢想する〉様を"ハス仙人"に準えている。
オスカーと名付けられ、一瞬で英語をマスターしたその植物との哲学問答か禅問答のような会話シーンが楽しい。
言葉の意味を探りつつ、世界の究極法則を聞き出す箇所の知的スリルよ。
宇宙の凡てを知りながらいずれ食べられる運命にあるオスカーの諦念と、会話中の「食べられる」で生理的欲求と正気を取り戻すハムの対比がいい。