
青空文庫にて。
泉鏡花というと『高野聖』『草迷宮』に代表される幻想小説が有名どころだが、特に思うところなく読み進めた花柳小説のこちらが殊の外面白かった。
鏡花の作品は文体が凡てというかこの流れるようでいて妙に引っかかりのある、名噺家の如き口語体にハマれるかどうかで評価が分かれるところ、山中の異界よりもむしろ俗にまみれた浮世を扱うほうがしっくり来るようだ。
時間軸が行ったり来たりする非線形の筋書は計算ずくか。
主人公もよく判らない。
まあ葛木なのだろうが、お孝のほうがそれっぽくもある。鏡花は今後も読み続けよう。
内容についてはここで云々すべき類いのものではないし、ネット上に見事な考察があるので割愛。
とても参考になる。