ヒカリエにいった。みんなキラキラしているように見えて渋谷はわたしにはとてもまぶしく、坂元裕二さんの『初恋と不倫』をおもいだしていた。「カラシニコフ不倫海峡」のなかのセリフ。
「僕は渋谷が嫌いです。2分で行けた距離が12分もかかるようになった。渋谷は馬鹿が作りました。ヒカリエは僕から見たら全然光ってません。カゲリエです。」(『往復書簡 初恋と不倫 不帰の初恋、海老名SA /カラシニコフ不倫海峡』より)※太字はわたくしによるもの
ヒカリエの中にいながらカゲリエに思いを馳せ自分を客観視する。2020年、エスカレーターのうえのほうに繊細くんがいて待っていてくれたことをおもいだす。あの年は渋谷にまだあったアップリンクで『銃2020』を観た。「で、要は宮下公園でしょ? 」と笑い合った。もうあれから2年経って、MIYASHITA PARKは当たり前のように賑わいをみせる。不思議なもんだなぁと感傷に浸る。わたしはさ…わたしは、あのときたぶん、笑いながらさみしかったんだよ。行く場所行く場所カゲリエだったし、わたしはほんとうに、どんな感情でも最終的には笑うことになっている。
ちなみに『銃2020』は日比谷のTOHOで3回観た。日南響子さん演じる東子の分身のような気持ちで観た。「何もしたくない。何もほしくない。ただ放っておいてほしい。すべてがめんどうくさい」。そして閉館してしまったアップリンク渋谷で4回目を観た。変態でしょ。って言われた。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
何も考えないようにして何もきこえないようにして痛みを感じないように感じないようにしながらごはんを食べ、人の声を食べ、空気を食べる。みんなきっと、いろんな重いものがあるはずなのに忘れたふりをして日常を忙しく過ごしながら、忘れたふりをしたことを忘れて、うまく生きているんだなぁとおもう。
あしたはビジネスホテルにひきこもり、読書をしたりゆっくりしたりする日にした。たまにポイントを使ってこういうことをする。
さっきたべたやわもちがおいしかった。