米フロリダ州ターキーポイント原発原発3,4号機について最長80年間の運転が許可された。
今から80年前って、1940年、戦前である。火力発電所もろくになかった時代の原子力発電所も今後も使い続けるって怖すぎる。「【気になる記事4.Rev.2】スリーマイル島原発の廃炉決定(https://alis.to/SAkanuma/articles/KWyVvdlypQyG))」でも述べたが、アメリカはスリーマイル原発事故以来ここ最近まで原発の新設工事を行なってこなかったため、今になって電力不足が深刻になっている。
アメリカという国も緩やかに衰退しているのかもしれない。経済は好調なようだが、その恩恵を受けているのは富裕層やエリートにだけで、中間層や貧困層はますます貧しくなっている。いずれ電気を優先的に使えるのは上流階級だけになるかもしれない。しかも原子力などの工業技術はロストテクノジーになり、自分たちでは扱えなくなり、外国の技術者に頼らざる得なくなるのではないかとすら思う。
しかしアメリカを笑ってはいられない。正直日本もいずれ同じような選択をすると思う。日本の原発の多くは1990年以前に建設され、2000年以降に建設された原発は、泊、浜岡、志賀の四基のみで、建設中のもの(そして全て建設中断中)が5基のみである。つまりあと10年すればほとんどの原発は運転年数40年に達する。
野党や環境団体はギャーギャー言っているが、なにもしなければ(しなくとも)2030年までにほとんどの原発は停止する。なぜなら原子力発電所は原則40年しか運転できないと決まっているからだ。しかし規制委員会の審査をパスすれば60年まで延長が認められている。今回のアメリカの事例では、一度60年の延長が認められた上で、さらに20年延長が許可された。
また今最も(もしかしたら唯一)原子力を推進しているのはお隣の大国中国である。建築や運転実績はすぐに(もしくはすでに)日本を軽く追い越し世界一になる。さらに恐ろしい将来は原子力技術は中国のみが保有し、エネルギー市場を中国が支配することになる。
その上最近は石炭火力発電所も地域住民や環境団体からの反対で建設が許可されない。そのため実質的には天然ガス火力発電所しか建設できない。10年後、20年後にアメリカと同じように電気不足が深刻化し、古くて経済性が悪く効率が悪い原子力発電所や火力発電所を無理やり延命させて頼らざるえなくなるかもしれない。
国家や社会が滅亡するのはほとんどの場合が問題を先送りにして、先送りしすぎて問題自体がわからなくなって、解決不能になるケースがほとんどである。先送りにすればするほど選択肢はなくなり、解決には労力が必要になるか滅亡しかなくなる。30年後の子孫に「あのとき親父たちが行動してくれれば」と言われないことを願う。