予備試験とは、正式名称「司法試験予備試験」といい、現在日本で最難関の試験である。
今ひそかにブームになっているのが、予備試験である。なんと、この試験に合格出来れば、人生が逆転するのだとか。
そこで、本稿では、予備試験合格経験を持つ私が、現代の日本の科挙である予備試験について、解説します。
目次
1 予備試験とは?
2 予備試験の難しさ
3 予備試験合格後の人生
1 予備試験とは?
① 司法試験を受験するための資格を得るための試験である。
え、受かっても法曹になれないの?と思われる方も多いでしょう。
そうなのです。
現在、司法試験を受験するためには、法科大学院を卒業するか、予備試験に合格しなければそもそも受験すらできません。
基本的に今の司法制度は、法科大学院を卒業することを念頭において設計されています。予備試験は、法科大学院に行く経済的余裕のない方のために用意された特別ルートなのです。
ところが、予備試験は、合格者数が少なく、合格率が約3~4%と極めて低く、かつ、法科大学院(地獄)に行く必要がないため、非常に人気になり、いわゆるプレミアコースとして注目されるようになりました。
2 予備試験の難しさ
予備試験は、三つの試験に分かれています。
1つ目は、短答式試験とよばれるものです。
いわゆるマークシートの試験で、民法、刑法、憲法、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政法、会社法、一般教養の8科目の試験です。
合格最低点は約6割ほど。
毎年1万4000人が受験し、合格率は25%。4分の1が落とされます。
まず、この短答式試験、科目数が多く、ここでなんちゃって受験生はふるい落とされます。ちなみに、法学部生もほとんどが落ちます。法科大学院生も多くが落ちます。
この段階で法律をかじっている人でも平然と落とされるのです。
2つ目は論文式試験です。
こちらも先ほどと同様に8科目の論文試験になります。1科目当たり大体1時間の筆記試験です。
問題の内容はオーソドックスなものから、応用的なものまでさまざまですが、問題文自体は司法試験より簡単です。
ここでも4分の1が落とされます。
論文式試験合格者は、全体のわずか4%とということになります。
法学部性の合格者はごくわずか、法科大学院生でも限られた人しか合格できません。
3つ目は、口述式試験です。
試験官の法的な質問に対し、口頭で答えることが求められます。
この段階までくると、多くの人が最終合格することができます。
内容も論文試験に合格する者であれば、そこまで難しいものではありません。
合格率は、95%です。
これらの試験を無事クリアすることで、晴れて司法試験の受験資格を得ることができるのです。
3 予備試験合格後の人生
予備試験に合格しても、受験資格が得られるだけでは?と思われる方も多いかもしれません。
当初はそのように考えられていました。ところが、予備試験合格者の司法試験合格率が極めて高いことが分かり次第、その価値はウナギ昇りとなりました。
というのも、予備試験合格者は、前記のとおり低い合格率を潜り抜けて受験資格を得るところ、法科大学院生は、卒業さえすればよいのですから、その競争率は比になりません。さらにいえば、最近では法科大学院生の多くが予備試験を受験しますから、そんな中で競争に勝って合格した人であれば、司法試験も当然同じメンバーで受験しますから、合格するというわけです。
予備試験に合格さえすれば、8~9割方司法試験に合格するということは、その後の採用担当からすれば、青田買いの対象となるわけです。
通常、就職活動で、優秀な人材を確保するために早い段階から声をかけることはよくあることです。
法曹の場合も同じで、弁護士事務所はかなり早い段階からインターン、サマークラークを募集し、学生を選抜します。
ところで、折角内定を出して受験生が、司法試験に落ちれば、当然採用ができず、その分、採用活動に損失が生じます。
しかし、予備試験合格者であればほぼ、司法試験に合格するわけですから、採用にも積極的になれるわけです。
かくして、司法試験予備試験に合格すれば、ほぼ司法試験に受かるというお墨付きをもらえるばかりか、就職活動も圧倒的に有利になるのです。
毎年11月が予備試験の合格発表であり、その後、合格者に向けて早速ウィンタークラーク(インターンシップのようなもの)がはじまります。
毎年採用者数が150人を超える大手5大事務所では、その多くを予備試験合格者から採用します。
この5大事務所、最初の年収が1000万円をこえ、1200万円もめずらしくありません。
この不景気なご時世、いきなり初年度から年収1000万円を超えるのです。そこから、昇給し、数千万プレーヤーもざらです。
予備試験に受かりさえすれば、このチャンスが巡ってくる。そういう意味では、人生一発逆転というわけです。
勿論5大事務所以外でも引く手あまた、就職活動に困ることはあまりないかもしれません。
このように試験だけで道が開けるのです。
試しに挑戦してみてはいかがでしょうか。
なお、合格率は低いのですが、現状記念受験の方も多いので、真剣に合格を目指せば受からない試験ではありません。コストパフォーマンスはかなりい試験だと思います。巷で言われているほど難しい試験ではないと思います。










