2012年の日記
三並夏「平成マシンガンズ」再読。たぶん三回目。「いじめ」を描いて、重松清の「十字架」とどちらがよりリアルで心にしみるかというと、僕なら「平成マシンガンズ」をとる。
三並夏がこれを書いたときは15歳の中三だ。リアルなだけではなく、小説としての体裁もちゃんと整っているし、文章はぎらぎら屈折しながら練り歩くし、天才的だと思う。
重松は確かに想像力でどんな主題でもそつなく小説にしてしまうプロなのだ。若者の世界にも、ある程度までは肉迫している上に、わかりやすく書くので売れるのはわかる。だけど、やっぱり結局大人の書いたものだ。そして小説として完成させすぎている。小説として完成するということは時々、小説的文法の都合が透けて見えてしまうということでもあるのだ。だから「十字架」は一回読むだけで十分だ。
「平成マシンガンズ」は3回ぐらい読む価値がある。裸の気持ちがひりひりするからだ。実力テストの問題に使おうかと検討したこともあるが、あまりにもリアルだから、中止した。重松なら教科書にも使えるだろう。描きこんでいるようでいて、実は最終的には人畜無害なのだ。はじめから教科書に載せるつもりで書いているのではないかと思えるほどではないか。笑