・ 「古神道」という幻想
それに関連して、ここで私がさらに検討していきたいのは、「古神道」という言葉についてである。
現代の日本、特にニューエイジカルチャーにおいて「古神道」という用語は、検討もなしに漠然と使用されている。
その言葉の理解の仕方は混乱しており、時には「天皇制成立以前の日本古来の信仰を古神道という」と信じられている。
だが、それはまったくの誤解である。
では以下に「古神道」という用語の成立までの歴史を簡単に追ってみよう。
江戸時代、本居宣長は、それまでは『日本書紀』の影に隠れて顧みられることの少なかった『古事記』に着目し「古道」の名のもとに、「日本の固有の信仰」を復元しようとする。
この時に登場した「古道」という用語こそ、後に「古神道」という用語に繋がっていく言葉の初出である。
その本居を継承した平田篤胤は「古道」を「復古神道」として、発展させていく。だがこの時期の用語は「復古神道」であって未だ「古神道」ではない。
そして、それを受けて、実際に「古神道」なるものがその名で提唱されるのは、