(3)あなたが初めて瞑想したときのことを教えてください。
初めての瞑想ということを想い出すとき、私は不思議な気持ちに打たれます。なぜなら私はそれを「した」(do)のではないからです。それは私に「起こった」happen)のです。
一五歳の私は自分の勉強部屋に閉じこもって、宇宙の永遠の時の流れと無限の空間的広がりについて思い巡らしていました。その片隅で塵よりも小さな存在として束の間生きて死んでいく自分について思いを集中していました。目の前にぽっかりと穴が空いてそこに吸い込まれて落ちていくような感覚に襲われ、私は慌てて手近にあった机の端をつかみました。
そのときです。その頃大好きだったビートルズの「Let it be」の歌声がなぜか心の中で鳴り響きました。なんだか、頑なな力が抜けていく感じがしました。私はふいにこんなところにしがみついたところで仕方がないと思い、机の端を放し、深い呼吸をしました。
まさしくそのとき、それは「起こった」(happen)のです。