シンスプリントの発症要因
•ヒラメ筋や後脛骨筋の骨膜への過牽引による骨膜炎もしくは筋付着部炎であるという説が有力
回外足タイプの疼痛発生機序
回外接地に伴い、脛骨下端が外旋する一方、膝を含めた脛骨上部が内旋することにより、ねじれのストレスが集中する。
下腿筋群の解剖
後脛骨筋→下腿骨間膜より起始。長趾屈筋の腱弓をくぐって交叉し、脛骨近位から80%~100%の高位で脛骨内側縁を下行する。足関節底屈・足部内転に作用する
・長趾屈筋→脛骨後面より起始。脛骨近位より50~70%の高さで脛骨内側縁に沿って走行し、70~80%の高位で腱弓をつくり後脛骨筋を横切る。荷重位で足趾を過屈曲すると脛骨後面との間で後脛骨筋を絞扼する。
・長母趾屈筋→腓骨体の後面近位より起始。長趾屈筋腱の深部を交叉して母趾(60%は第1~3趾)の末節骨底に停止。母趾の屈曲の他、足関節底屈にも作用。距骨後面を走行しているため、荷重位で足趾を過屈曲すると距骨後退が制限され、下腿前傾(荷重位足関節背屈可動域)が制限される。
長趾屈筋と後脛骨筋は、脛骨近位より70%の高さで交叉している。荷重位で長趾屈筋が過収縮すると後脛骨筋は脛骨後内側面に押し付けられる。後脛骨筋が脛骨後内側との間で摩擦されながら滑走することで、縦線状に疼痛が生じたと考えられた。長母趾屈筋は距骨後方を走行しているため、荷重位で過収縮すると下腿前傾が制限される。ランニングではミッドサポートにて重心を前方移動しにくくなり、テイクオフで過剰な足関節底屈で推進力を得ようとする
後脛骨筋腱の走行
〇で囲まれた部分が血流に乏しく、走行角度を急激に変える部分。この部分で病理学的な変化が生じやすい
シンスプリント
•一般型と重症型に分類
•
•一般型=荷重位にて長趾屈筋が過収縮すると後脛骨筋が絞扼される可能性がある
•重症型=X線で異常所見はみられなくてもMRI像にて骨髄に異常所見がみられることが多く、微細骨折が生じている可能性
高校陸上選手における発生率は44%
・男女差はなし
・片脚ジャンプテストで再現
・長さ5㎝以上の線状に圧痛
3種類の肢位でのカーフレイズを行った際の後脛骨筋活動量
反復測定分散分析の結果、3種類のカーフレイズ間に有意差を認めたが、事後検定では各カーフレイズ間の差を認めなかった。しかし、内転位でのカーフレイズが最も高い筋活動量を示した。
3種類の肢位でのカーフレイズを行った際の長趾屈筋活動量
中間位と内転位でのカーフレイズは、外転位でのカーフレイズに比べ、有意に高い筋活動量を示した
下腿三頭筋の
収縮が距骨下関節に与える影響
距骨下関節が外返し位になることで、アキレス腱の走行が距骨下関節軸の外側に変位するため下腿三頭筋の収縮が距骨下関節外がえしモーメントを生じさせる。
後足部アライメントの評価(レッグヒールアングル)
踵設置時の踵骨のア
ライメントはleg heel angleだけではなく、床面からみた踵骨軸の傾きでも評価する。Leg heel angleでは、回内位であったとしても、床面からみて踵骨軸が大きく外傾していることもあり、この場合、回外不安定性と判断する。
走高跳びにおける踏切足
走高跳びでは一般的に軽度外転位にて踏み切られる。地面から加わる瞬間的な外力(地面反力)を、協力な三角靭帯によって受け止めるためである。
足のつぶれにより負担のかかる下腿三頭筋
図のようなスタートダッシュ時や、球技における急激な方向転換の際、上体および骨盤の前傾、膝の深い屈曲に伴い、足関節におおきな背屈強制が加わる。この局面において下腿三頭筋は強い足関節底屈力を発揮しているが、強大な地面反力に抗しきれずに伸張性収縮を強いられている。
荷重位の背屈可動性評価
床と壁の同一線上に足部と膝中心をまっすぐ位置させる。踵を浮かせずに最大背屈し、膝が壁に接する肢位において足趾先端から壁までの距離を計測する。
カーフレイズを用いた足関節底屈筋群の筋機能評価
しっかりと母趾球荷重にて最大底屈位(a)までうごかせるかどうか、滑らかに動かせるかどうかを確認する。また、さまざまな角度にて静止できることやスピードを速めても制御できるかを確認する。また、さまざまな角度にて静止できることやスピードを速めても制御できるかを確認する。次に足関節底屈位(a)から内がえし(b)、外がえし(c)方向に自動で動かした際に、足関節底屈位、前足部接地を保持して制動できるか確認する。自力にて十分に後足部の制動が行えている場合には、さらに、踵骨に対して下方ストレスや中毒部に対して内がえしストレスを加えた際の安定性も確認する。難易度が高いため、ゆっくりと小さな可動範囲から行う。両脚が可能となれば片脚で実施する。
エキセントリック・トレーニングの実際
A:前足部のみで体重を支え、膝を40°程度屈曲して、ヒールアップ、ヒールドロップをゆっくり繰り返す。
B:前足部のみで体重を支え、膝伸展位で、ヒールアップ、ヒールドロップをゆっくり繰り返す。
C:膝伸展位でヒールアップ、ヒールドロップをゆっくり繰り返す。この時、踵が床より下にさがらないようにする。
エクセントリック・トレーニング
中央部のアキレス腱炎に対するエクセントリック・トレーニング
・一回のヒールドロップエクセントリック・トレーニング
膝屈曲位で15回×3セット
膝伸展位で15回×3セット
・1日2回のヒールドロップエクセントリック・トレーニングを12週間行う
アキレス腱付着部障害に対するエクセントリック・トレーニング
膝伸展位で15回×3セット
・1日2回のエクセントリック・トレーニングを12週間行う
このトレーニングでは疼痛が誘発される。最大疼痛の1/2程度以下が目安。両脚荷重などで工夫する。また、最初の2週くらいは筋痛が生じる。疼痛がなくなったら負荷を以下の方法で増やす。①ウエイトを入れたバックパックを背負わせる。②ウエイトトレーニングマシンを利用する。