メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。
第11回目も、第5章の労働者からの相談への対応です。前回はこちら。
いままで、法制・企業の視点でメンタルヘルスケアの意義を最初に見ました。次に、ストレスとは?メンタルヘルスとは?を学び、職場環境でのストレス判定・評価・改善の仕方、個々の労働者への配慮として気づき・ストレス対処法・プライバシーについてと学んできました。本章では、相談対応をする意義を確認しつつ、具体的な方法を学んでいきます。
部下の相談行動を引き出すためにも、職場内でのあいさつや日頃の声かけといった普段からのコミュニケーションは必須事項です。なぜ、コミュニケーションが大事なのかをメンタルヘルスケアの観点から考えてみます。
コミュニケーションを構成する要素は、「送り手」「受け手」「媒体」の3つがあります。送り手が媒体を通して送りたいメッセージを的確に発信し、受け手は媒体を通して相手のメッセージを正確に受信することで良好なコミュニケーションが成立します。
しかし、職場において常に良好なコミュニケ―ション図られるわけではありません。労働者のストレスは「職場の人間関係の問題」が最も多いという厚労省の調査結果が1章で紹介しましたが、人間関係の悩みの大半はコミュニケーションのまずさから発生していると言えます。
例えば、部下が「最近、仕事をやる気がしない。疲労感が抜けず、集中力がない。でも、やらなきゃいけない仕事がたくさんあって、追い詰められている」という状態だったとします。こういう状態に陥ると部下としては、「こんなこと、上司にいえない」「分かってもらえない」「皆忙しい中、自分だけ残業を減らしてもらうなんてできない」という気持ちが起こってきます。さらに、このまま自分の状態を上司に伝えることができないと、ギリギリの状態まで我慢し、事態は深刻化してから表面化する可能性が高くなります。
自己を捉える方法の一つとして「ジョハリの窓」というものがあります。「ジョハリの窓」とは、他者との人間関係に影響する自己を「4つの窓」(開放、盲点、秘密、未知)に分類したものとなります。「自分による自分の分析結果」と「他人による自分の分析結果」を統合して該当する窓に当てはめていきます。自己分析をしながら他者との関係を知ってコミュニケーションを模索する心理学モデルで、開放領域を広げ、未知領域を狭めていくことが良いとされています。
自己分析や成長という文脈で語る場合は、盲目領域に着目します。他者は知っているけど自分は知らないこの領域には、個人の思考のクセや思わぬ長所などがある領域です。これを知ることで(開放領域へ移行)、自分の成長につなげる手立てを模索する糸口をつかむことができます。
メンタルヘルスケアにおいて管理監督職が部下とのコミュニケーションを行うという文脈の場合は、隠蔽領域の広い部下を正確に把握することへの気づき、隠蔽領域から開放領域への移行を促すために、コミュニケーションによって、自己開示を引き出すということを考えていきます。
返報性の原理といって、人は何かをしてもらったときには、もらったものと同じものを返さなければという心理が働きやすいと言われています。苦手な人だとしても何かをもらった場合は、義理だとしても、何かをお返ししないといけないと考えてしまいます。このように何度かコミュニケーションを重ねていくうちに、最初に感じていた苦手な印象が薄れていくことがあります。
管理監督職からコミュニケーションを図っていくことで、部下の自己開示を促すことができるというわけです。
アメリカの社会心理学者Festingerは、コミュニケーションには2つの側面があるとしています。道具的コミュニケーションと自己充足的コミュニケーションです。
道具的コミュニケーション
相手に何かをしてほしいときに、その目的を達成するために、道具的に使われる。スムーズな業務遂行の道具のように使われる。
自己充足的コミュニケーション
自分の中だけで物事を終わらせて満足するという意味であり、相手に何かをお願いするのではなく、コミュニケーションを行うこと自体に目的が置かれる。
道具的コミュニケーションに偏ると、表面的には部下は指示に従って作業をしますが、内心では快く思っておらず、上司は部下の最大限のパフォーマンスを引き出せません。
また、自己充足的コミュニケーションに偏ると、人間関係は円滑になりますが、本当に重要な指示が曖昧になってしまったり、コミュニケーションに時間を取られてしまって、仕事が進まないということが起きたり、プライベートな話など、人に話したくないことや聞かれたくないことを仕事の一環として聞いてしまうことにつながり、ハラスメントにあたる可能性が出たりします。バランスを考えてコミュニケーションをすることが重要です。
職場の人間関係を円滑にする方法として、「カウンセリング・マインド」「コーティング」「アクティブリスニング」「アサーション・トレーニング」などの手法があります。これはどのようなスキル向上を目指いしてるのか?コミュニケーションのスキルとは何なのか?という部分を説明していきます。
上記でも記載しましたが、重要なのは「送り手が自分のメッセージを的確に発信するスキル」と「受け手が相手のメッセージを正確に受信するスキル」の2つといえます。
送り手は、単に発信するスキルだけではなく、自分の伝えたいメッセージを言語化(自己表現)し、媒体(口頭かメールかなど)を選択して、言語を相手に分かるように表現する必要があります。受け手としては、相手のメッセージを引き出し、相手の話を聴き、相手のは話を理解し、理解した内容を相手にフィードバックできる必要があります。
自己表現・・アサーティブの表現特徴を身に着ける
自分と相手を大切にしながら、自分の気持ちや意見を表現する
聴く・・マイクロ技法を使って真剣に傾聴し理解する姿勢を身に着ける
Iveyがまとめたもので、多くのカウンセリングに一貫してみられる共通パターンを技法と命名して、マイクロ技法の階層表としてまとめています。
このあたりは次回深堀してみたいと思います。
コミュニケーションには媒体が介在しますが、言葉によるコミュニケーションを言語的コミュニケーションといいます。言うまでもないですが、言葉は意思伝達のうえで欠かすことのできないものです。共通の言葉によるコミュニケーションによって情報を正確に伝え、受取ことができます。話し言葉、メール、電話、メモ、文章などの形をとっています。書類や細かい事項を伝え合う際には、メールで文字に残る方が便利ですが、言葉は人によって様々な意味を持つため、言葉だけでは誤解が生じることがあります。職場でメールによるコミュニケーションが多くなってくると、メールによるトラブルも増加してきます。
ある心理学の実験で、対面とコンピューターとを使ったコミュニケーションを比較して自己意識の調査をしました。それによると、対面コミュニケーションに比べて、コンピューターコミュニケーションのほうが「私的自己意識が高く」「公的自己意識は低く」評定されました。つまり、パソコンを使って会話をすると、他人に見られているという意識は薄れ、逆に自分自身の感情に素直になりやすい」ということが分かりました。メールでのコミュニケーションは相手がより主観的で感情に正直になっている状態であることを認識しておく必要があると言えます。
私的自己意識
自分の感情や動機など、本人のみが体験し得る自己の側面に関して、自分自身がとらえている自分の内面的な部分に対する意識
公的自己意識
属性や容姿など、他人から観察可能な自己の側面に関して、他者から評価される自分の外面的な部分に対する意識
言語的コミュニケーションにして、非言語的コミュニケーションがあります。アメリカの心理学者Mehrabianは、コミュニケーションの構成要素を視覚情報、聴覚情報、言語情報とし、この3要素が矛盾していた場合、どの要素がコミュニケーションに最も影響を与えたかを調べました。結果は、視覚情報(顔の表情)55%、聴覚情報(声の調子)38%、言語情報(単語)7%という割合となりました。つまり、言葉の内容より、顔の表情、声の調子のほうが優先順位が高いということが分かりました。(このテストに出ます!)
非言語コミュニケーションに注意を払うことで、部下の安心感や親近感を得ることができ、スムーズなやり取りに寄与することができます。部下への配慮において、重要なポイントということが言えます。
《非言語コミュニケーション》
◆動作行動
ジェスチャー、身体や手足の動き、姿勢のほかに顔の表情、微笑、目の動き(視線の方向と長さ、瞳孔の拡大と縮小)に分類される
◆接触行動
撫でる、抱く、叩く、けるなど、言語の乏しい発達の初期段階では重要な要素。成人の出会いや別れの際の握手や抱擁なども含まれる
◆身体特徴
体格や体型あるいは全体的容姿の魅力、口臭、体臭、頭髪、皮膚の色など含まれる
◆準言語
話し方、声の質(高さ、声量、リズム)、ため息、あくび、咳払い、囁き、相づちや沈黙も含まれる
◆空間行動
相手との距離、どの向きや方向に立つか、座席、位置の取り方配置の仕方など。空間をどう知覚し使用するかにかかわる行動
◆人工物
人間が身体にまとっている衣服や香水、口紅、眼鏡、かつらなどの人工物など
◆環境要因
間接的ではあるが、建築様式、室内装飾、照明、色、騒音、音楽など、人間関係に影響を与えるもの
世のなか、コミュニケーションがすべてを決める言っても過言ではない気さえしています。一人で何でもできてすべてのことを賄えている人はよいですが、そうでない人は必ず誰かとの関わりの中で生きています。仕事も一人で完結することありません。必ず相手がいて対価を得ています。
超優秀でなんでもできるがとっつきづらく、ずっと一緒にいると苦しくなる人と、多少仕事の成果に難があるが、一緒にいると楽しかったり、落ち着けたり、自分が自分でいれる人と、どちらと仕事を続けていけるかは言うまでもないと思います。
言葉の節々に、その人の人格が出ると言います。常に他者へのリスペクトを忘れずにいたいものです。