「ブロックチェーンゲームは課金ありきなので無課金層、ライト層が来ない」という議論が度々勃発します。
しかし、このテーマは個人的には避けたほうがいいと思っています
なぜなら、この議論を始めた時点でブロックチェーンゲームはとある足枷を追ってしまうからです。
それは、「べき論」です。
今時のソーシャルゲームは基本無料だ
だからブロックチェーンゲームも無課金で満足に遊べるべきだ
このべき論が、ブロックチェーンゲームの良さを著しく損なってしまいます。
従来のスマホアプリ(ソーシャルゲーム)と、ブロックチェーンを比較して考えていること自体が落とし穴なのです。
マイクリ遊び方指南書第1弾で述べたとおり、ブロックチェーンゲームはソーシャルゲームとは別物であり、全く新しい要素を含んだゲームです。
経済性という、これまでのゲームになかった新しい概念を生む全くもって新しいゲームの形なのです。
にも関わらず、ソーシャルゲームの当たり前「べき論」に囚われすぎて、よりにもよって【基本は無料で遊べる】という経済性から最も離れた観点から議論するのは非常によくないと思っています。
そもそもソーシャルゲームができるまでは、「基本無料プレイなんてありえない」「ガチャなんて邪道もいいところだ」と散々業界内で言われてたのが、今では当たりまえになっているというだけで、最初はそうではなかったわけです。
「ブロックチェーンで経済性をゲームに盛り込むと」いう、これまでにない取り組みをするのであれば既存ゲームとの【べき論争い】は避けるべきだと考えます。
べき論との戦いを語るにあたり、現在池袋で常設されているMAZARIA(旧:VR ZONE)を例に挙げます。
今でこそVRは認知度も高まり、当たり前にあるものになりつつありますが、マザリアの前身となるVR ZONEが最初にできたのは3年前の2016年でした。
当時は、VRという言葉自体を知らない人が多く、当然VR ZONE(VRを活用したアトラクション専門のアミューズメント施設)が当たるかなんて社内の人にも分からなかったわけです。
この企画を経営陣に通す際も【べき論】がついて回りました。
運営会社のナムコとバンダイナムコエンターテイメントは、全国のゲームセンターに筐体を入れている大企業で、有名なところでいうと戦場の絆などがあります。
なので、VR ZONEの担当者には、「ゲームセンターの【べき論】」がつきまといました。
ゲームセンターの【べき論】
・1プレイ100円200円だよね?
・スタッフのフォローなんてなくても遊べるよね?
・スタッフって、ワンフロア1〜2人だよね?
しかしながら、VRを活用したアミューズメントを実現するには、これとは真逆な施策が必要でした。
VR ZONEの施策
・1プレイ【1000円】
→人件費を考えるとこれが限界・体験中はスタッフが【フルアテンド】
→VRは慣れている人がついていないと危険・スタッフは【アトラクションごと】に1〜2人を配備
→つきっきりでアテンドするので人件費は莫大
当然、これまでのゲームセンターの延長線で人件費やプレイ料金を比べられると話は通りません。
そこで担当者は、VR ZONEと従来のゲームセンターは全くの別物であるということをチームメンバー全員が意識し、外からもそう認識されるようにブランディングを推進しました。
具体的には、VR ZONEは、ゲームセンターではなく、ディズニーのようなテーマパークであると表現したのです。
×:VR ZONE=VRのゲームセンター
→気軽に遊べて1プレイ100円
○:VR ZONE=VRのテーマパーク
→スタッフフルアテンドで入場料(3,000円超)を先払い
自身をディズニーのようなテーマパークであると定義したことで、前払いでチケット制、1つ1つの筐体ではなく空間そのものの世界観を重視、スタッフもフルアテンドでおもてなしをするという、従来のゲームセンターでは絶対に実現できなかった価格設定や人員配置を実現したのです。原宿でプレオープンした時は完全予約制でした。
なので、VR ZONEでは1つ1つのコンテンツのことを
【ゲーム】ではなく【アトラクション】
【1プレイ】ではなく【1回の体験】
というなど、スタッフ含め単語表を作り世界観の構築を徹底しています。
また、コンテンツの中身についても、「ビデオゲーム」との【べき論】と戦ってきました。
今のMAZARIAにあるコンテンツの中で高所恐怖SHOWというアトラクションがあります。
めちゃくちゃざっくりいうと、「高層ビルの屋上で猫を助けて帰ってくる」というアトラクションです。歩く距離でいうと往復3〜4mくらいで。体感時間は3分くらい。
料金は当時1,000円でした。
ビデオゲーム開発をしていた社員からは、「猫を助けて戻ってくるので1000円とか狂っている!」なんて声もあがったそうです。
「これは果たしてゲームなんだろうか?」と考える時、過去にやってきたゲームが比較対象となります。
VRを活用する・ブロックチェーンを活用するという全く新しい仕組みのゲームを作る時にそれらの常識が可能性を狭める足かせになることも大いにあると思っています。
ちなみに、VR ZONEの時に意識されたことは、「体験の価値」でした。
【VRならではの面白さ】は、現実ではできない体験ができることです。
当時のバンダイナムコが注目したのは、失敗ができる楽しさです。
だから、VRのゲームは難しくていいし、仕組みとしては非常にシンプルでもいいのです。
高所恐怖SHOWで、「(VR内のビルの屋上から)落ちてみてもいいですか?」という人が出てきたり、脱出病棟というホラーゲームで、「殺されるの楽しい!」「(無傷でクリアした人が)あ~殺されればよかった〜!」と言ったり、VRスキーで「崖から落ちたー!でも楽しい!」と言ったり、自分が人生でそうそうできない体験ができるという楽しさが、VRにはありました。
「何ができない」「何ができる」を変に定義せずに、新しいことに取り組んで、遊んだ人の反応を観察し、新しいコンテンツの価値をとにかく探求する。
ブロックチェーンゲームにも、同じような姿勢が求められると思っています。
これまで価値(とりわけ資産価値)を感じて来なかったものに資産価値を認めるようになる。これは非常に画期的なことです。
・強いから欲しい
・珍しいから欲しい
以外にも、人々が【欲しい】と思うありとあらゆる価値観をゲームの世界で表現できるのです。
ブロックチェーンゲームは、まだまだ面白いものになっていくと確信しています。
今後どのような、「新しい価値」が登場するのかを思うとワクワクが止まりません。
いつかは自分でもその価値を作っていきたいと思いつつも、今は色々なブロックチェーンゲームを遊び、それらを遊ぶプレイヤーの方々のコミュニティに入り、「プレイヤーとして」ブロックチェーンゲームの可能性を模索しています。
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この記事を読んで、ブロックチェーンゲーム面白そう!と思った方は、
現在世界最大の日本初ブロックチェーンゲームである「マイクリプトヒーローズ」の魅力と遊び方を記事で連載中ですのでそちらもご覧いただければ幸いです。
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