仮想通貨、暗号資産をめぐる詐欺案件は後を絶ちません。暗号資産はブロックチェーン上で展開されるものであり、基本的に被害を遭った場合自己責任となってしまうのがデフォルトです。例えば、この前のSlopeウォレットハッキング事件も、結局のところ自分のウォレット管理状態がすべてであり、それ以上もそれ以下もないというのが結論でした。
クリプトの性質上、この自己管理への責任完全投下は、ハッキングやラグプルなどに遭遇した時に泣き寝入りをするしかないことを始める前から突き付けられているようなものです。もしも暗号資産を持とうものなら、絶対に秘密鍵だけは知られるなといわんばかりにです。
正直、そこまで完備に秘密鍵を管理できるかといわれれば無理でしょう。ひとつのウォレットには12個以上のパスフレーズがあり、それらをひとつでもネット上に置けば一瞬のうちにセキュリティ面のリスクにさらされます。かといって、VPNも何も利用していない庶民からしたら、セキュリティは"ざる"といっていいでしょう、
暗号資産は金融包摂という目的がありますが、仕組み上それはただの詐欺横行の理由にしかなっていないようにも思えます。もちろん、ハードウェアウォレットやペーパーの利用によりある程度は忌避できるものの、あいつぐハッキングや資金流出は自由自在にWeb3世界を行き来できるわけではないことを示しています。
Web3というか、この新しいレイヤー構造には自律分散というイデオロギーがある反面、セキュリティインクルージョンというのは、どこか変な方向へ向かっている気もするのです。例えば、例外となるような事案が一つあったとき、ブロックチェーンではそれがどこまでフォーカスアップされるのでしょうか。
クリプトで資産運用することは、まるで裸で重装歩兵と戦えと言われているようなもので、それは知識以上に即時的な戦略、そしてそれに伴う行動を行わなければなりません。同じ場所に資産を置いておくことは、非常に難しいように思えます。
暗号資産をめぐる詐欺事件の主流は、かつては中央集権取引所にありました。たとえばインターネットから入り込めるOKEXやバイナンス、BittrentやCoinbaseなどです。大半のケースにおいて、暗号資産の詐欺被害は中央集権型取引所で起こっていました。
しかし、インターネットの世界は広いようで狭くあります。
今では、詐欺の大半がDEXで起こっていると言われています。これは基本的にサイトのみで運営されているもので、管理している運営がCEXほど際立っていないという面を持ちます。どういうことなのかと言えば、それは取引所における取引方式にあります。
株取引などをふくめたほとんどの金融デリバティブ取引において、オーダーブック方式というのは基本的な形として知られてきました。それはマーケットメイカーとなるように、注文を予約してひとつひとつトレーダーとトレーダーを結び付けることによって回っています。オーダーブック方式では、取引が成立するために予約を行い、成立するまでトレード相手を待たなければなりませんでした。これは、取引所に流通しているお金の総量には限りがあるからです。
例えば、10万円を1ビットコインにスワップしたいといった場合、1ビットコインを持っている人が居なければスワップは成り立ちません。そのため、あらかじめ予約を行い1ビットコインを持っている人が来るのを待ち、来しだい取引成立となるのです。
では、AMM方式はどこが異なるのでしょうか。AMMは基本的にDEXで利用されている自動マーケットメイキングを略したものです。自動とありますが、それはその名の通りで、流動性プールといわれる資金プールにスワップする2つのコインを投入します。
例えば日本円とビットコインならば、それぞれを100枚ずつ入れます。そうすると、別に1枚の日本円と1枚のビットコインを持つ人を探さなくても、プールのコインでやり取りすればいいので、いつでもスワップができるわけです。
ここで不思議に思うのは、流動性プールのお金はどこから来ているのか、でしょう。それは基本的には出資者がいます。Web3なる業界ではDEXのプロジェクトに大量の資金が投下されており、それらが流動性プールに入っています。そして、その出資者は誰でもなれます。なった物のことを、流動性提供者と言ったりしました。現在では、この仕組みには問題があるとされています。
分散型取引所で起きた事故
✓ TerraLUNA崩壊
✓ 3ACの崩壊
✓ Slope Walletハッキング
✓ USDT、USDD、stETHなどのディペッグ
✓ その他、Celsius事件
暗号資産界は現在、上記のようなハック事件やコイン価格の下落などによって存続の危機にいたりします。もちろん、今後はイーサリアムのアップデートや各ブロックチェーンプロジェクトの完備化などによって使いやすくなっていくとは思いますが、現状を考えると詐欺についてはまだ横行するであろうとみています。
ブロックチェーンサービスは、よく追跡できるというメリットがあると言われています。例えば、いかのEtherscanなどでは、トランザクションIDやウォレットアドレスがわかることで、どこのウォレットからどのくらいのコインが取引されたのかがすべてわかります。しかし、このようなことをしていた時代もあったな、といわれる日が近づいてきているようです。
Tornedo Cashは、ミキシングサービスの一種で、上記のような追跡行為をアドレスミキシングによって「シュレッダーにかけた書類」のごとく情報粉砕します。それは最早追跡不可能といっても過言ではなく、追跡者は完全に手がかりを失います。
これを問題視したアメリカの財務省は同サイトを取り締まるとともにdydxの複数のアカウントがブロックされるという影響も出ています。
この件によって、コインベース創業者のブライアンアームストロング氏を始めとした、各界著名人のウォレットが相次いでブロックされていると言われています。米国では、さらなる規制の強化が見込まれる模様です。
それは一筋縄ではいかないでしょう。わずか19歳という年齢でイーサリアムを作り上げたVitalik氏の母親はこのように語ってもいます。
暗号での成功は一筋縄ではいきません。それらで成功するには忍耐力が必要であり、痛い目を見ても手を引いてしまわないことが重要です。新しいことを試すことを恐れるべきではありません。未知の世界に飛び込むことは難しい。しかし、できる限り多くのことを試してほしいというのが私からのアドバイスです。
暗号の世界は確かに詐欺が横行しておりひどい世界である一面もあります。しかし、SoulboundトークンやSTO、そしてプロトコル駆動のセマンティックウェブには、新しさがあり、未知なる世界があることは間違いありません。
クリプトの世界に少しでも触れたなら、もはやこの世界を学んでいくことは避けられないでしょう。そして、その先に見えてくるゴールをいつも考えのポールポジションにおいておくことが何より重要だと思います。