暗号資産の王者的存在国家、それはどこかといわれたら中国かアメリカと答えるでしょう。しかし、クリプトを語るうえで欠いてはいけないもう一つの巨大国家があるのをご存じでしょうか。その名もブラジル連邦共和国。南米にありBRICSの一つとして成長を期待されている国の1つでもあります。
BTG Pactualのステーブルコイン「BTG Dol」は、ステーブルコイン市場において、世界初の銀行発行のドルに連動したステーブルコインとなります。ステーブルコインは、法定通貨や商品価格など、他の資産に連動して価値を維持する暗号資産の一種です。これにより、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨のように価格変動が激しいわけではなく、安定的な投資が可能となります。
BTG PactualのMyntプラットフォームを通じて、「BTG Dol」は100レアル(約20ドル)から購入可能となっています。Myntは2021年にリリースされ、現在22の仮想通貨に対応しています。
ステーブルコイン市場は、時価総額で約1330億ドル(約17兆5000億円)となっており、日々取引されている金額も約390億ドル(約5兆1300億円)となっています。ステーブルコインの中でも、最大手のテザーやUSDコインなどは民間企業が発行していますが、BTG Pactualのような金融機関による発行は珍しいため、注目を集めています。
ステーブルコイン市場は急速に拡大しており、一方で規制当局の監視が厳しくなっているという背景もあります。例えば、テラUSD(UST)の破綻などが起きたことで、規制当局はステーブルコインに対する監視を強化しています。今後、金融機関によるステーブルコインの発行が増える可能性があり、ステーブルコイン市場の成長に注目が集まっています。
Revolut(レボリュート)は、すでにヨーロッパ全域で暗号資産投資サービスを提供しており、ブラジルでも事業を開始すると発表しました。ブラジルにおける暗号資産の需要が高まっていることを受け、Revolutは約1000万人の暗号資産ユーザーがいると報告しています。
世界で約2900万人の顧客を持つRevolutは、さらにラテンアメリカで最も人口の多いブラジルでユーザーを拡大しようとしており、ブラジルのデジタル銀行Nubankが昨年6月に暗号資産取引の提供を開始し、1カ月で100万人のユーザーを獲得したことを踏まえています。
RevolutのCEOは、グローバルアカウントと暗号資産投資を開始するが、これはまだ始まりに過ぎないと述べています。
ブラジルの連邦国税庁によると、8月には1万2000社以上の企業が暗号資産を購入し、6月の1万1797社を上回ったと発表されました。この数字は、2019年8月に企業が暗号資産の売買について税務当局に報告を始めた時点の5倍に上ります。また、ブラジルの企業は約109億ブラジルレアル(約3060億円)相当の暗号資産を保有しているとされています。
このように現在ブラジルでは暗号資産や金融に関する画期的なアイデアが社会実装されつつあります。すでに7000万人が利用しているNubankをはじめ、これからのブラジルのデジタルマネーテックの発展が楽しみです。