今回は、100歳を超える人々の秘訣について調べてみました。かの大富豪であるビルゲイツやウォーレンバフェットは、成功のコツを「ほかの人の良い習慣をまねること」だと説いています。
この考えは、百寿者の方の思考や習慣から同じように学ぶことができるのではないかと考えられます。目的を達成する一番の方法は、達成までのプロセスを正しくとらえることにほかなりません。
100歳、つまり1世紀にわたり生きてきた人々は年寄りという枠をこえ「センテナリアン」といわれることがあります。中でも110歳を超える場合は、「スーパーセンテナリアン」といわれ、なんだか逆に若返っているような名前の語感があるほどです。
センテナリアン人口は、アメリカが最も多く10万人を超えており、日本はそれに続いて8万人ほどいます。以下、中国、マレーシア、インド、タイ、フランスと続きます。
人口10万人当たりのセンテナリアン人口は、マレーシアが1位で134人、次に日本で68人、ポルトガルが48人と続いていきます。意外にも、アメリカのセンテナリアン人口は世界一であり、食生活が問題視されていた印象とは裏腹の結果となっています。
前回、「ブルーゾーン」を紹介した記事では、そこに住む長寿の人々がどのような暮らしを営んでいるのかや、食生活についてクローズアップしてきました。センテナリアンの人々の習慣を考えたときブルーゾーンに住む彼らと非常に似たような特徴があることがわかっています。
しかし、前回食生活について「〇〇を食べればいい、〇〇は食べないほうがいい」のようなコンテキストで紹介した部分がありましたが、センテナリアンに関して言えばそれは少し当てはまらない様相があります。
ブルーゾーンの生活が健康であるというのは、もしかしたら少しずれていたのかもしれません。というのも、センテナリアンの人々は別段食べ物に関しては好きなように食べていることがわかっているからです。
彼らが長寿たるゆえんは食べている内容物ではなく、どのくらい食べているのかに起因するようで、若いころから通常の体系を維持してきたり、腹八分目でやめておくことは非常に重要なことのようです。
そして、彼らはブルーゾーンの人々と同様に運動を毎日行っていることがわかっており、100歳を超えても8時間のフルタイムで働いている方もいるようです。ブルーゾーンのサルデーニャ島には100歳を超える男性が世界で一番多いと言われており、彼らは毎日8キロの道を牛飼いとして歩いていたりします。
センテナリアンやブルーゾーンの人々に共通するのは、食べ過ぎないことであったり、適度に運動することなど、極端な生活を送らないでほどほどの範疇で暮らしていることだと考えられています。
最終的に言えるのは、自分のことをコントロールできている状態、もしくは毎日に何のストレスもない状態であることがセンテナリアンに共通していることだとも考えられており、これが百寿者を百寿させている一番の要因ではないかと思っています。
以前、鈴木祐氏の「無 - 最高の状態」という著作を読んで思ったことがありますが、苦しみは以下の公式で示すことができ、それを回避する方法は一つしかないと言います。
苦しみ=痛み×抵抗
それは、抵抗しないことです。もしも上記公式の抵抗の項が0に近ければ近いほど、苦しみの値も小さくなります。苦しみがストレスと不可分であるならば、いかに抵抗を感じないで生きることが重要かを説いています。しかし、抵抗しないというのはどのように実現すればいいのかという疑問が浮かびます。
そのヒントになるのが、「無」という状態です。現状をありのままに受け止める、自分の中でうごめく意識の抵抗を観察してその状態が何なのかを受け止め続けることで、それは見えてくると言います。
鈍感力という視点や、重箱の隅を楊枝でつつく癖、もしくは無知の技法と何か相通じるところがありますが、何かを警戒してもしすぎることは良いとは言えず、興味関心に身を任せた方がいいことがあるということでしょう。私自身、どうでもいいことに気がいって最終的に損失を被っていた、ということは少なくありません。
百寿者は、女性に多く、ブルーゾーンに多く、寒い地域には少ないことがわかっています。
100歳を超える人々では、圧倒的に女性が多く、その男女比は6倍に達しています。なぜ女性のほうが長生きするのかといえば、ひとつの要因としては女性ホルモンの働きがあります。ほかにもいろいろと要因はあります。よく、男性は仕事や趣味が生きがいとすることがありますが、女性の場合は友人との交流、おしゃれ、旅などが生きがいに大きく含まれており、仕事に対してはたいして生きがいを感じていないことで知られています。
個人的には、男女の寿命の違いは、ひとえに社会性があるとか、趣向が異なるからという視点では説明がつかず、ホルモンの影響が最も大きいのではないかとも考えています。
そして、100歳を超える長寿者の特徴は、上記に示した通り何をすればいいか、という問題ではなく、その方法を文章で伝えることは非常に難しくあります。実際、ブルーゾーンに住む人々を基準にするならば、一日に適量のアルコールを摂取することは、しない場合よりも長生きするという事実もあり、たばこに関しても「今吸っているから短命は免れられない」わけではなく、やめたその日から心筋梗塞のリスクはほとんどなくなることも示されていたりします。
センテナリアンは、まだその実態が少数であり不明瞭なものではありますが、長生きするための方法は、究極的には「特にない」ことが垣間見えました。