2022年は、明るいニュースよりも暗いニュースのほうが多かった気もします。とはいっても、ニュースは大体悲観的なことしか取り上げないので、どの年代も暗いニュースが多数派なのかもしれません。
今回は、2022年2月末日に火ぶたが切られたロシアウクライナ戦争についての現状と世界情勢の変化について、いろいろと調査していきます。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、ウクライナとロシアの関係について、NATOはまったくもって範疇の外にありロシアの影響が及ぶ範囲外であると述べています。
ロシアのウクライナ侵攻の影響により、既存NATO加盟国は、その結束を一層強めロシアとの対抗姿勢を鮮明にしています。加えて、北欧諸国が相次いでNATOへの加盟を示唆しており、第二次世界大戦以来の要衝であったノルディックバランス(北欧の動向)にバイアスがかかった結果になっています。
NATOへの意向を示しているのはスウェーデン、フィンランドにボスニアヘルツェゴビナ、ジョージアが挙げられます。
NATOのロシアへの対決姿勢が露呈したことで、それまで冷戦といわれてた米ソ関係を思い浮かべることがあるかもしれません。それは非常に的を得ている指摘であり、中国・ロシアとアメリカの3大国の構図を米中冷戦や、米露新冷戦ということがあります。ここで注意しなければならないのは、過去に生じていた米ソ冷戦の時とは異なり、中国という巨大プレイヤーが大きく幅を利かせていることでしょう。
現在において、中国を筆頭とする東アジア情勢は非常に強力なプレイヤーがそろっており、欧州や北米を鑑みても無視できないものがあります。
過去数百年にわたって、オランダやポルトガル、スペインにイギリス、そしてアメリカといった国が世界の覇権を得るかの如く振る舞ってきた歴史があり、その衰退と隆盛の境目には必ずと言っていいほど大きな動乱がありました。イギリスからアメリカへと世界の主導権が移った際は、第一次世界大戦と第二次世界大戦が起こったことでそれが鮮明になりました。
アメリカを過去のイギリスの影に重ねるとき、中国が今のアメリカに自身の影を垣間見ることになるでしょう。
バイデン政権の対中政策は「3つのC」といわれ、Cooperation【協力】、Competition【競争】、Confrontation【対決】の頭文字を取ったものを指しています。責任のある競争とうたっているこの状況は、中国とは完全に敵対しているわけではなく、程よい距離感を保とうとしていることがうかがえ、対する中国側もアメリカを敵視してはいるものの、無視しているわけではありません。
いくら一国の元首が最高の指揮を執っても、経済状態が最悪な場合うまく事は進まなくなるでしょう。現にロシアは第一次世界大戦や第二次大戦時、そして日露戦争時などで戦いに参加してきましたが、例外なく国民が困窮し巨大な民衆運動が巻き起こっています。それは2月革命であり10月革命であり、ソビエトの結成であり、何かしらの変動が起きてきました。
それは明らかに今回のウクライナ騒動でも再現されることが想定されます。もしかしたら、ロシアだけの問題として流されないかもしれません。
世界各国で巻き起こるインフレーションと現在進行形で進む株価の長期的な下落、これらがウクライナに端を発している不安要素に作用しないとは思えず、思わぬところで思わぬことが起きることが予測されます。
革命というと聞こえはいいですが、実態は戦争に似たようなもので、破壊を伴うようなマイナスのイメージがあることは否めません。また、その言葉を使うと一日で常識が変わってしまうような意味合いがあるように思いますが、ウクライナが映す常識の変遷はより時間的に長いスパンでしかできないかもしれません。