音楽について紹介した記事は過去にいくつかありました。しかしそこでは、2010年代のヒットソングや最新のクリプトプロジェクトまで多くの形で存在していることがわかり、テクノロジーとの関連性についてはほのめかす程度にしか指し示していません。
初期のころの音楽のジャンルは今ほど多様性に富んだものではなく、その領域を知り尽くしたオタクの存在が弱弱しくもありました。しかし時代が進むと、島宇宙のように別個に点在する音楽コミュニティの数は増加していき、様々な音楽ジャンルが混合されイノベーションを起こしてきました。
2020年の1月には「・・」というアイドルが織りなすユニットが明らかになり、一部の界隈で盛り上がっていたり、といった具合でです。これは一例ですが、音楽はどうにもテクノロジーとの関係を考えなければ語れない切り口があるのではないかとも思ったりします。例えば今でいうシティポップやボーカロイド、LoFiなどはすべて音楽ジャンルですが、同時にテックの影響も大きくあります。
音楽とテクノロジーの関係は楽曲の裏で流れる旋律や律動だけではありません。どちらかといえば、それを流すデバイスも歴史ととも変わってきたということが言えます。
初期の音楽(音楽保存体系)は、楽譜によって成り立っていました。それをみることでピアノやバイオリンのどこをたたけばいいのかがわかり、それぞれ長調や短調など音階領域が定まっていました。
しかし、それはレコードやラジオの登場により変わっていくこととなります。
レコードはラジオに駆逐され、ラジオはコンパクトカセットに、そしてカセットはCD、MD、やがてはMP3に駆逐されていきます。
徐々に変わっていく音楽保存体系ですが、それとともに音楽を流す装置も変遷してきました。iphoneはipodの機能も内蔵していますが、それはウォークマンの存在ゆえにできたものでもあり、そのまえにも蓄音機やジュークボックスなどがありました。
現代の音楽産業が過去のそれとは全く異なる部分は、新しいものが出るまでの速さとそのインパクトでしょう。19世紀のダウ平均株価と21世紀のそれとではまるで値動きのスケールが異なり、今では数パーセントの下落ですらブラックマンデーに匹敵する下落幅に等しくなっています。
これからの音楽市場では、まったく新しいジャンルやとんでもない体系のそれが生み出されていくことが予測され、過去の音楽という概念はまったくもって意味のないものになっていくでしょう。