人生において、人間が活動できる時間は約4000週間ほどしかありません。こう聞くと短く感じられますが、年で換算すれば80になります。いろいろなことを試みていくと、あれもこれもできるような気がしてきて胸が躍りますが、実際予想に反してできることというのは少ないというのも事実です。
何もない空間にいても何かしらしたいと考えるのが人の本能なのは書くまでもありません。お金が勝手に増えていく仕組みを手に入れても、さらに手っ取り早く金持ちになる方法を考えてしまうのがサガでもあります。それによって大損をこいてもです。
私個人でいえば、ここのところALISの更新を落としていますが、この急激な更新頻度の減少を埋め合わせたいと思いより多くの投稿に走ろうとすることもまた、やりたいことの一つになるわけです。しかし、そんなマインドではいちいち何かしらに手を染めるたびに、やらなければならないことが増えていきます。
やらなければならないことが自分のマインドに累積していけばいくほどに最終的なダメージは自分に対して降りかかってくるということになります。
では、どうやったらそのやりたいことの数を抑制できるのでしょうか。方法論的にはいくつかありますが、ひとつは欲望の消化というものがあります。これは以前このブログでも紹介したものですが、そもそもなぜそれをやりたいと思ったのかということを考えなければならないわけです。そしてもう一つが、憧れ的な気持ちを抹消することです。
あこがれは一種の欲望でもありますが、それらがない状態において「やりたいこと」の嵐はやむことになります。
例えば、資産が10億ドルある人物を見て何を思うのでしょうか。端的に10億と言う数字だを見るでしょう。そして、海外に移住した人物を見て何を思うでしょうか。その現地の環境や文化などが自分に合っているかどうかは完全に度外視で、対象の人物が現地に移住しているという字面だけにあこがれている可能性はないでしょうか。
つまり、欲望というのは一種の幻想、つまりはファントムと言う訳で、それはお金や肩書なども当てはまります。そう、すべては「よく考えれば意味のないもの」でもあるのです。
その意味のないものでも、別段意味がないという主張だけしかしているわけではありません。受け取り手が誰かによって、派遣で働くことを夢、という人もいれば、サッカー選手になることが夢という人もいます。しかし、それらをまったくもって夢でも憧れでもないように思っている人もいるわけで、そう思う人々が見ている景色は全く上記のそれとはわけを異にします。
日本人のほとんどすべてにおいて海外に行ったことがあるというのは当てはまるかもしれません。なんと、全人口の7割はその経験者だというのです。その統計が当たっているかどうかはさておき、海外に行ったことがあれば日本の優れているところや劣っているところが浮き彫りになります。
それはまさに上記に述べた欲望や憧れのそれと紙一重と言う訳です。例えば、フリーランスをあこがれても、実際になってみたら思いもよらぬところで請求を受けたり、海外に住めば、思いもよらぬところで文化的衝撃を受けたり、もちろんそれらは乗り越える、というか受け入れれば問題はないですが、初期のころに抱いていた謎の憧れを再度見返して、今の自分を誇らしく思う気概をもてるかどうか、という観点でいえば非常に難しくなると思わざるを得ません。
最初に「こうあったらいいな」というのは一種の情報弱者の発想であり、それは絶対的に情報弱者から出発します。最初から情報強者、というか極論的に全知全能の神であれば「こうあったらいいな」というのは思わないはずです。そのようなことを思うことはある意味で今に満足している証拠ともいえるのです。
シンガポールは暖かい気候で税金も安く、先進国並みのサービスで暮らせるから移住するしかないという発想を持つかもしれませんが、それは甘いということです。まずもって確かに地震は来ませんが、スコールは毎日のように訪れ、意外に晴れている時間はありません。暑いとはいっても日本の夏ほどに暑いわけではなく、屋内に入れば冷房が効いていて慣れるには時間がかかります。
マレーシアやタイは物価が安いと言われていますが、本当にその人は現地に行ったことがあるのでしょうか?はっきり言ってエアプでしょう。現地の価格は日本と等倍です。残念ながら安く暮らすすべというのはわざわざ東南アジアに求めなくてもいいように思えます。
また、シンガポールやインドネシアは地震が完全にゼロと言う訳ではなく、特にインドネシアは日本よりも最悪レベルの火山や地震に見舞われることがあります。じゃあオーストラリアがいいだろう、あそこは災害も少ないし、物価は高いけど過ごしやすいと思うかもしれませんが、オーストラリアはほかの先進国よりも非常に遠い位置にあり、ニュージーランドに至っては世界一遠い先進国という称号すら授かっています。
だったらアフリカ、などと思うかもしれませんが、アフリカはアフリカでいまだに欧州との関係でもめていたり、中国とのいざこざがあり、大挙して移住するような場所にはなりにくそうな印象です。もしも移住するなら火星か、地球以外のハビタブルゾーンにある岩石惑星かどこかでしょう。
暗号資産はかつては「未来の金融の姿」とまで言われていましたが、いまでは資産というのを暗号という言葉と付け合わせで用いている時点で詐欺師のような扱いを受けます。いつからこんなことになったかといえば今年です。そして、もてはやされていたのは去年なのです。たった一年で手のひらを返したかのように地に落ちたクリプト業界ですが、別段これで終わりだとは思っていません。しかし、やはりといったところで、プラスの上昇を打ち消すかの如く、マイナス収益が生まれたのも事実です。
現に、ビットコインの保有者の大半が今年の収益はマイナスに陥っていると聞きます。このように、プラスがあるところには必然的にマイナスの要素も生まれるというのは避けがたい事実なのかもしれません。