さて、安定の船頭セーレに運ばれてたどり着いたのは南の島の一つ。名前は取り敢えず興味ないので早速潜るとするか・・・・・・
「キール、今度のお宝はどこにあるの?」
独りだけ水着姿のリサが尋ねてきた。
「まあ、所謂海底神殿?ってやつかなあ。まあ本当に神殿だったかは知らないが海底に岩を積み重ねてできた建物があるらしい。
まあ、情報元《ソース》はいつものように謎の人物からのメールだけどな」
「メールって、その不思議な光る板に届くお手紙のことだっけ。しかし、毎度謎の人物の手紙を頼りに宝探しとか、正気を疑う感じよね。まあ、実績はあるけど。
その人の目的は何なのかしら?」
「さあな、スマーフォンに届いたメールが無ければそもそもリサとも会ってないしな。別にいいんじゃね」
『キール、そろそろ其方の目的を聞いておこうか。何が望みで我の復活を手助けするのか、魂胆があるのなら今のうちにぶちまけておくが良い。
場合によっては手を貸さぬでもないぞ』
「まあ、『すべて』を望む者へって奴に騙されたというか惹かれるモノがあったというしかないな。
今のところは・・・・・・
ところで、えーと、ソローン。これから海中に潜るんだが、水中で俺たちが呼吸できるように都合はつけられるかい?」
『造作もないこと、しばし待つが良い』
(うーん、海の魔人ってあいつで合ってるよね。名前何だったかしら・・・・・・)
しばらく考えていたのか、目を閉じていたホムンクルスが力を開放する。
『我、ソローンの名において命ずる。魔界の序列三十位、海魔の侯爵ファルネウスよ我がもとに疾くと参れ!』
『これは久しい、ソローン様。御前に』
上半身だけを見れば青髪の美しい女性がイカのリアルな着ぐるみを着たような姿の魔獣、ただし脚は十本ある、が恭しく上半身を折ってソローンの下知を待つ。 『うむ、この二名の人間を連れて海に潜るので死なない程度に面倒を見てやってくれ』 『はは、かしこまりました』
「ふーん、今回は戦闘にならずに魔人を制御できているようだな」
『では、人間ども我の脚に掴まっておれ』
フォルネウスの二本の脚がキールとリサをそれぞれ掴むと海に潜っていった。
「おい、神殿ぽい建物に連れっててくれ」
「なんか、水の中で話が出来るなんて変な感じだね」
『はしゃいでいるが、くれぐれも我から離れぬことだ。溺れ死ぬのが嫌ならな』 「はーい」
やがて海の底に岩を幾つも積み重ねた海底ピラミッドが目前に現れた。
「ふーん、これが神殿か。まあ、それなりに大きいな。なるほど、あそこに窪んだ所がある、入り口かも知れない。あっちへ行ってくれ」
ほどなく入り口を見つけた一行は、奥へと続く通路を昇って行った。