by Crypto Daily
ブロックチェーン分析企業Ellipticによると、ロシアのウクライナ侵攻後、世界中の人々がウクライナ政府およびウクライナ軍への支援を行う「Come Back Alive」というNGOに5400万ドル以上を送金しています。
また、支援者は、寄附においてNFTやステーブルコインも寄付していることがわかります。Polkadotの創業者Gavin Wood氏は、580万ドルの寄付を行っています。
米国政府がウクライナに送っている数十億ドルに比べてしまうと、寄付金額こそ小さく感じますが、こうした活動によって、暗号資産は、困っている人たちの手に直接お金を届けるための「最適な方法」であることが証明されました。
ウクライナ政府が暗号資産を受け入れるようになったのは、従来の銀行を通じた寄付は、現状の混乱の中では困難で時間がかかる可能性があったためです。暗号資産を使えば、世界中の誰にでも、ピンポイントで、いつでも送金できるようになるのです。
金融の兵器化
この数週間、欧米諸国はロシアに大規模な経済制裁を課し、その経済を麻痺させました。ロシアは今や世界で最も強力な制裁を受けた国となり、その経済状況は、イランや北朝鮮と比べてはるかに悪い状況になっています。フランスの財務大臣は今月初め「我々はロシア経済の崩壊を引き起こすつもりだ。」と述べました。
ロシアの複数の銀行が、銀行メッセージングシステムであるSWIFTから排除され、国際送金の実行がこれまで以上に困難になっています。西側諸国による「金融の兵器化」は、ロシア経済に確実かつ深刻なダメージを与えており、ルーブルは対米ドルで約50%の価値を失っています。
このような大規模な金融の兵器化は、ロシアだけでなく、他の多くの国々に懸念を抱かせるものとなっているでしょう。中国やインドなどの国は、欧米の金融インフラへの依存を減らす方向に向かうかもしれませんし、代替手段として暗号資産が活躍する「世界経済の分断化」につながることになるかもしれません。
暗号資産は国境を気にしない
暗号資産は、銀行口座を持たない・利用できない人々がどこに住んでいても、銀行機能を利用可能にします。暗号資産は検閲に強く、国境がなく、中立的です。これらはまさに、ポストドル、現在の断片化された世界経済に不可欠な要素です。ルーブルが急落する中、資金援助を必要とするウクライナ人と資金を温存したいロシア人を区別することなく機能しています。
しかし、モスクワやロシアの財閥オリガルヒは、いくつかの理由から、西側諸国によるの経済制裁の回避策として暗号資産を使うことはできないでしょう。CoinbaseやBinanceなどの取引所は、経済制裁に従ってロシアでの事業活動を停止しました。実際、Coinbaseはロシアの団体や個人にリンクしている2万5000以上のウォレットをブロックしています。
さらに、暗号市場は、ロシアが国や財閥として必要とする数十億ドル規模の資金を動かすのに十分な流動性を持っていません。トランザクションは記録されるが、その対象を明らかにすることはできないので、悪用される可能性があるという誤解がありますが、透明性の高いな公開台帳に国家の取引が記録されることはロシアにとって避けたいものであり、流動性が低いことと相まって、制裁を逃れのために使うには効果的でないツールとなっています。
一方、ロシアの一般市民にとってはリスクはほとんどありません。経済制裁の開始とともに、ロシアで暗号資産の活動が大幅に活発化したという事実がその理由を明確にしています。一般市民は紙屑となりそうなルーブルをビットコインやUSDTなどのステーブルコインに交換しています。
これに対して、エリザベス・ウォーレン上院議員やジェローム・パウエル連邦準備制度理事会議長などは、制裁の効果を確実にするために、当局が暗号資産へのアクセス規制を強化する必要があると主張しました。伝統的な金融サービスや中央集権的取引所には、有事の場合に個人の資産に対するリスクが存在し、これからも存在し続けることを痛感させるものとなっています。
今後、より多くの人々や国が暗号資産を利用し、少なくとも財産の一部を非保管型のいわゆるWeb3ウォレットに保管するようになるでしょう。それは、違法行為を行うためではなく、資金や取引の可用性を確保するための行動です。これによって、金融検閲が行われた場合でも、取引を行う自由を保持することができるのです。
たとえば、次世代のブロックチェーンプロジェクトであるPortalのソリューションは、世界中の人々が自分の資金や取引をコントロールできるようにするために登場しようとしています。Portalは、ビットコイン上に構築されたクロスチェーンDEXとセルフホスティングのレイヤー2ウォレットで、ビットコインと他のデジタル資産間のアトミックスワップを高速、安全、非公開で実行することができます。また、第三者による保管や管理の下に置かれることなく、あらゆるDeFiサービスを提供します。
制裁の回避策の存在
長年にわたり、米国とその同盟国はイランに大規模な経済制裁を加えてきた歴史があります。これによってトップクラスの産油国であるイランは、エネルギーに余剰を抱えることになりました。イランはその余剰エネルギーを使ってビットコインをマイニングし、制裁の経済的影響を軽減しています。結果として、イランは世界有数のビットコインのマイニング地となっているのです。
同様に、西側諸国によるの制裁は短期的にはロシア経済を麻痺させることに成功したかもしれませんが、モスクワは最終的に回避策を見つけることになるでしょう。SWIFTを遮断されたロシアの銀行は、ロシアの「実質的な」同盟国である中国のCIPSを利用して米国の規制を逃れることができるのです。さらに、アメリカのVISA、マスターカード、アメリカン・エキスプレスがロシアでの事業停止後に、ロシアの銀行は中国の決済ソリューション「銀聯」を使い始めています。
実際、彼らは金融検閲に慣れており、モスクワは事前に制裁に備えた経済的な準備を進めてきていました。それを裏付けるように、世界有数の産油国であるロシアは、わずか数年の間に中国への最大の石油供給国になっています。
プーチンはまた、米国債や米ドルを対抗資産として保有しています。彼の軍資金には6300億ドル相当の外貨準備高があり、制裁の影響を鈍らせる金融シールドの役目を果たしています。同国の債務残高の対GDP比はかろうじて18%です。
CNBCによれば、もしプーチンとその側近が国際的に資金を動かそうと思えば、ペーパーカンパニーを通じて数ヶ月の間に既に完了しているだろうと伝えられています。これは、西側諸国がモスクワにほぼ全ての金融兵器を投入しているにもかかわらず、プーチンがウクライナからまだ手を引かない、デフォルトの兆しが見えない理由の一端を説明するものでもあります。
最後に
ロシアがいつ戦争を止めるのか。それとも核の大惨事に発展するのか、それは誰にもわかりません。しかし、金融の兵器化によって、個人や国は従来の金融システムへの依存を見直す必要に迫られています。それによって、世界経済における暗号通貨や非保管型のDeFiプラットフォームの導入が加速されることは間違いないといえるでしょう。
免責事項:本記事は情報提供のみを目的として提供されています。法律、税務、投資、金融、その他のアドバイスとして提供・利用されることを意図したものではありません。
Portalについて
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