ジャライ族はアニミズムと呼ばれている精霊信仰の民族です。
アニミズムの世界は、すべての存在に精霊が宿ります。
動物、植物、川、森、すべてのものに。もちろん人間にも。そして、人間が物理的な死を迎えたあとは精霊となり、他のすべての存在と同等な立場となります。死をとおして、人間と自然が流動的につながっています。
それがアニミズムの宇宙観です。
そのため村の中でも重要事項を決定するときにはシャーマンが大きな力を持っています。
ある時下の写真の村のシャーマンとお話をして、少し質問することができました。
Q.シャーマンの仕事はなんですか?
A.村人が病気の時に、どんな動物を生贄にしたらいいか(病気をもたらしている悪い精霊が、どんな動物を食べたがっているか)アドバイスします。村を引っ越しするときや畑を作るときにその候補地に簡易小屋をたてて、そこで寝ます(夢で土地の精霊の意思を尋ねるため)。そのときに見た夢が良かったらその土地を畑にして、悪い夢をみたら村や畑は断念します。
Q.精霊はどこに住んでいるの?
A.森、木、川、石、自然のいたるところ。
Q.精霊はどんな姿?
A.人間と似ている。老若男女、いろんな姿がある。
そのアニミズムの世界を象徴的に感じることができるのが彼らの墓場です。
ジャライ族の墓場は森の中にあります。
たくさんの謎の木彫りの置物がありますが、これらはすべて精霊を表しているそうです。
はじめてお墓にきたときは、鳥肌が立ち、背筋がぞくっとするような不思議な感覚を味わいました。異界に迷い込んでしまったのではと錯覚してしまいました。人間社会の喧騒から完全に隔離された空間です。。
そして数十年前にジャライ族が空を飛ぶヘリコプターを見たとき、ヘリコプターにも精霊が宿ったものだと考えて、墓場に木彫りのヘリコプターを作ったりもしました。
木や岩などの自然物からヘリコプターのような人工的なものまで、分け隔てなく精霊が宿ると考えているのは、とってもジャライ族らしいなあと思います。
もともとアニミズム(animism)という言葉は、すべてのものに魂、精霊(anima)が宿るという意味です。
アニメーション(animation)という言葉も、命を持たない絵や画像に魂(anima)が宿ることによって生命が吹き込まれて、絵や映像が動き出すという意味があります。
アニミズムとアニメーションというふたつの言葉は同じ語源から派生しています。
当時は、ジャライ族の世界観がどこかアニメのような空想の世界のような気がするのも偶然ではないのかなあなんて思っていました。
そしてもちろんジャライ族の猫にも精霊が宿ります🐱
今後は精霊信仰に基づいた生贄の儀式や魔術なんかも紹介したいと思います。
これまでジャライ族について紹介した記事です🐱