気がつけばさくらは見ごろを終え、日差しは初夏へとむかいつつあります。
しばらくぶりの更新になります。少し前の記事で書いた義理の父が3月初めに亡くなりました。
たまたま夫が実家に帰省していた日の夜中に夫が父の異変に気付いたそうです。救急車を呼ぶほどではないと言う義父の言葉は信用せず吹雪の中救急車をよびました。
元気そうだし、また来るわ、と家に夫が戻ってから一週間。病院からそろそろ会わせたい人に会っておいたほうが良いと電話がかかってきました。元気だったのに本当かと言いながらも翌日に私たちは揃って義父のいる病院へと新幹線で駆けつけました。
5歳の息子は旅気分。大好きな電車に乗れてテンション爆上がりです。
こういうとき、子供に「死ぬ」ことを説明するのがむつかしいのですが、彼には問題なく理解できていました。
病室には酸素マスクをつけて横たわった義父。
「先週病院ではあんなに元気で会話も普通にできてたのに、なんで・・・」
目の前のお父さんの姿に呆然とする夫。
意識はほとんどなく、私たちが声をかけても反応もない。
でも、孫の力はすごかった。
5歳の息子の成長が生き甲斐だった義父。息子が「おじーちゃん!!!聞こえてる?!僕きたよ!!」っと5回ぐらい近所迷惑なほどの大声で叫んだとき。
奇跡は起きました。
義父がしっかり目をみひらき、声をほうを向いたかと思えば、息子の姿をとらえたのでしょう、手を伸ばしてきたんです。
私も夫もびっくりして、大声で話かけました。耳がもともと遠いので紙に大きく書いて渡すとうんうん、と頷きなんとなく微笑んだようにもみえました。
そのとき、息子が喚きだしたんです。
「おじいちゃん!!これから透明人間600人がくるからこの部屋大変なことになるよ!!ぎゅうぎゅう詰めになっちゃうよう!!」
おそらく聞こえていないだろうおじいちゃんに息子はしびれをきらして、覚えたてのひらがなで「600にん とうめいにんげんがくる」と書きました。
「おじいちゃん!!透明人間600人くるよ!!おじいちゃんの上に!!」
義父はうんうん、とうなずき、息子は伝わったと思ったのか喚かなくなりました。
「じゃあお父さん、また明日ね」
病室を出て、夫は実家に一泊、私と息子はそのまま東京まで戻りました。
次の日の朝、幼稚園へ送りに行った帰りに夫から電話がありました。
「お父さんが今朝旅だった。」
義父は息子と孫の顔をみて安心したのでしょう。穏やかな顔をして逝ったそうです。
幼稚園から帰ってきた息子におじいちゃんが亡くなったと伝えると彼はこう言いました
「そうだろうね。だから僕昨日言ったでしょ。透明人間がくるって。おじいちゃん連れに来てたんだよ」
驚きもしない5歳の言葉に私は困惑しました。
思えば彼は昔から私たち人には見えないものがよく見える子で、誰もいないところで「昔ここでこんなことがあった」や通りすがりのわんちゃんをみて「もうすぐあのわんちゃん◯◯だよ」と予言することがあったり。
家で遊んでいても突然私のところに寄ってきて「あそこの3人が僕の邪魔をする!」と言ってきたり。当然家の中には私たち以外いません。
義父の葬儀後、お坊さんに息子の透明人間の話をすると大変驚かれておっしゃいました。「この子は本当にみえるんだね」と。
お坊さん曰く人間がこの世を旅立つとき、ご先祖様たちが大勢お迎えにくるそう。それはそれはすごい数できてくれるらしく、だから見える人にはその大勢のご先祖様やらが見えてびっくりするんだそう。
息子はまだ霊とかそういうものがわからないから「透明人間」という表現になったのでしょうけど、まさに本質をとらえた表現であることに驚きました。
義父はきっとたくさんのご先祖様に導かれて、迷子になることなく天国に到着したでしょうか。これからも天国から私たちを、息子の成長を見守っててください、お父さん。










