はるか先生の理科の授業です。
初めての授業はGPSにしましょう。
車や携帯に搭載されているGPSでみんな自分の場所がわかるようになりました。そして今日こんなニュースが流れましたね。カズトさんのツイートです。
日本の衛星みちびきの運用が開始されてGPSの精度が格段にあがってiPhoneの新しいものを持っている人もその恩恵が受けられます。
知っている人はこの章飛ばしましょう。GPSてどうやって場所を計算しているのか教えますね。このシステムはアメリカにより開発されました。もともと当たり前のように軍事用に発明されたシステムです。その着手は1970年代に始められ、80年代には衛星がうちあげられ、90年代初頭には使用できるようになりました。
ただし90年代の間は民間用途では高精度位置情報を得られないようにされていました。米軍は高精度な位置測定ができるような仕組みがとりいれられて差別化されていました。こうすれば敵よりも有利になりますからね。
車のカーナビはその時代荒い精度を前提で道を推定していました。昔のカーナビが道を間違えやすかったのかプログラマーさんの問題というより米軍によるものです。多分ね。
さて話が脱線しました。仕組みについて説明します。下の絵をみてください。GPSの位置情報を求めるために使われるのは空を飛んでいるGPS衛星です。GPS衛星は常に自分の場所と発信した時間を電波で発信しています。
イメージとしてはこんな感じです。
僕はこの信号を12時3分3.3445343443434秒に座標 XYZZXXXXから発信しました
あなたの携帯の時間が正しければ受け取った時の時間がわかります。発信した時間と受け取った時間の差から衛星と自分の距離がわかります。電波は光と同じ速度で移動しますので計算した時間に、300,000,000 を掛け算すると衛星と自分の距離が出ます。
これを2個の衛星でやるとこんな絵になるのですね。この円の交差した点が自分の場所になります。今日は詳しいお話はしませんが、これを3次元でしっかり場所を特定するためにもう1個、さらに時計の調整のためにもう1個の最低4個の衛星を捕まえるとおよそ正確な場所が計算できるようになります。
誤差も出てくるので6個ほどの衛星からの情報をとるといいと言われています。GPS衛星というのは30個ほど空を飛んでいますので、地球のどこにいてもある程度の数からの電波がとれることになります。
もとの時間はとても正確な必要がありますので衛星には超高性能な時計が内臓されています。
こうやってアメリカ様の作ったGPS衛星を使ったシステムで場所が10mレンジ程度でわかるようになります。
さて今日のニュースに戻りましょう。日本が打ち上げたみちびきを使うと位置精度を10cm程度に改善できると言うことです。注意としてはみちびきのシステムは単独で使うのではなくアメリカのGPS衛星と一緒に使って場所を特定しその精度をあげるシステムです。
みちびきのポイントは日本に特化した衛星の動きにあります。GPS衛星は世界中をカバーするためにウロウロ動いていますが、みちびきはほぼ日本の真上にいるような軌道を飛ぶように設計されています
いつも日本の真上近くを飛んでいるのでビル街や山間部でも衛星を捕まえられる可能性が高まります。
軌道はこんな感じです。八の字の上の部分では速度が落ちます。その結果日本上空に滞在する時間が長くなります。こういった衛星が3機飛んでいて常に日本上空真上に衛星がいるような状況を作り上げています
JAXA 資料より引用:
http://qzss.go.jp/overview/download/isos7j0000000bl4-att/qzss_pamphlet_201803a.pdf
真上に衛星がいることによる精度の向上はビルなどでの電波の反射がなく信号を受信機に送り届けます。受信機にとっては常に衛星の数が確保できる環境が整います。
JAXA 資料より引用:
http://qzss.go.jp/overview/download/isos7j0000000bl4-att/qzss_pamphlet_201803a.pdf
GPSが10m精度でみちびきを使うと10cm精度が出せるのかについてはもう一つ電離層と呼ばれる空の上のエリアに問題があります。このエリアで電波の速度が変わってしまいそれにより正確な位置測定を阻害しています。
この速度の遅延を計算するために二つの周波数の異なる電波を出してその誤差を補正する仕組みをみちびきは持っています。これを使用することにより10cm精度を実現しています。
カーナビであれば10m程度の精度でも問題はないことが多いですが10cmレベルの精度に高めると新しい可能性が見えてきます。
受信機には1m程度の精度を把握できるものと10cm程度まで測定できる高精度版があるようです。高精度版は百万円程度の価格がまだするようですので今後の低価格化の取り組みが必要そうです。
この機能が一番期待されている機能です。
10m精度では車が道のどのレーンを走っているかをGPSを頼りに確認することはできません。10cm/1m精度ではそれが可能になります。今後の自動運転に向けて強力な武器となります
自動運転の他の例として、ドローン航行や畑のトラクターの自動運転などが挙げられます。10m精度ではトラクターうごかせないですよね。となりのはたけ耕しちゃいます。
最近、ランナーやゴルファーが自分の位置を把握できる腕時計が増えてきています。いままでのGPSよりも精度をあげることによりいままでよりも正確になり、いままでできなかった機能を実現します。
人が持っているものに搭載されると街中の人の分布まで正確な測定を実現します。子供や老人の方の安全確保などにも一役買います。
これは遺憾ながらこれを搭載すると10cm精度で車の動きを把握できるので一時停止違反をしたことやもちろんスピード違反も把握されちゃいます。会社の車などにつければ従業員を....
今回のみちびきの機能を活かせる受信機を用いると10cmレベルの位置測定が可能ですがまだまだ効果です。残念ながらiPhoneに搭載されている受信機にはその機能はありません。
常に上空に滞在するみちびきを活用できますので精度はこれまでよりもよくなります。10メートルが数メートルになるとかのイメージでいいかなとおもいます。
高精度の位置測定ができる受信機はまだ高いようです。こちらに対応製品がまとめられています。今後に期待ですね。
http://qzss.go.jp/usage/products/list.html
GPSがあるのになぜ日本は新しいシステムを導入するのか?これには国防の意図もあります。ロシア、ヨーロッパ、中国も独自の衛星を用いた位置情報システムを構築しています。
民間利用では、自動化社会には欠かせない精度の向上も図られる新システムに期待が高まります。
もうちょっと勉強したい方はぜひこのサイトを参考にしてみてください。