Oneさいたまの会が2021年5月20日に、清水勇人さいたま市長とZoomで意見交換会を開催しました。Oneさいたまの会は、さいたま市民の政策勉強会です。清水市長は市民の質問に真摯に回答されました。私は清水市長の公約のシンカがカタカナである理由と桜区の水害対策について尋ねました。
さいたま市長選挙が2021年5月9日に告示され、5月23日が投票日です。清水市長は「4つのシンカを実現します」を公約に掲げます。都市強靭シンカ計画、しあわせシンカ計画、成長シンカ計画、市役所シンカ計画です。シンカとカタカナにする理由は、進化だけでなく、深化と真価の意味も含めていると説明しました。
2019年台風19号では桜区新開などが浸水しました。地盤が堤防よりもかなり低くなっており、大雨で逆に堤防にせき止められる内水氾濫が起こり得ます。リスクはありますが、住民の多くは住み続けたいと思っています。住み続けられる水害対策について質問しました。清水市長は従来よりも集中的な豪雨が起こることを想定したデータでシミュレーションすることなどを説明しました。
これは清水市長の力を入れているデジタル技術の活用にもつながります。ハード的な対策は清水市長の指摘されるように簡単にできることではありません。巨大堤防の建設で立ち退きが起こるならば、住み続けられる水害対策になりません。
さいたま市長選挙では市役所移転が争点の一つです。さいたま市民としてよりも浦和市民としての人生が長い人々にとって市役所の移転は複雑な気持ちになる問題です。清水市長は「浦和と大宮という二つの核で発展してきたが、さいたま新都心に市役所を移転することで、大宮と浦和と新都心を一体的にするというプラスの価値を込めている」と語ります。単に市役所の場所を移すというものではないと指摘します。
浦和市民として育った私にとって、市役所と言えばトルーカの鐘のイメージです。姉妹都市のメキシコ・トルーカ市から贈られた鐘です。Oneさいたまの会のプレゼンテーション資料作りでは、さいたま市役所を表すアイコンとしてトルーカの鐘の写真を使いました。ところが、勉強会に参加した岩槻区民の方から分かりにくいと指摘されました。現在の市役所に愛着心を持つ旧浦和市民も多いですが、逆に浦和市役所として強い愛着心があるからこそ、さいたま市役所を移転する意味があるとの考えも成り立つでしょう。
市役所移転で見出せる積極的価値に埼玉県庁から離れることがあります。埼玉県の下請けではなく、政令指定都市として独自性を発揮することを期待します。世界的に見れば政令指定都市の制度は中途半端です。韓国の釜山広域市や中国の上海市のように大都市への権限移譲は広域自治体に属さない直轄市になります。日本では二重行政解消は大阪都構想のように基礎自治体をなくして広域自治体に一本化することが考えられがちですが、市が県のくびきから脱却するという発想がもっとあって良いでしょう。
意見交換では公共交通の話も出ました。清水市長は公共交通の未来像としてオンデマンド型やサブスクリプション型を提案しました。オンデマンド型は市役所問題を前向きに捉えられる要素になります。どれほど市役所移転に夢を描いても、バス一本で市役所に行けた人々が市役所移転でバスと電車を乗り継がなくならなくなるならば反対意見は出るでしょう。オンデマンド型が普及すれば問題はなくなります。
世の中では自動運転車によるオンデマンド型公共交通の実証実験が始まっており、市役所移転のタイムスケジュールならば夢物語ではありません。さいたま市は浦和と大宮の対立が注目されがちですが、東北本線沿線と周辺の格差が大きいです。オンデマンド型公共交通は沿線と周辺の格差も解消します。
定額料金のサブスクリプション型は消費者にとってPay for Useと比べてどちらが得かという観点が重視されます。地域の公共交通をサブスク型にすることは公共交通を維持するという公益的な誘因も生じるでしょう。
Oneさいたまの会「聞いてよ市長!!市民政策プレゼンテーションin武蔵浦和Vol.3」
第22回さいたま市民政策勉強会「Oneさいたまの会」告知
聞いてよ市長!第2回さいたま市民政策プレゼン大会告知
聞いてよ市長!第2回さいたま市民政策プレゼン大会