Go Toトラベルキャンペーンを利用して旅行しました。Go Toトラベルキャンペーンがあるから旅行した訳ではないことは強調しておきます。旅行目的が先にあり、たまたまGo Toトラベルキャンペーンがあったので利用しました。不要不急の旅行をした訳でも消費喚起策に乗せられて浪費した訳でもありません。自粛警察に非難される筋合いのものではないことを予め記します。
インターネットの宿泊予約サイトで申し込めばGo Toトラベルキャンペーンを利用できます。私が利用したインターネットの宿泊予約サイトでは予めGo Toトラベルキャンペーンのクーポンを取得した上で申し込むとGo Toトラベルキャンペーンの割引価格が適用されます。面倒な行政手続きは不要です。
宿泊予約をすると予約完了メールに地域共通クーポン券のQRコードが付されます。旅館で地域共通クーポン券を受け取ることができます。地域共通クーポン券は百貨店やコンビニでも利用できますので、日常生活に必要な消費で使えます。
Go Toキャンペーンには評価できる点と評価できない点があります。評価できる点は事業者を直接補助するのではなく、消費者の消費を通じて補助する点です。消費者が消費したがるものが補助されます。事業者は消費者に選ばれる必要があります。健全な市場原理を活かした仕組みです。消費者本位の政策です。
この逆が持続化給付金のように消費者の支持とは無関係に補助金がもらえる仕組みです。おれは消費者を無視した事業者の利権になる危険があります。実際、持続化給付金で事業者がバブリーになることは、消費者として不快感を抱きます(林田力「不動産業界のコロナ倒産が始まるか」ALIS 2020年7月30日)。
評価できない点は、まず命名があります。Go To EATやGo To TRAVELは消費者への命令文です。消費者本位の発想ではなく、消費者に金を吐き出させる道具として見ているのではないでしょうか。それでは悪徳業者と同じメンタリティになります。
最も評価できない点は新型コロナウイルス感染症(COVID-19; coronavirus disease 2019)拡大の中で見切り発車したことです。Yahoo!ニュース「みんなの意見」「GoToトラベルは東京を除外して7月22日から実施、どう思う?」(2020年7月16日から30日)では「今はどの地域でも実施するべきではない」が81.9%を占めました。
Go Toキャンペーンが全国各地に新型コロナウイルス感染拡大をもたらす懸念があります。状況の変化を考慮せずに当初の計画で突っ走ろうとした、立ち止まって考えることをしない公務員は始末に負えません。
政府は感染拡大防止策としてGo toトラベルから東京発着を除外しました。「政府の誤算」と表現する報道があります(「東京発着除外でGoTo急転、政府の誤算」産経新聞2020年7月16日)。しかし、政府が難しい判断を迫られたのではなく、状況の変化を考慮せずに当初の計画で突っ走ろうとする公務員の悪癖です。
小池百合子東京都知事は感染防止策を「冷房」、GoToキャンペーンを「暖房」にたとえ、「冷房と暖房の両方をかけることについて、どう対応していくのか」と疑問を提示しました(「小池氏「むしろ国の問題」 感染再拡大、菅長官の東京問題発言に不快感」毎日新聞2020年7月13日)。
元々、Go Toキャンペーンは感染終息後の消費を補助する形と報道されました(「独自:観光・飲食など2兆円規模支援の方針」日テレ2020年4月5日)。感染が終息していないのに見切り発車したことは前提に反します。
一方で観光業界には世界的に感染が終息していない段階だからこそ見切り発車したい事情があります。インバウンド需要がない中で国内旅行が行われても完全な回復になりません。国内の観光地は海外旅行ができない今だからこそ普段海外旅行をしている消費者をGo Toトラベルキャンペーンで取り込みたいという皮算用があるでしょう。
また、政策発表当初は、感染終息後の消費を補助するという前提自体が批判されました。感染終息後では目の前の資金繰り・事業継続に困る事業者にとっては何の役にも立たないものになるためです。しかし、全員が目の前の問題解決を強制されるような風潮が全体主義的です。終息後の政策を考えること自体は意味のあることです。
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