NHKの林田理沙アナウンサーは紀行バラエティー『ブラタモリ』を2020年3月14日放送の第160回「島原・天草~なぜキリシタンは250年も潜伏できた?~」で卒業しました。長崎県は林田アナの出生地であり、NHKでの初任地です。卒業する林田アナへの番組の粋な計らいと言えるでしょう。
番組では林田アナは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産であることや天草崩れを指摘するなど活躍しました。実は林田氏にはキリシタンの殉教者がいます。有馬直純の家臣のレオ林田助右衛門は1613年に棄教を拒み、一家は殉教しました。ローマ教皇庁は2008年に「ペトロ岐部と187殉教者」として福者に列しました。
番組では長崎県の島原と熊本県の天草が海を挟んで近い位置にあると示しました。阿蘇山の火砕流が島原の原城の地形を作ったとの説明もありました。元々、古代は火国(肥国)とひとまとめで位置付けられており、それが肥前と肥後に分かれました。源姓の林田氏の祖の林田泰範は肥後守になり、九州各地に土着しました。今でも九州には林田の名字が多いです。
天草崩れによって大勢の潜伏キリシタンの存在が明らかになりましたが、幕府はキリシタンとして罰せず、「宗門心得違い」と扱われました。キリシタンと認めると踏み絵などこれまでのキリシタン対策の機能不全を認めることになってしまうために「宗門心得違い」としたと説明されました。タモリさんは「今の日本政府とあまり変わらない」と評しました。新型コロナウイルスの検査を抑制することで日本は感染者が少ないとする主張を連想します。
「宗門心得違い」という幕府の穏便な対応には島原の乱の一揆軍の頑強な抵抗があったとの説明もありました。島原の乱は一揆の敗北に終わりましたが、抵抗することには大きな意味がありました。
原城では海の近くに池があり、長い籠城戦を支えたとします。林田アナは「オーシャンビューの露天風呂みたい」と評しました。林田アナは第147回「秋田~掘れば出てくる“秋田の魅力”とは!?~」(2019年11月9日)で音だけ温泉入浴シーンのエンディングが話題になりました。前回の第159回「甲賀・信楽~歴史は甲賀で動いた!?~」(2020年3月7日)では信楽焼の浴槽に浸かりました。温泉に縁があるのでしょうか。
林田アナは最後に「この思い出を一生抱きしめて生きていきます」と語りました。視聴者としては林田ロスになりそうです。