映画『Casablanca』(1942年)は粋な英語の宝庫です。恋人とのデートで一緒に食事をする時の決め台詞は何と言っても「Here's looking at you.」です。映画『カサブランカ』のRick Blaine (Humphrey Bogart)の台詞です。今や映画以上に知られた言葉になっています。
この訳語「君の瞳に乾杯」は映画史上屈指の名訳です。「Here's」が日本語の「乾杯」に相当し、通常は「Here's luck to you」(君の幸運を願って乾杯)という形で使われます。このため、直訳すれば「Here's looking at you.」は「君を見ている自分に乾杯」となります。理由を告げずに去ってしまった恋人Ilsa Lund (Ingrid Bergman)と再会したRickの想いを反映しています。これに対して、日本語訳は相手の瞳の美しさを称えるニュアンスが加わり、恋愛で実用できる言葉になりました。
『Casablanca』には相手を軽くあしらいたい時の渋い台詞もあります。「Where were you last night?」(昨夜はどこにいたの)と聞かれたら、「That's so long ago. I don't remember.」(そんな昔のことは忘れた)と答えます。「Will I see you tonight?」(今夜は会えるの)と聞かれたら、「I never make plans that for ahead.」(そんな先のことは分からない)と切り返します。
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