NHK大河ドラマ『どうする家康』第13回「家康、都へゆく」が2023年4月2日に放送されました。明智光秀、浅井長政、足利義昭、茶屋四郎次郎らが初登場しました。癖の強そうなキャラクターばかりです。
徳川家康と瀬名の長男の信康と織田信長の娘の五徳は仲が悪いです。五徳は幼少時から父親の威を借りていました。五徳に悪い面がありますが、周囲が信長を恐れて止められません。これが築山殿事件の原因になるのでしょうか。瀬名は悪女ではなく、正論を述べたために悪者になるのでしょうか。一方で自分の娘を徳川家に幼い時から嫁がせる点では織田信長は徳川家康を大事にしていたと言えます。
家康は五徳の頼みで金平糖を探します。この時代の日本人のコンフェイトの発音が上手です。ローマ字ができる前は音を真似るしかなかったため、むしろネイティブの発音を忠実に真似るのでしょう。
上洛した家康は市と再会します。家康はすっかり元彼ムーブをしています。第4回「清須でどうする!」で家康と市の婚儀を描いたことは歴史ドラマを安っぽい恋愛ドラマにする余計な設定と批判の声がありました。家康が市に思いを抱いていることは、浅井長政と戦う姉川の合戦や市の娘の淀殿と戦う大阪の陣で家康を苦しめることになります。スイーツどころか残酷な脚本です。
曲者ぞろいの初登場キャラクターの中でも足利義昭は意表を突きます。飽食や暴飲暴食で病気のようです。金平糖を一気に食べます。義昭は元僧侶ですが、粗食を経験していたとは思えません。義昭は家康に冷たいです。家康は将軍を通さずに徳川改姓を直接朝廷と交渉して実現しました。それに腹を立てている可能性があります。
明智光秀は陰険さがあります。家康が金平糖を持っていると義昭にチクったのも光秀のようです。『どうする家康』と同じ古沢良太脚本の映画『レジェンド&バタフライ』の光秀も策士でした。『麒麟がくる』の光秀や義昭とはギャップがあります。
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浅井長政の家臣はヤンキーでしたが、本人は人格者です。しかし、その人格者ぶりも信長から近江の半国大名の自分と三河の国主にまでなった家康を比較されて抑圧された結果という痛々しさぶりが伝わってきます。市の心の中に家康がいることも意識しているかもしれません。
『どうする家康』の長政は早い段階で信長を裏切ることを決意します。朝倉家への義理に挟まれて仕方なく決断したという感じではありません。朝倉攻めの前から信長との関係に思うところがあったのでしょう。
次回は第14回「金ヶ崎でどうする」です。金ヶ崎の退き口は「どうする」に相応しい窮地です。家康と羽柴秀吉と光秀が過酷な撤退戦の殿を務めました。能力のある三人が殿を務めたと描かれる傾向がありますが、『どうする家康』では秀吉も光秀も曲者であり、背中を預けて戦いたくありません。歴史ドラマの中でもチームワークの低い金ヶ崎の退き口となりそうです。
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